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ミュージカル作品紹介(第276回)
雲にのった阿国
■劇  団 劇団鳥獣戯画
■鑑 賞 日 平成14年4月27日(土) マチネ
■劇 場 名 本多劇場(下北沢)
■料  金 全席指定�,000円(前売料金)

■脚本・演出・振付 知念正文  ■音  楽 雨宮 賢明
■美  術 本郷 友美     ■照  明 阿部 康子
■音  響 かとう知恵理丸   ■衣  裳 石丸 有里子
■舞台監督 橋本 智博     ■制  作 高橋 浩
キ ャ ス ト
阿国     (石丸有里子)   捨丸   (ちねんまさふみ)
お福     (杉山佳寿子)   秀二郎    (あぜち 守)
錦之助    (勝  誠二)   秀吉/家康  (十貫寺梅軒)
堺屋     (倉田 秀人)   お甲     (大村 美樹)
お花     (竹内久美子)             ほか多数
ス ト ー リ ー
 出雲の巫女踊りという触れ込みで、京都で一世風靡した阿国一座。太閤秀吉から天下一の称号を与えられたものの、大水害を契機に江戸へ拠点を移した。江戸でも大ブームとなり、歌舞伎の源流となったのもつかの間、かつてコンビを組んだこともある捨丸の妨害で一座は崩壊へ。体を壊した阿国であったが、大御所家康の面前で捨丸と日本一を競うことになった。。。
コ メ ン ト
シナリオ 1989年初演の作品がベースで何度も再演されているそうです。このためシナリオはよく練られてあり、安心して観られました。アングラに徹するということであり、面白ければ何でもありという印象でした。
休憩なしの140分上演は、厳しいです。
キャスト プロパー劇団員の技術は一層磨きが掛かっています。客演もベテラン演技派が揃えてあり、良いキャスティングだと思います。
ナンバー 良いナンバーもありましたが、冴えないナンバーもありました。とくに錦之助のナンバーは、客受けは良いものの、作品から浮いてしまいます。
ステージ 方形の板張り舞台が中央に組まれていました。障子や幕を組み合わせ、場面転換に工夫がありました。小道具は多めで、細かいところに拘りが感じられます。舞台の下には土盛りがあり、素足のキャストには厳しいようでした。
演 技 力
石丸は、綺麗な立ち振る舞いと気風良さが目を惹きました。年代を追っての演じ分けも巧く、キャラクターをよく研究しています。ハイジ・まこと・コロ助の声優で知られる杉山は、ミュージカル初登場とのことです。お福晩年の演技は抜群でした。
ちねんは堅く古風なキャラクターを演じ、全体を巧く纏めていました。あぜちはオカマ芝居を崩すことなく、人情を巧く醸し出しています。十貫寺倉田の濃いキャラクターも面白いです。
歌 唱 力 石丸は低音ですが良い声をしています。声が掠れるパートがあり、惜しい印象です。コーラスは賑やかなものが多くあり、聴かせるナンバーは少ないです。
ダ ン ス ちねんは多芸さを披露していましたが、日本一の勝負は気迫が感じられず惜しいと思います。石丸も同様に感じます。
オープニングの群舞、大八車を牽くシーンなど面白い演出もあるものの、極めや美しさには物足りなさを感じました。歌舞伎がテーマであるので、ダンスにもメリハリが欲しいところです。
総合評価 初演作品は「劇画版コーラスライン」と説明されており、「ONE」を捩ったナンバーがありました。錦之助のエレキギターと合わせ、アングラ世界らしさはありますが、全体的な収まりが気になりました。シナリオ・キャストのグレードが高く、敢えてアングラに傾く必要も無いのでは、と思います。

蛇足1>アングラ芝居が一世風靡した時代に強烈な個性があったことは事実でしょうが、アングラが勢いを失った現在をパワー不足と言い切るのはどうかと思います。エネルギッシュな作品は依然として多く、芸能や作風のバリエーションも増えていると思います。
蛇足2>「花のフィナーレ」というのがありました。観客からは次々に「お捻り」が投げられ、キャストも拾っていました。普通では観られない演出でした。
上記コメントはポン太の主観&独断に基づいています
なお、評価ランクはポン太の五つ星を参照ください
ア ク セ ス
劇団鳥獣戯画
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