ミュージカル作品紹介（第３１９回　パパの明日はわからない）

ミュージカル作品紹介（第３１９回）

パパの明日はわからない

`■劇　　団`　`劇団ふるさときゃらばん`
`■鑑賞日`　`平成１５年１月１３日（月）　マチネ`
`■劇場名`　`東京芸術劇場・中ホール（池袋）`
`■料　　金`　`全席指定　Ｓ席4,800円（前売価格）`

`■作・演出`　`石塚　克彦`	`■演出助手`　`天城　美枝`
`■脚　　本`　`石塚　克彦，纐纈　俊郎`	`■音　　楽`　`寺本　建雄`
`■振　　付`　`小澤　薫世`	`■編　　曲`　`下座バンド`
`■音　　響`　`犬飼　祥二，石川　司`	`■照　　明`　`田中　暢，武居　志左子`
`■装　　置`　`ユージン原，石塚　克彦`	`■衣　　裳`　`小栗　綾子`
`■映　　像`　`高橋　英輝，林　大輔`	`■舞台監督`　`村山　光喜，ユージン原`
`■プロデュース`　`ひらつか順子`	`■制　　作`　`大内　義信`

キ　ャ　ス　ト

`栗木　勉　　　（小山田錦司）`	`栗木　敏子　　（沖山　稔子）`
`栗木　尚　　　（市村　啓二）`	`栗木　瑞生　　（植本　梨沙）`
`栗木　弥次郎　（小島　茂夫）`	`谷山　作治　　（谷内　孝志）`
`石川　肇　　　（齋藤　勝洋）`	`明野　希香　　（陣内あかり）`
`中村　足介　　（大塚　邦雄）`	`中村大児郎　　（萩原　貴光）`
	`ほか多数`

ストーリー

　会社人間だった勉は、家族との団欒をしたことがなかった。息子尚はパラサイト予備校生、娘瑞生は学費を使い込む不良少女、一日中プラプラしている父弥次郎。ついに妻敏子は「主婦業」を放棄し、勤めに出る決意をした。役員昇進を目前に、食品会社を定年になった勉は、家出中の瑞生に自分の過ちを悟らされる。
　敏子の勤めは順調で、今やキャリアウーマン。無職となった勉は、職探しの傍らで「主夫業」に専念し始める。研究熱心さが余って、すっかり板につき、ご近所の信望を集める。娘は家出をやめ、父は敏子の手伝いで収入を得て、息子は就職を考える。そして、毎日の一家団欒。。。主夫として多くを学んだ勉は、会社人間としてのキャリアを捨て、スーパーのパートを始めるのだった。

`コ　メ　ン　ト`
`シナリオ`	`◎`	`基本ストーリーはシンプルですが、枝道の話が多く、面倒になっています。会話は練られていますし、伏線の張り方や構図の演出も巧いだけに、惜しまれます。食品工場について、よく研究がしてある印象です。` `序盤の足助、会社部下の石川＆明野などスポットを当てる人間が多すぎます。また、勉の部長昇進から退職に至るまでを、暗転一つで飛ばしたのが惜しまれます。他の冗長なシーンの方を削ってでも、入れて欲しいです。`
`キャスト`	`◎`	`久しぶりのサラリーマンミュージカルです。劇団員の顔ぶれが変わったためか、田舎臭い印象が抜けました。同じ作・演出家ですのに、シナリオが今風に転換してきたことも大きく影響しています。`
`ナンバー`	`◎`	`「自動炊飯器」＆「きじ焼きめし」、「走らせろ」など、テンポの良いダンスナンバーがありました。単調な歌詞や迫力不足なシンガーに課題があり、ソングナンバーは映えません。フィナーレ「仕事をして生きる」は、単調ながらもインパクトがありました。`
`ステージ`	`☆`	`栗木家のダイニングキッチンは、作り込まれた良いセットです。また、めし屋のセットと背景がよく表現されています。しかし、食品会社のセットは、対照的にシンプルすぎました。「きじ焼きめし」でのダンス衣裳が印象的でした。今回はプロジェクターを使った派手な演出もありました。焼きめしのパッケージを本格的に作るなど、手が込んでいます。`
`演技力`	`◎`	`全国巡業を重ねる実戦派劇団だけに、誰もが真剣で良い演技をしています。しかし、メインが弛みを見せたり、アンサンブルが妙に目立ったり、マイナス面もありました。``小山田``の買い物シーンは、笑える出し物でした。` `客演の``植本``の熱演が印象的で、``小山田``のダメパパぶりとマッチして、面白い味を出していました。``陣内``の仕切り屋ぶりは、メリハリが利いていました。``沖山``は、空回り気味なシーンが繰り返しありました。` `大塚``は、諄すぎる芝居が多いのですが、演出家の要請なのかも知れません。``齋藤``は、オーバーアクションに冷めてしまいます。`
`歌唱力`	`○`	`ナンバーの問題もあると思いますが、歌唱は冴えません。フィナーレ「仕事をして生きる」だけは、迫力が出ていましたが、コーラスとしての纏まりは不足でした。` `下座バンドの男女デュオは、面白い演出であるものの、付け合わせに終わるため、作品に溶け込ませて欲しいです。`
`ダンス`	`☆`	`集団ダンスに魅力があります。プロローグ「走らせろ」での忙しい満員電車シーンが印象的でした。タップも絡めるなど新しい試みが見えました。また、「自動炊飯器」でチョコマカと動く御飯を表現したものが、とくに秀逸でした。「きじ焼きめし」へ繋いで焼きめし完成までの工程も、目を楽しませます。`
`総合評価`	`◎`	二幕以降でテンションを上げていき、終盤へ盛り上げていく運び方が見事です。その分だけ、一幕での足助や石川の絡むシーンが、惜しまれます。栗木一家に重点をおいたシンプルな運びに仕上がった欲しいです。ソングナンバーは、歌詞にもう少し工夫が欲しいです。メッセージが強すぎ、シンガーが十分に感情を注いでおらず、観客への訴求力が弱いのが難点でしょうか。 `とはいえ、「噂のファミリー」に続き、インパクトのある作品が増えています。今後の新作にも、期待が持てます。`
`上記コメントはポン太の主観＆独断に基づいています` `なお、評価ランクは``ポン太の五つ星``を参照ください`
`ア　ク　セ　ス`
`劇団ふるさときゃらばん` 　`事務所／``東京都小金井市本町６－５－３　　　　Ｔel：0423-81-6721`