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ミュージカル作品紹介(第315回)
マンマ・ミーア!
■劇  団 劇団四季
■鑑 賞 日 平成14年12月21日(土) マチネ
      平成15年 1月29日(水) ソワレ
■劇 場 名 電通四季劇場[海](汐留)
■料  金 全席指定 S席10,500円(会員前売価格)

■原  作 オン・ミュージカル「MAMMA MIA!
 作詞・作曲:BENNY ANDERSSON(ベニー・アンダーソン)
      :BJORN ULVAEUS(ビョルン・ウルヴァース)
 脚  本:CATHERINE JOHNSON(キャサリン・ジョンソン)
 照  明:HOWARD HARRISON(ハワード・ハリソン)
 音  響:ANDREW BRUCE(アンドリュー・ブルース)
     :BOBBY AITKEN(ボビー・エイトキン)
 音楽監督・編曲:MARTIN KOCH(マーティン・コッシュ)
 振  付:ANTHONY VAN LAAST(アンソニー・ヴァン・ラースト)
 演  出:PHYLLIDA LLOYD(フィリダ・ロイド)
■企画・製作・訳詞 浅利 慶太 ■翻  訳 湯川 裕光
■音  楽 鎮守 めぐみ ■振  付 古澤 勇
■技術監督 滑川 武 ■舞台監督 平賀 政彦
キ ャ ス ト
(12月21日キャスト)
ドナ     (保坂 知寿) ソフィ    (樋口 麻美)
サム     (芝  清道) スカイ   (阿久津陽一郎)
ビル     (野中万寿夫) ハリー    (八巻  大)
ターニャ   (羽永 共子) ロージー   (久野綾希子)
ペッパー   (望月 龍平)
ほか多数
ス ト ー リ ー
 島のホテルを切り盛りする未婚の母、ドナ。女一人で育ててきた娘ソフィは、二十歳で結婚することになった。父親を知らない娘は、出生当時のドナの日記を盗み出し、そこに記された三人の男性サムビルハリーに結婚式の招待状を送ったのだった。結婚式の前日、三人の父親候補が揃って島へやって来た。思わぬハプニングに動揺し、「マンマ・ミーア!(なんと、まあ!)」と絶叫するドナ。
 父親候補を絞るため、ソフィーはそれぞれにアプローチ。しかし、三人共に自分が父親と信じた彼らは、結婚式でのエスコート役を申し出た。予想しなかった展開に一晩うなされた彼女は、母ドナにエスコート役を求めるのだった。愛する青年スカイとの結婚式が厳かに始まろうかという時・・。
コ メ ン ト
シナリオ 欧米で一世風靡したミュージックグループ「ABBA」のメロディを組み替えて作られたミュージカルです。音楽ありきで作られた作品ですが、シナリオが巧くマッチしていて違和感のない仕上がりです。小気味の良い展開で、飽きさせません。
キャスト 公開オーディションを実施し、元四季や一般応募のメンバーも加わっており、キャストの厚みが拡がった感じがします。近頃は定点公演が増えて手薄感もあるため、今後も公開オーディションを増やしていって欲しいです。
保坂樋口阿久津八巻野中の組み合わせだった今回は、ベストキャストだったそうです。
ナンバー ダンシング・クイーン」「マネー・マネー・マネー」「エス・オー・エス」「マンマ・ミーア」などABBAの代表曲が鏤められています。リズミカルなダンスナンバーが多く、オーケストラ生演奏の効果もあって愉しめます。ナンバーのエッセンスを絡め合わせた「プロローグ」は秀逸です。
ステージ ゆらめく海中をイメージさせる壁板が美しく、照明を組み合わせて煌めく幕が幻想的です。潜水艦をイメージさせるホテルのセットのみのシンプルなステージでした。外壁に打ちっ放しコンクリ壁に古びた味を加え、内装にステップ付きの木製ドアが二枚と、お洒落なライトアップがありました。エンディングでの巨大な満月は、どういう仕組みなのでしょうか。実に明るいです。
保坂らトリオは、ABBAの衣裳を復元したらしいキンキラな懐かしいスーツでした。男優達のダイビングスーツも意外感があって面白いです。
演 技 力 樋口のステージは久しぶりに見ましたが、舞台度胸がついた良い芝居をしていました。少し強張った笑顔は変わりませんが、自然な仕草が増したようです。第一幕での保坂はインパクトがありましたが、第二幕で影が薄くなっていました。
男優が上半身裸で登場するシーンが何度かありますが、幾人かを除けば、よく鍛えられています。女優はマチマチですが、脂肪が目立つ感じはありません。演技の基本は、体作りから。
歌 唱 力 アンサンブルをダンス主体で集めたものか、とくに男優の声に元気がありません。「マネー・マネー・マネー」や「マンマ・ミーア」での迫力不足が惜しまれます。
樋口の声は綺麗ですが、惹き付ける魅力を欠きます。保坂の「ザ・ウィンター・テイクス・イット・オール」は響きよく絶妙の歌唱であり、健在ぶりを強くアピールしてくれました。の声は良いのですが、情感が伝わってきません。
ダ ン ス ギミ!ギミ!ギミ!」「ヴレヴ」「マネー・マネー・マネー」は、それぞれ性格の違う面白いダンスでした。これまでの四季路線とは違うインパクトが感じられます。
樋口阿久津の絡むダンスがありますが、他人行儀なぎこちなさがあります。いずれにも課題がありそうですが。また、若いトリオと熟したトリオが、それぞれ再会のダンスを見せますが、いずれも息が合いません。十数年ぶりの熟年の方がまだ揃うので、さらに疑問が。
総合評価 カーテンコールでは「マンマ・ミーア」と「ダンシング・クイーン」を振るキャストで熱唱し、中でも保坂がノリノリでした。観客はスタンディング・オベーションで応え、千秋楽並みに成りました。

コンタクト」に続き新鮮なオン・ブロードウェイ作品を、劇団四季は輸入しました。「壁抜け男」「異国の丘」で新しい挑戦をしましたが、結局はブロードウェイ路線に落ち着くのでしょうか。オーソドックスな作品群から明確に路線変更のようですが、どんどん新作を仕入れていって欲しいと思います。

関連コラム>えとせとら第224回 なんと、まあ!
上記コメントはポン太の主観&独断に基づいています
なお、評価ランクはポン太の五つ星を参照ください
1月29日の公演を踏まえて、コメントの一部を追記しました
ア ク セ ス
劇団四季
 事務所/横浜市青葉区あざみ野1−24−7  Tel:
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