コ メ ン ト | ||
シナリオ | ☆ | 童話「みにくいアヒルの子」を現代風にアレンジした作品。本作は、さらに日本人向けにアレンジしてあり、翻訳に無理なくコミカルな芝居に仕上がっています。 筋書きが淡々とオムニバス形式で展開されるため、伏線が生かし切れずに冗長な印象でした。キャットをもう少し巧く使って欲しい気がします。 |
キャスト | ☆ | 個性的なキャストを集めており、アンサンブルも良い人材を揃えてあります。原作はアヒルの子に黒人を採用し、人種問題をえぐり出したそうですが、本作のアヒルの子は醜くもありません。 |
ナンバー | ◎ | 「誰かが君を愛している(WARTS AND ALL)」が響きよいコーラスで秀逸でした。日本語のソングも問題なく、聞き応えがあります。「雁の暗中模索隊(THE WILD GOOSE CHASE)」も勇ましく、面白いナンバーです。 リズミカルで楽しいナンバーが多く、日本語歌詞がメロディを損なわず、半端なカタカナナンバーとなっていません。 |
ステージ | ◎ | 序盤は川岸に葦原を植えたイメージですが、全体に人間らしさを演出しています。小道具が豊富で面白く、テーブルやソファーなどデフォルメされたセットも目を惹きます。アヒルの子はグレーのジャケット、白鳥はホワイトのダウンジャケットというのも面白いです。 照明の使い方も巧く、何度か唸らされるシーンがありました。 |
演 技 力 | ☆ | ミュージカルは初だという美勇士は、舞台度胸があり巧いです。鳳は近頃の堂々とした芝居とは違い、心配性の母親を良く演じています。体一杯で濃いキャラクターを演じていた深沢も面白いです。間抜けなネコを演じる川崎は、チョビ髭を付けての三枚目に徹していました。 アンサンブル達も表情が豊かで、色々と楽しませてくれました。いくつもの配役を掛け持ちするものの、一部を除いて個性を薄めてあるためか、あまり違和感を覚えませんでした。 |
歌 唱 力 | ◎ | 「誰かが君を愛している」は心地よく耳に残るコーラスで、フィナーレにリプライズされたのも、嬉しかったです。 美勇士は若手有望株なロックシンガーだそうですが、本作では目立った歌唱が少なかったです。ワンシーンだけ伸びと張りのある声がありました。 |
ダ ン ス | ◎ | 「あの子」「誰かが君を愛している」の集団ダンスが楽しい仕上がりでした。踊れないキャストは無いものの、足が十分に上がらない、テンポがずれるなどは、チラホラありました。 |
総合評価 | ◎ | かなり日本風にアレンジしてあり、目立った粗もありません。しかし、ファミリー向けと期待させた割には、子供に難しい印象でした。2000年度オリヴィエ賞の受賞作品であるそうですが、これには差別問題を掘り下げた功績もあったためとか。日本人だけで演じる本作では、訴求力も半減でしょうか。アヒルの子の変身もささやかですし。。。 楽日の前日でしたが、客入りはセンターブロックを中心に半分程度。結構な空席が目立ちました。作品の出来映えからすれば、もう少し入っても良い感じがしました。劇場ロビーで余ったチケットを売り出していたのにも、窮状が忍ばれます。 |
上記コメントはポン太の主観&独断に基づいています なお、評価ランクはポン太の五つ星を参照ください |
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ア ク セ ス | ||