ミュージカル作品紹介(第335回) | ||||||||||||||||||||
つ ば め | ||||||||||||||||||||
|
||||||||||||||||||||
キ ャ ス ト | ||||||||||||||||||||
|
||||||||||||||||||||
ス ト ー リ ー | ||||||||||||||||||||
文禄・慶長の役で、日本軍は多くの朝鮮人を殺し、あるいは拉致した。豊臣秀吉の死によって講和を結んだが、国交の回復には至っていない。朝鮮国王は、数百人からなる朝鮮通信使を編成し、対馬から駿府・江戸へと派遣してきた。近江国の井伊家でも、その護衛と歓待を受け持つこととなり、酒席でお燕らによる高麗舞踊を披露した。使節の一人である李は、お燕が、行方不明になった妻・チェビであることに気づいた・・。 使節は朝鮮人を連れ帰ることを将軍から認められ、チュピの返還を当然の権利と主張した。お燕は、藩主から下げ渡される形で、藩士・水島の妻となっていた。子も産んだ彼女は、水島と李のいずれを取るかに悩んだ。水島は、お燕の気持ちを察して朝鮮への帰国を許したのだが・・。 |
コ メ ン ト | ||
シナリオ | ☆ | 日本史では注目を受けない「朝鮮通信使」を取り上げた作品です。歴史作品を得意とするジェームス三木の脚本・演出で、時代考証も行われているそうです。100分の限られた時間の中で、舞踊へ多くの時間を配分し、お燕/チェビに巧くポイントを絞っています。 |
キャスト | ☆ | 少人数ながら、一人何役もこなしています。鬘や衣裳を取り替えて、各配役が混じらない工夫もされています。 |
ナンバー | ◎ | ナンバーリストがありませんでした。お燕のソロが数曲と、日本と朝鮮の舞踊が中心でした。朝鮮舞踊には、鼓や笛など9種類の韓国楽器が使われたようです。 |
ステージ | ◎ | 舞台上に、板張りの一室を組み上げて、通信使の接待部屋と、水島の屋敷を表現していました。小道具で部屋の雰囲気を上手に演出し、すばやい場面転換をしていました。紗幕には、狩野派の「朝鮮通信使絵巻」が描かれていました。 衣裳にも考証がされており、通信使や踊り手の衣裳が見事です。終盤での船の演出も佳くありました。 |
演 技 力 | ☆ | 近藤と渡辺が迫力のある競り方で、よい芝居をしていました。椿の立ち振る舞いがよく、仕草も研究しています。しかし、表情が堅く、単調な印象でした。サブキャストもアンサンブルも目立ちすぎず、よくフォローしていました。 |
歌 唱 力 | ◎ | 椿のソロは、美声であるものの弱々しく、メリハリが不足のように感じます。集団コーラスも地味で、歌唱は全体に弱いと感じます。 |
ダ ン ス | ☆ | 日本と朝鮮の舞踊を次々に見せ、楽しませてくれます。キャストが少ないために、両方を踊るキャストもあり、渡辺や椿がアンサンブルに加わるシーンもありました。椿が終盤でチョゴリを着て踊るシーンが良かったのですが、その後のツバメの群舞で興ざめしました。 |
総合評価 | ◎ | 久しぶりに東京公演を観ました。背景の選択がよく、舞踊を多く取り入れることで、シンプルな作品に仕上がっています。歌唱の弱さが気になりますが、チケット代の安さから言えば、かなりお得です。 蛇足>カーテンコールでジェームス三木が登場し、作品背景やキャストについて、コメントしました。もう少し手短に切り上げた方が良かったように思います。椿は、両親も劇団員の「わらびッ子」だそうです。 |
上記コメントはポン太の主観&独断に基づいています なお、評価ランクはポン太の五つ星を参照ください |
||
ア ク セ ス | ||
劇団 わらび座 事務所/秋田県仙北郡田沢湖町卒田字早稲田430 Tel:0187-44-3311 |
||