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ミュージカル作品紹介(第335回)
つ   ば   め
■劇  団 劇団 わらび座
■鑑 賞 日 平成15年3月15日(土) マチネ
■劇 場 名 東京芸術劇場(池袋)
■料  金 全席指定�,000円(前売価格)

■脚本・演出・作詞 ジェームス三木 ■作曲・音楽監督 飯島 優
■振  付 森田 守恒 ■舞踊指導 鄭 明子,安達 真理
■美  術 松野 潤 ■照  明 杉浦 弘行
■衣  裳 工藤 昭子 ■音  響 栗城 恭子
■殺陣指導 菊地 竜志 ■舞台監督 大川 裕
キ ャ ス ト
お燕/チェビ (椿  千代) 李慶植    (近藤  進)
水島善蔵   (渡辺  哲) せつ     (松橋美枝子)
文吾/半兵衛 (近藤 真行) 小雪     (阿部佐和子)
新三郎    (三重野 葵) 呂裕吉    (小松  強)
丁好寛    (上野 哲也)
ほか多数
ス ト ー リ ー
 文禄・慶長の役で、日本軍は多くの朝鮮人を殺し、あるいは拉致した。豊臣秀吉の死によって講和を結んだが、国交の回復には至っていない。朝鮮国王は、数百人からなる朝鮮通信使を編成し、対馬から駿府・江戸へと派遣してきた。近江国の井伊家でも、その護衛と歓待を受け持つこととなり、酒席でお燕らによる高麗舞踊を披露した。使節の一人であるは、お燕が、行方不明になった妻・チェビであることに気づいた・・。
 使節は朝鮮人を連れ帰ることを将軍から認められ、チュピの返還を当然の権利と主張した。お燕は、藩主から下げ渡される形で、藩士・水島の妻となっていた。子も産んだ彼女は、水島と李のいずれを取るかに悩んだ。水島は、お燕の気持ちを察して朝鮮への帰国を許したのだが・・。
コ メ ン ト
シナリオ 日本史では注目を受けない「朝鮮通信使」を取り上げた作品です。歴史作品を得意とするジェームス三木の脚本・演出で、時代考証も行われているそうです。100分の限られた時間の中で、舞踊へ多くの時間を配分し、お燕/チェビに巧くポイントを絞っています。
キャスト 少人数ながら、一人何役もこなしています。鬘や衣裳を取り替えて、各配役が混じらない工夫もされています。
ナンバー ナンバーリストがありませんでした。お燕のソロが数曲と、日本と朝鮮の舞踊が中心でした。朝鮮舞踊には、鼓や笛など9種類の韓国楽器が使われたようです。
ステージ 舞台上に、板張りの一室を組み上げて、通信使の接待部屋と、水島の屋敷を表現していました。小道具で部屋の雰囲気を上手に演出し、すばやい場面転換をしていました。紗幕には、狩野派の「朝鮮通信使絵巻」が描かれていました。
衣裳にも考証がされており、通信使や踊り手の衣裳が見事です。終盤での船の演出も佳くありました。
演 技 力 近藤渡辺が迫力のある競り方で、よい芝居をしていました。椿の立ち振る舞いがよく、仕草も研究しています。しかし、表情が堅く、単調な印象でした。サブキャストもアンサンブルも目立ちすぎず、よくフォローしていました。
歌 唱 力 椿のソロは、美声であるものの弱々しく、メリハリが不足のように感じます。集団コーラスも地味で、歌唱は全体に弱いと感じます。
ダ ン ス 日本と朝鮮の舞踊を次々に見せ、楽しませてくれます。キャストが少ないために、両方を踊るキャストもあり、渡辺椿がアンサンブルに加わるシーンもありました。椿が終盤でチョゴリを着て踊るシーンが良かったのですが、その後のツバメの群舞で興ざめしました。
総合評価 久しぶりに東京公演を観ました。背景の選択がよく、舞踊を多く取り入れることで、シンプルな作品に仕上がっています。歌唱の弱さが気になりますが、チケット代の安さから言えば、かなりお得です。

蛇足>カーテンコールでジェームス三木が登場し、作品背景やキャストについて、コメントしました。もう少し手短に切り上げた方が良かったように思います。椿は、両親も劇団員の「わらびッ子」だそうです。
上記コメントはポン太の主観&独断に基づいています
なお、評価ランクはポン太の五つ星を参照ください
ア ク セ ス
劇団 わらび座
 事務所/秋田県仙北郡田沢湖町卒田字早稲田430   Tel:0187-44-3311
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