前回へ  ホームへ  次回へ
ミュージカル作品紹介(第192回)
NINAGAWA 火の鳥
■鑑 賞 日 平成12年11月3日(金) ソワレ
■劇 場 名 さいたまスーパーアリーナ(さいたま新都心)
■料  金 全席指定 S席�,500円(前売料金)

■原  案 漫画「火の鳥」(手塚治虫原作)
■演  出 蜷川 幸雄     ■脚  本 横内 謙介
■音  楽 武部 聡志     ■美  術 堀尾 幸男
■照  明 原田 保      ■音  響 井上 正弘
■衣  裳 小峰 リリー    ■振  付 前田 清実,青木 美保
■舞台監督 小林 清隆     ■ヘアメイク 春山 聡子,小栗 久一
■制  作 白井 修,千葉 幸順
キ ャ ス ト
ロミ     (今井絵理子)   真人    (MAKOTO)
使者(老)  (いかりや長介)   使者(若)   (月川 勇気)
                         ほか100名近く
ス ト ー リ ー
 惑星が荒廃し脱出する人々が乗り込むノアの箱船。出会ったばかりでも充実した恋を実らせたロミ真人は、二人での死を選んだ。その間際に出会った老人若者は、火の鳥の使者を名乗り、再び惑星は甦ると告げた。
 命の種を抱いて大地にとけ込んだロミは、火の鳥を崇める部族の王女に転生した。そこへ現れた侵略者の王は、真人の転生だったが、永遠の生命を得るためにロミを殺して血を浴びたのだった。何百年も孤独に生き続けた真人は、現代の日本に転生したロミに出会うのだったが・・。
コ メ ン ト
シナリオ 100分という限られた時間を活かす、テンポのよい展開でした。シーンごとに象徴のようなものを与えたいようで、いくらか諄い演出も見られましたが、すっきりしたストーリーでした。手塚作品は、原作と言うより原案という雰囲気でした。
キャスト 100人というのは大人数ですね。数で見せる演出とでも言いましょうか、質より量という印象で、小劇場系とは対局にあるキャスティングでした。
ナンバー ナンバーリストがありません。「ロミのアリア」は綺麗なソロでした。エンディング間近とカーテンコールで唱われたナンバーは、賑やかなもので、まずまず。デュオはシンガーの問題もあってか、物足りませんでした。
ステージ 火を高々と吹き上げる筒、ヒロインたちを客席上までブン回す梯子車のようなリフト、火の鳥形のライト、巨大な蛍光発色の時計、アリーナを駆け回るバイク・・いろいろありましたが、どれも使いすぎて飽きてしまう印象です。衣裳やセットは色や形で象徴性に拘っていたようです。スポットライトは多用気味で、客席を舐めすぎるのも意味が無いようです。
演 技 力 キャストの識別ができないので、何を以て演技力と評価するかは難しいです。アンサンブルも含めて動作に拘りがありますが、形先行であまり目を惹くものがありませんでした。いかりやは存在感がありました。オカマを演じていた俳優(大門?)も派手な立ち回りと啖呵で勢いを感じました。今井は舌足らずなセリフ回しで、聞き取りにくい場面が何度かありました。
歌 唱 力 今井は透明感がある良い声で、感情もよく伝わり、感動しました。持ち歌では無いためか、何度か声が裏返っていました。MAKOTOも力強い唱いをしていましたが、あまり感情が伝わってこないのが残念です。
またソロでは素晴らしいものの、デュオは思い思いに唱っている印象で、調和が感じられませんでした。二人とも、歌い始めると存在感が浮き出てきますが、芝居を見せているときとのギャップが目立ちます。
ダ ン ス 部族同士の戦いを示すシーンなど群舞はそれなりに美しかったのですが、そこにメッセージが見いだせませんでした。現代の若者たちのダンスは、バラバラ感が目立って美しくありませんし、振付もいささか単調でした。
総合評価 キャストよりもお客様の多さに圧倒された作品でした。アリーナには3万人以上入っていると思いますが、その動員数の多さに目を見張りました。主演に有名ヴォーカルを二人揃えたという話題性もあったのでしょうが、なかなかお目に掛かれない光景です。歌は良かったのですが、もっと演技力のある人を使って欲しかった・・。

関連コラム第131回アリーナで演劇を
上記コメントはポン太の主観&独断に基づいています
なお、評価ランクはポン太の五つ星を参照ください
ア ク セ ス

前回へ  ホームへ  次回へ