ミュージカルも、大衆芸能化

大衆芸能化というと、ニュアンスが違ってくる気がします。映画・演劇・舞踊・軽音楽は芸能のジャンルに入りますが、大衆芸能かどうかと言えば、違うんじゃないかな、と感じています。

ジャニーズ事務所が進出

ジャニーズ事務所と言えば、少年隊のPLAYZONEが15年目に成りました。もう少年達ではありませんが、毎年毎年続けられた新作ミュージカルは、単なるアイドルの話題作りで済まされていません。また、現役もOBも含めて、事務所出身者が出演するミュージカル作品も多くあります。しかし多くは、女性ファンを動員するための客寄せパンダであり、ダンスとソングが上手ければラッキーという印象が強いのも事実です。

アイドル系の作品といえば、レ・ミゼラブルが有名です。俳優達の登竜門であると同時に、俳優としての実力に難のある芸能人が多いことでも問題を感じる作品です。とはいえ、東宝の優秀なスタッフに支えられて、毎年帝国劇場で公開されている息の長い作品でもあります。

さて、ジャニーズ事務所によるミュージカル作品が、帝国劇場でオープンしています。これまで俳優を提供するだけであったジャニーズが、自らミュージカルを手がけるわけです。伝統と格式のある帝国劇場を舞台に選ぶことに異論も大きいようですが、成功を収めると新しいミュージカルファンを掘り起こす契機にもなり、期待しています。どうかミーハー客を当て込んだ、詰まらないステージとされませんことを!

子役プロダクションも進出

2000年は、これまで以上に子供ミュージカルが多数ありました。昨今のチャイドル人気も追い風となっているようですが、素人っぽい演出や脚本のミュージカルが散見されました。昨年までは、話題のチャイドルを主演に据えることはあっても、残る大多数は一般の子供達でした。しかし、プロダクションが所属メンバーを大量動員しつつあるのが不気味です。

プロダクションと言っても、多くは俳優養成所です。一流として名を成した俳優ではなく、俳優の卵達を売り出すのが目的のようです。売り出しが狙いであるのなら、それなりに良心的な価格で提供して欲しいところですが、なかなか高い価格設定になっています。大量のチャイドルをステージに上げるものの、実力はサッパリなのが典型的なパターンです。どうも宜しくない風潮だと言えましょう。

プロダクションのプロデュース公演であれば、せめて脚本や演出は一流を使って欲しいのですが、それさえも不十分なものが目立ちます。さらにステージ代などもケチり、人脈を使って有名なゲストを使ったり、その筋で有名なチャイドルの出演を口コミで広めたりもするそうで、昨今のミュージカルブームに悪のりしています。

芸能の大衆化は悪いことではないでしょう。作品が増えれば、観客人口も増えるでしょうから、ある意味で歓迎です。しかし質の悪い作品を大量にまき散らすようであれば、ただ迷惑です。大手プロダクションなども、進出する以上は、よくミュージカルや演劇を研究して頂きたいと思います。

  • 吉本興業のミュージカル上演というのは、観てみたい気がします。もちろんオール関西弁で。
  • モーニング娘。」もミュージカル進出だそうです。日生劇場で2001年5月。