前回へ  ホームへ  次回へ
ミュージカル作品紹介(第318回)
ジキル & ハイド
■劇  団 東宝ミュージカル
■鑑 賞 日 平成15年1月 7日(火) ソワレ
      平成15年1月25日(土) ソワレ
■劇 場 名 日生劇場(日比谷)
■料  金 全席指定 S席12,000円(前売価格)

■原  作 オン・ブロードウェイ「JEKYLL & HYDE THE MUSICAL
 原  案:R.L.STEVENSON(R.L.スティブンソン)
 脚本・作詞:LESLIE BRICUSSE(レスリー・ブリッカス)
 作  曲:FRANK WILDHORN(フランク・ワイルドホーン)
■翻訳・訳詞 高平 哲郎 ■台本協力 高橋 亜子
■演  出 山田 和也 ■音楽監督 甲斐 正人
■装  置 大田 創 ■照  明 高見 和義
■衣  裳 小峰 リリー ■ヘアメイク 武田 千巻
■声楽指導 北川 潤,岡崎 亮子 ■振  付 上島 雪夫
■アクション 渥美 博 ■音  響 大坪 正仁
■舞台監督 染谷 信幸 ■製  作 梶浦 智嗣,田中 健友
キ ャ ス ト
ジキル/ハイド(鹿賀 丈史) ルーシー    (マルシア)
エマ     (知念 里奈) ダンヴァース (浜畑 賢吉)
アターソン  (池田 成志) ストライド  (石川  禅)
大司教   (大須賀ひでき) サベージ   (林 アキラ)
グロソップ  (阿部  裕) プループス  (小関 明久)
執事/ジキル父(丸山 博一) ほか
ス ト ー リ ー
 医師ジキルは、セント・ジュード病院に精神病で入院しているを救うため、その最高理事会に彼の理論を紹介し、人体実験を提案した。それは人間の善と悪を分離するという新薬であったが、禍々しい提案に理事たちは反対した。婚約者エマの父ダンヴァースの口添えはあったが、恋敵ストライドの巧妙な誘導にも敗れた。ある夜ジキルは、親友アターソンに誘われて、娼婦館へ足を運んだ。そして、妖艶でも純情なルーシーから、ある啓示を受けたのだった。
 ジキルは、自ら新薬を服用した実験を始めた。しかし、それは内面の悪の人格ハイドを目覚めさせることになる。ルーシーを痛めつけ、そして理事会の面々を殺害する、ハイド。街では凶悪犯として恐れられるが、外面も豹変するためか、正体がジキルだとバレない。しかし、繰り返し服用を続けてるうちに、ジキルの人格に自信が持てなくなる・・。
コ メ ン ト
シナリオ 劇場や映画で数多くの作品が生まれてきたため、本作も大胆な切り口でジキル&ハイドを描いています。とくに二幕は秀逸ですが、一幕の拙さが足を引っ張る感じです。ジキルの演説シーンの空回り、ハイドによる理事暗殺の呑気さ、日本版独自の演出の可能性もありますが、勿体ないです。
キャスト 歌唱力のある二人のヒロインを据えてあるため、聞き応えがあります。男性キャストも歌える人が多く、歌唱面でインパクトがあります。その分だけ、ダンスのウェートは小さいですが。
ナンバー 時が来た」が有名。「あんなひとが」「あれは夢」「その日に」「新たな生活」など、ヒロインのナンバーに良いものが多いです。しかし、一幕のロンドン・スタイル(会話を歌声で繋ぐナンバー)は、邦語が詰まりすぎで韻も踏まず、聞き苦しいナンバーがありました。
ステージ
ロンドン・シティの広場を切り取ったようなステージで、三方を高い壁で囲んで無数の窓やアーチが埋め込まれていました。四つの稼働セットが壁からセリ出てくる素早い転換や、正面奥から出てくる研究装置の重々しい転換が見物です。さらに、本物の炎や、空砲の連射など他のステージではお目に掛かれない演出も、多くあります。
衣裳は、エマのパーティードレスが印象に残りました。
演 技 力 鹿賀は、緩急を付けた芝居を今年は目指すと語っています。二幕の早変わりや、ジキルの憔悴感に激しさがあるものの、一幕で軽いノリが目立ちました。アドリブ風の台詞で、外したシーンもありました。何しろ主役ですから、緩めすぎは気になります。
池田浜畑は良い芝居をしていましたが、理事役たちの間の抜けた芝居が惜しまれます。マルシアは、クライマックスでの演技が映えました。知念の必死な様子は伝わりますが、歌唱を伴わないシーンでは、存在感を欠きました。
歌 唱 力 マルシアの伸びやかで重厚な歌唱、知念の透明で張りのある歌唱は、ソロでもデュオでも遺憾なく発揮されました。何度でも劇場に通いたくなるほどの素晴らしいものです。
鹿賀は「苦悩2」で熱演&熱唱を見せますが、「時が来た」を軽く唱いすぎたことが惜しまれます。
ダ ン ス マルシアら娼婦のダンスは、官能的な雰囲気が出ず、物足りない出来でした。群衆のダンスも半端でした。鹿賀による要人暗殺シーンは、いずれも単調でした。ダンスを絡めても良いのではないでしょうか。
総合評価 セットの意外性、鹿賀の早変わり、迫力ある歌唱にインパクトがあります。また観に来たいと思わせる作品です。金が掛かっているセットのようですから、毎年再演を重ねて、チケット代を抑制する努力が欲しいです。
上記コメントはポン太の主観&独断に基づいています
なお、評価ランクはポン太の五つ星を参照ください
ア ク セ ス
東宝ミュージカル
前回へ  ホームへ  次回へ