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ミュージカル作品紹介(第314回)
Ryoma 〜 夢・信・動 坂本龍馬 〜
■劇  団 ミュージカルカンパニーOZmate
■鑑 賞 日 平成14年12月7日(土) マチネ
■劇 場 名 アトリエ・フォンテーヌ(六本木)
■料  金 全席自由�,500円(前売価格)

■脚本・演出・振付 辻井 奈津子 ■音楽製作・監督 大槻 知子
■音楽監督 岩永 喜志登 ■音楽製作 シゲ 山本
■照  明 小林 實 ■音  響 長澤 康夫
■舞台監督 上田 実 ■衣  裳 阿形 江里子
■制  作 渡部 涼子
キ ャ ス ト
坂本龍馬   (駒田  一) 千葉佐那子  (安藤  聖)
おりょう   (花木佐千子) 武市半平太  (川本 昭彦)
岡田以蔵   (中山  浩) 亀弥太/才  (笠之坊 晃)
近藤長次郎  (照井 裕隆) 河田小龍   (織田 和馬)
中岡慎太郎  (木下  育) 長岡謙吉  (石川ごえもん)
梅      (樋口 葉子) 坂本乙女/谷 (浜田 真那)
龍馬少年   (松本比路子)
ほか多数
ス ト ー リ ー
 少年時代に弱虫・洟垂れと苛められた龍馬は、江戸の千葉道場で剣の修行を積み、祖国の土佐へ帰ってきた。尊皇・攘夷の機運が高まり、土佐では武市を頭とする勤王党が勢力を増しつつあった。自らの「風」を待ち続ける龍馬は、大船を所有し貿易によって日本国を発展させることを唱える。しかし、誰からも理解されない。
 脱藩して幕府・神戸海軍操練所に通い始めたものの、佐幕派の巻き返しで武市らが処分されたことに衝撃を受ける。脱藩者らで貿易結社・亀山社中を設立し、薩摩藩と長州藩の和解と同盟を実現する。さらに大政奉還による無血の天皇親政を献策するに及んだが・・。
コ メ ン ト
シナリオ 史実をベースに描かれていました。フォンテーヌでは厳しい長編であったため、女性客に苦痛を強いたようです。作品に合った劇場を選んで欲しいと思います。
終始テンションが高く、大きな事件も小さな事件も同様に取り上げるなど、メリハリの利かない演出でした。観客をいじるシーンが数度ありましたが、冗長すぎて作品の長時間化の原因になっていました。
キャストに数倍する人物を登場させたため、誰が誰やら分からなくなりました。勝海舟を省いたぐらいなので、他の配役を削るのも簡単だったはずですが。三人のナレーターというのも面倒でした。
キャスト プロパーに加えて、STEPSと天狼プロダクションの劇団員による混成部隊でした。若手ばかりの上に、ダブル・トリプルの配役をこなすキャストが多く、纏まりを欠きました。芝居でキャラを演じ分けられていませんでした。
ナンバー メロディの多くは他作品からの流用であったようです。そこそこに変化がありましたが、歌い方が一本調子であったのが惜しまれます。芝居同様にテンションが高いものが多く、聴くだけで疲れました。
ステージ 二階ステージの左手側にバンドが陣取っていたため、二階は十分に活かせていませんでした。梯子や障子を使って立体的な演出を試みていましたが、代わり映えせず分かりにくい転換でした。
ダブル・トリプルの配役をこなすのであれば、衣裳なり被り物で違いを付けて欲しいです。龍馬のドギツイ衣裳が通しで使われたのも残念です。衣裳には、経年変化も反映して欲しいところです。
演 技 力 駒田の破天荒な芝居ぶりが良かったです。男優では、川本笠之坊中山の熱演が印象的でした。安藤は真摯な立ち回りが面白く、やや傾きすぎのと花木と対称的でした。浜田は、プロローグにのみインパクトがありました。
歌 唱 力 ソロはいずれもパッとしませんでした。とくに、駒田のソロが一本調子でした。過去の舞台では普通にシンガーを勤めていましたので、ナンバーの問題でしょうか。
安藤は良い声質ですが、か細いのが残念でした。花木との掛け合いになる「龍馬」では、呼吸にズレを感じました。
コーラスは調和が全くなく、力業の印象を受けました。
ダ ン ス 殺陣はそこそこ良いシーンがありました。しかし、目立つダンスシーンがありません。
総合評価 キャストは巧い人が集めてありますが、若手ばかりであってか纏まりを欠きました。坂本龍馬を描くにはスケール不足であると感じます。また脚本の長大さ、演出のメリハリ、ナンバーの構成など気になるところが多くありました。
逆にいえば、一層完成度を高められるということでもあり、また再演を重ねて欲しいと思います。立ち見が出るほどの人気でしたので、フォンテーヌより大きな劇場にしていただきたい。
上記コメントはポン太の主観&独断に基づいています
なお、評価ランクはポン太の五つ星を参照ください
ア ク セ ス
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