前頁へ  ホームへ  次頁へ
政治の研究No.06
首相公選はできないの?

 日本の国家元首は誰なんでしょうね。諸外国では国王や大統領が国家元首ですが、日本だと天皇陛下なのかな、って思いませんか?

 正解は憲法に規定されていない、つまり居ないということですね。オリンピックに演奏される「君が代」も国歌じゃないんですよね。ある意味で変な国ですね。そもそも首脳(元首)会談には内閣総理大臣が出席するのだから、内閣総理大臣が国家元首でも良さそうですが、そこに落とし穴があるんですよね。いまは国会議員の代表として選出されており、国民から直接信認を受けているのでないから、国家元首だと言えないわけです。仮に国民がこの内閣総理大臣では困ると主張しても、自民党が強力であれば解任できないのです。主権在民の我が国において、国民によって選出できず、国民によって解任できない国家元首は認められないのです。
 これに対して、天皇陛下は日本国、日本国民の象徴です。名としては国家元首の地位にありますが、実は全くありません。旧憲法下では明確な国家元首でありましたが。内閣総理大臣が国家元首を名乗れないのも、実は備えるが、名を得られないことが理由です。憲法改正を行えば良い話ですが、そのためには天皇陛下を中途半端な位置に据えるわけには行かなくなります。議院内閣制を維持するならば天皇陛下を国家元首に据え直し、英国のような立憲君主制に改めるのも良いかも知れません。

 まあ「国家元首」は単なる形式に過ぎませんが、首相を公選で選ぶのは無理なのでしょうか。もちろん議員公選ではなく、国民直接投票選挙でです。自民党がこれを避けようとするのは、内閣総理大臣になるステップが派閥の論理で進まなくなり、国民への知名度を上げる努力が大変になるからでしょうか。たしかにスタンドプレーばかりの政治家というのも迷惑千万ですが、今の政治家は内緒事が多すぎ、国民に対するリップサービスが少なすぎる。自民党も表向きは派閥解消を唱っていますが、選挙や組閣においては政策グループという名の派閥が顔を出しています。こんな状態では国民に選ばれたと胸を張って仕事が出来ませんよね。
 立派な内閣総理大臣の定義は分かりませんが、もっと開かれた選出方法を採用しないと、国民の政治離れが加速するでしょう。かつては70%以上の投票率が一般的でしたが、最近は50%を越えることさえ珍しくなっています。我々は大事なことに気付かなくてはいけません。国民が政治から関心を失うほどに、組織票がモノを言います。そして、公明党議員、共産党議員、農村部出身の自民党議員に有利に働きます。とくに農村部出身の自民党議員が幅を利かせることは避けなくてはいけません。彼らは都市部で集めた税金を農村部に運ぶことしか頭にありません。地元の公共事業にも使うでしょうが、補助金バラマキに使われるほど税金の無駄遣いは無いのですから。こうした身勝手な議員を減らすためにも、首相だけは公選で選び、強い姿勢で政策に取り組める内閣を創り出すべきではないでしょうか。

 まず憲法改正が必要ですが、取り敢えず投票所へ足を運んで少しでも立派な候補を選出することにしましょう。

98.02.15

補足1
 お客様のご指摘に基づいた補足です。首脳会議に出席するのがイコール国家元首ではありません。立憲君主国の英国(連邦各国の元首でもあります)、蘭国では元首は国王ですから、本文のような定義では誤解を生じますね。
 ただ、日本の場合も同様に天皇が国家元首だとは言えません。憲法の規程は、あくまで象徴です。これは対外的にも対内的にも、戦争の責任は国家元首であった天皇に大きくあると判断されたことから、元首ではなく象徴だと言い換えたに過ぎません。GHQのマッカーサー元帥は、日本で天皇制を廃止することは巨大な混乱を生じると判断し、廃止を訴える米国内の反対を押し込めて天皇制を遺しました。
 昭和天皇も崩御され、天皇制と国体のあり方との因果関係が不明瞭に成りつつありますが、それだけに若年層を中心に天皇制そのものの必要性を問う声も強くなっているように感じます。
 ポン太個人としては、天皇制の存続は賛成です。首相公選制が実現するとともに、政権の金権主義を払拭することがなくては、総理大臣に対して名実ともに国家元首の地位を付託することが極めて危険であるからです。永田町の論理を食い止めるための唯一の安全弁として、天皇陛下には頑張っていただく機会がきっと訪れるはずです。

99.10.11

補足2
 自民党の党員・党友の総意で選出された小泉総裁は、その後の首相就任後の初記者会見で、「ほかの条項には触れず首相公選制のためだけの憲法改正なら国民から理解されやすい」と語り、数多い改憲議論の中でも首相公選制を重要視する発言をしたようです。
 関連コラムが、第114回首相直接公選制について」にあります。

01.05.04
前頁へ  ホームへ  次頁へ