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ミュージカル作品紹介(第241回)
ミ レ ッ ト
■劇  団 木山事務所
■鑑 賞 日 平成13年8月4日(土) ソワレ
■劇 場 名 東京グローブ座(新大久保)
■料  金 全席指定�,500円(前売料金)

■原  案 小説「綱渡りのミレット」(E.A.マッカリー作)
■原  作 ミュージカル「Mirette
 脚  本:エリザベス・ディッグス
 作  曲:ハーヴィー・シュミット
 作  詞:トム・ジョーンズ
■翻訳・訳詞・演出 勝田 安彦  ■音楽監督 呉 富美
■振  付 榎戸 喜章      ■美  術 石井 みつる
■衣  裳 八重田 貴美子    ■照  明 森脇 清治
■音  響 実吉 英一      ■舞台技術監督 佐藤 政美
■舞台監督 向井 一裕      ■制  作 折田 健治
■製  作 木山 潔
キ ャ ス ト
ミレット   (三倉 茉奈)   ベリーニ   (福井 貴一)
ガトー夫人  (旺 なつき)  ルースペンスカヤ(堀内 美希)
マックス   (福沢 良一)   カマンベール (村國 守平)
クレール   (福島 桂子)   ギャビー   (宮内 理恵)
クルーク   (盛田 裕之)   タバク    (笠之坊 晃)
ス ト ー リ ー
 ガトー夫人の経営するホテルには、芸人たちが下宿している。夫人の娘ミレットは、ホテルを手伝いつつ、芸人達の話を聞くことを楽しみにしていた。そこへ偽名で宿泊を申し出るベリーニがやってきた。彼がロープを渡る練習を重ねるのに興味を持ったミレットは、素質があるという言葉を信じて師事することになった。ガトーの反対を退け練習に励んでいたのだが、綱渡りの名人と呼ばれたベリーニには暗い憂鬱があった。
コ メ ン ト
シナリオ 翻訳物としては、聞き苦しい科白も少なく、分かりやすいシナリオでした。原作ミュージカルであるので仕方ないでしょうが、数多く芸人を登場させる割には、主題に絡み合って来ません。サラッと流して、ベリーニとミレットの交流シーンを増やして欲しいです。一幕物でも十分なのでは?
キャスト 主役が幼いだけに、脇役はいずれも有名どころが揃っています。本作は、2年前と基本的に同じキャスティングだとかで、待っただけの味わいもあるようです。
ナンバー 唱い繋いでいく、ロンドン・スタイルに近いようです。会話の合間に出てくるナンバーは、ちょっと唐突な感じがあって、時代物の印象です。「時には誰かが必要なのに」「あの子はあなたじゃない」が、まずまず。
ステージの両端で、二人のピアニストによる生伴奏がありました。共演はシンプルですが、なかなかお目に掛かれない趣向です。
ステージ 両脇に漆喰と煉瓦を組み合わせた古ホテルの外壁があしらわれてあり、中央に綱をイメージさせる昇降ステージがありました。調度品は年代物らしさが出ていて、よい雰囲気です。外壁も手が込んでいますが、シンプルに見えました。黒子達が明るいステージを何度も登場するのは、今となっては、違和感の強い演出でしょう。
演 技 力 福井の迫力ある声と凄みのある顔つきが良かったです。気むずかしい玄人の味がありました。また汗だくで、パワフルな演技でした。三倉のステージは初めて観ましたが、落ち着きのある良い演技をします。真剣さが伝わってくることと、目配りの良いことが、素晴らしいです。は落ち着きのある良い芝居をし、三倉をよくフォローしていました。
いずれのキャストもレベルが高く、安定した芝居が見られました。
歌 唱 力 福井のデュオと、福井三倉のデュオが印象的でした。古典的な大人しいナンバーが多く、時代に色褪せた印象を受けるナンバーが目立ちました。このためコーラスは綺麗であるものの、精彩を欠く印象です。
ダ ン ス 芸人たちのアクロバットがほどほどにありました。福井三倉の綱渡りは綱を用いず、80センチ程度の板で代用しています。しかし高さがあるので、緊張を強いられそうです。
総合評価 興行主の倒産で2年前に公演直前に中止になった作品です(以前にコラムでも書きました)。ケチがついた作品でしたので再演は難しいと思っていましたが、無事に新しい興行主が見つかって公演されました。
三倉の成長が一番の成果でしょうか。双子でダブルキャストがウリなのですが、もう高校一年生になったそうです。

原作は、オフ・ブロードウェイミュージカルの名作「ファンタスティックス」(第25回を参照)と同じ作詞家・作曲家コンビによるもので、古典色の強いナンバーが多く、演出も古風ですが、落ち着きのあるシンプルな作品だと思います。引き続き、再演を重ねていって欲しい作品です。
上記コメントはポン太の主観&独断に基づいています
なお、評価ランクはポン太の五つ星を参照ください
ア ク セ ス
木山事務所
 事務所/東京都豊島区西池袋3−17−11−201   Tel:
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