オンサイトの楽しみ

クラシックにしても、映画にしても、やはりホールや映画館の方が楽しいです。しかしビデオやTV放映でも、そう味気なくは感じません。近頃は映像機器や音響機器のレベルが上がっていることもありますが・・。やはり演劇は、オンサイトが楽しいです。

TVドラマとは違う

TVドラマや映画は、撮影にそれなりの金と技術を費やしています。映像として見せることに主眼があるので当然でしょう。同様に、ビデオ撮りのためのゲネをするなどでない限り、本ステージをビデオ撮りしたものは味気ないです。腕の良い専門家が撮影すれば、ズームやアップなど使われますし、複数台のカメラの絵を上手く編集して楽しませてくれますが、それでも光量不足や音響不良などは否めません。

しかし、それ以前に、俳優の目線などもあります。TVカメラを意識したものであれば違いますが、舞台では観客を意識しているため、どうしてもカメラ映りは悪くなります。また俳優の発するオーラだって、カメラのフィルターを通すため伝わりません。まず舞台を楽しんで、それを反芻するためにビデオも観るのなら良いと思うのですが・・。

ブロードウェイ版ビデオ

NYでは数々のミュージカルビデオが販売されていました。VHSでないタイプのビデオが多かったことや、予算が不足したことも残念ですが、何本か仕入れてきたビデオを楽しんでいます。ブロードウェイ版は、いずれもオンサイトのものではありませんでした。どちらかと言えば、メイキングであったり、イメージ映像であったり、特殊効果も使われていたりします。

それだけに伝わってくる楽しさが違うのですが、国内ではこのようなビデオは売られていません。いつか質の悪いビデオばかりと書きましたが、本ステージをそのまま撮したビデオが、意外に高値で売られています。売れないから良い撮りをしない、良い撮りをしないから捌けない、捌けないから高い、高いから売れない・・そういう悪循環を生んでいるように感じます。

STEPSの試み、ほか

先日、ステップスの稽古場公演を観てきました。予想していたよりは、ずっと粗末な作りでありまして、ペンシルビルの1フロアで、コンクリ打ちっ放しのような壁、冷え冷えとした天井・・でありました。しかし地下鉄にもJRにも近く、立地は良いです。稽古場の半分を客席に、残る半分をステージにしてありましたが、それなりに広いです。

ステップスが稽古場公演を実施するのは2回目ということですが、実に客席とステージの間が近いです。ポン太は最前列席でしたが・・俳優の手が眼前まで伸びてきます。どのキャストも真剣で、吹き出す汗が見えます。目線も力があり表情も多彩で、手を抜いているキャストが見えない見つからないのが気持ち良いです。ここまで接近してくれると感動が違います。チケット代も安かったので、良い評価に成っています。来春にも3回目があるとのことです。

活動停止を宣言されたアルミ館ですが、「夢つづり」という作品もまた距離の近いミニ劇場でした。ここでも最前列席でしたが、真正面で女優が泣き出すシーンがあり、本当に涙を溢れさせる(目薬でなく・・)のは感動しました。加来さんには引き続き活躍して頂きたいです。またクレームが付くかも知れませんが、トレジャートレインの「もしもあなたを愛したら」は詰まらない出来でした。客席に近いと半端さも素直に分かってしまいます・・。

近頃はBSなどで公演の放映があります。この水準で満足できれば幸せなのですが、どうしてもオンサイトでないと満足できません。かくしてジャンキー生活は続くのでありました(笑)。