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ミュージカル作品紹介(第260回)
異 国 の 丘
■劇  団 劇団四季
■鑑 賞 日 平成13年10月28日(日) マチネ
           11月24日(土) ソワレ
■劇 場 名 四季劇場[秋](浜松町)
■料  金 全席指定 S席9,450円(会員割引料金)

■企画・脚本・作詞・演出・美術 浅利 慶太
■脚  本 湯川 裕光,羽鳥 三実広
■作  曲 三木 たかし,吉田 正,近衛 文隆
■編  曲 中川 幸太郎,佐橋 俊彦,山下 康介
■作  詞 岩谷 時子,荒木 とよひさ,松田 宏一,増田 幸治,
      佐伯 孝夫,越智 登喜男
■振  付 加藤 敬二     ■照  明 紫藤 正樹
■音楽監督 鎮守 めぐみ    ■舞台監督 平賀 政彦
キ ャ ス ト
九重秀隆   (石丸 幹二)   宋愛玲    (保坂 知寿)
吉田     (中嶋  徹)   神田     (深水 彰彦)
西沢     (深見 正博)   平井     (有馬 光貴)
宋美齢    (武 木綿子)   李花蓮    (坂本 里咲)
宋子明    (日下 武史)   劉玄     (栗原 英雄)
フォーゲル夫人(末次美沙緒)   ワトソン教授 (広瀬 明雄)
メイ     (羽鳥三実広)   ナターシャ  (大平 敦子)
杉浦     (宮川 政洋)             ほか多数
ス ト ー リ ー
 日本軍が中国侵略を推し進めていた頃、日本国首相の息子である秀隆は、NYで留学生活を送っていた。あるパーティーで出会った娘愛玲と互いに惹かれ合った。しかし、愛玲は中国高官の娘であり、憎み合うべき関係にあった。そして、上海事変が勃発。二人は、それぞれ母国へ引き揚げることになる。
 日本軍は戦線を中国全土に拡大し、英米を敵に回す状況にあった。陸軍の暴走を憂える首相は、秀隆を上海に派遣して、極秘裏に和平交渉を委ねる。特務機関員となった愛玲に再会し、蒋介石の密書を入手したのだったが、陸軍に漏れて失敗する。そして愛玲は、凶弾に倒れた。
 懲罰的に満州へ送られた秀隆は、終戦と同時にロシア軍に捕らわれ、シベリアに抑留された。毎日のように繰り返される尋問と脅迫。数万人の抑留日本人とともに極寒の地で、重労働をも強いられる。そこへNY時代の友人神田が送り込まれ、なにやら陰謀の臭いが。
コ メ ン ト
シナリオ メディアがスポットを当てたがらないシベリア抑留民を題材に選んでいます。脚本の質は高いと思いますが、シベリア時代は非ミュージカル調。暗く重たいストーリーです。付け合わせにNY時代などを加えてありますが、半端に実話を織り込み、説得力を欠きます。
「遺書」に絡むシーン、神田の存在、など必要性の薄いエピソードもあり、長時間作品となっています。NYから上海までの陽の当たるシーンと、シベリアでの陽の当たらないシーンを、細切れにして絡み合わせてありますが、無用に面倒な展開になっています。
キャスト 久しぶりのオリジナル新作ということもあり、ベテラン陣を投入している印象を受けました。
ナンバー 明日への祈り」リプライズは、重厚なコーラス曲であり、聴き応えがあります。「あなたを求めて」「名も知らぬ人」なども良いナンバーだと思いますが、シンガーの良さに引きずられるだけかも知れず、難しいです。
苦難に耐えて」は、演出のあざとさが目立ちました。
ステージ ステージ背後に白色スクリーンが貼られ、これに場所場所のスライドを投影する手法が使われていました。大がかりなセットを入れ替えるよりも簡便で説得力があり、他作品での導入成果を踏まえているようです。雪原のセットは、派手な演出を加える割に冴えず、NY時代などとの転換に時間を使いすぎた印象です。
雪原のシーンで使われる小道具はチマチマとして多すぎると思います。セットを簡素化した分だけ、衣裳は凝っています。原色系の衣裳も地味に抑え、ケバい印象は与えません。
演 技 力 石丸は、「壁抜け男」の主演により大きく技量アップしたようです。全身から発するオーラが増し、観客を圧する力があります。栗原深水は、役柄上難しいところもありますが、ややオーバー気味なのが今ひとつです。保坂は若々しい演技に徹し、実年齢を感じさせません。大平は、立ち振る舞いが良く、舞台で引き立ちます。
歌 唱 力 保坂の歌唱は、相変わらずの美声で惚れ惚れします。伸びと張りがあり、ムラのない唱いが見事です。石丸も渋みが増し、重量感のある良い声です。「明日への祈り」リプライズでの合唱、「運命の時」の重唱も素晴らしいですが、沈み込ませたステージを盛り上げるまでにありません。
ダ ン ス NYでのパーティでは派手なダンスもありますが、全体を通してのインパクトは弱いです。随所にダンスを盛り込んでありますが、戦争物では精一杯かも知れません。
総合評価 シナリオは申し分ないと思います。シーンを複雑に絡めなければスッキリしますが、二幕が重苦しくなり、ミュージカルと呼べなくなるのでしょう。戦争物のミュージカルは難しいと思いますが、エンディングの運びようでは、もう少し変わるかも知れません。
愛玲を絡めたストーリーが蛇足気味であり、遺書など冗長なシーンもあり、もう少し絞るべきところは絞るべきかも知れません。重い作品で3時間はミュージカルとして長すぎ、劇団四季らしくありません。

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上記コメントはポン太の主観&独断に基づいています
なお、評価ランクはポン太の五つ星を参照ください
ア ク セ ス
劇団四季
 事務所/横浜市青葉区あざみ野1−24−7  Tel:
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