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ミュージカル作品紹介(第237回)
天翔ける風に
■劇  団 TSミュージカルファンデーション
■鑑 賞 日 平成13年7月22日(日) ソワレ
■劇 場 名 シアターアプル(新宿)
■料  金 全席指定 A席6,500円(前売料金)

■原  案 戯曲「贋作・罪と罰」(野田秀樹・作)
■構成・演出・振付・作詞 謝 珠栄
■作曲・作詞 玉麻 尚一    ■作  詞 佐藤 万里
■美  術 升平 香織     ■照  明 塚本 悟
■音  響 山中 洋一     ■殺  陣 渥美 博
■舞台監督 山岡 均      ■衣  裳 東宝舞台
■ガード指導 平間 保
■制  作 飯塚 久子,片伯部 道子,松野 良子
キ ャ ス ト
三条英    (香寿たつき)   才谷/坂本  (畠中  洋)
都      (立川 三貴)   溜水     (福井 貴一)
甘井     (石原 慎一)   ヤマガタ   (平沢  智)
三条智    (伊藤 恵里)   護之進    (笠原 竜司)
                           ほか多数
ス ト ー リ ー
 江戸開成所の女塾生三条英。「一人の悪人を殺して万の善人を救う」という理想を持つが、勢い余って金貸しの老女姉妹を殺めてしまう。幸いにして、罪は他人が被ることになった。しかし、奉行所役人が疑いを持ち、英に精神的な揺さぶりを掛けるのだった。直情で嘘の付けない彼女は、かなり危ない発言を繰り返すのだが、決定的な証拠がない。
 そして時代は、幕末。江戸に蠢く怪しい面々。ええじゃないか騒動を操るのは、英の妹の許嫁。そして死んだはずの父親まで荷担していると知れる。英を理解しようとするのは、同じ塾生の才谷。謎の多い彼を、坂本龍馬だと言う者があるが・・
コ メ ン ト
シナリオ 原案にも問題があるのでしょうが、時代考証は無視されているようです。幕末だか明治初期だかはっきりしない設定で、ストーリー展開も極めて不自然です。会話もあまり練られていないようで、間延びしたものに仕上がっていました。
キャスト メインもサブも、巧い俳優が揃っています。
ナンバー 全体を通して、あまり印象に残るナンバーがありませんでした。ソロもインパクトが弱く、物足りませんでした。リプライズされた「大川の向こう」はまずまずでした。
ステージ 橋の欄干をイメージした二階ステージで、両脇に幅広の階段があり、正面一階に板戸が4枚はめ込んでありました。照明の組み合わせが巧く、場面転換は見事です。しかし小道具の使い方は、ややバランスが悪い印象を受けました。衣裳は、ステージに映えるものを選んだようですが、洋風でハイカラなのは、幕末のイメージに合いません。
演 技 力 香寿は、堂々とした発声、立ち振舞いが綺麗です。宝塚出身の貫禄を感じさせます。いささか粗暴すぎる印象を受けましたが、シナリオのバランスからすると、もう少し抑える方が自然でしょう。
立川福井畠中は、いずれも渋い演技を見せ、それぞれ異なる味わいがあります。石原の老け役は、意外性があって面白かったです。伊東は、福井との迫真のやりとりが見事でした。
歌 唱 力 香寿の声は、宝塚での唱いに興味がありますが、声量が不足する感じがしました。伊東は良い声を持っていますが、ソロはショートで残念でした。ナンバーの出来に関係があるものか、コーラスが冴えませんでした。
ダ ン ス 長柄を使ってのアクションは、派手でした。殺陣シーンはよく極まっていますが、ダンスシーンが不足で、TSらしくありません。
総合評価 シナリオの不出来が気になるものの、全く架空のお話としては、まずまずでしょうか。不出来をキャストがカバーしていた印象です。香寿がもっと聴かせてくれると違うのでしょうが、ナンバーが冴えないのも問題でしょう。前評判ほどには完成度が高くなく、せっかくのキャストを生かしていませんでした。

蛇足1>まだまだ公演日数も残していたというのに、プログラムが開演前に品切れでした(過去300回の観劇で入手できなかったのは、青年座の1回だけ)。地方公演も控えているのに品切れとは・・少し呆れました。
蛇足2>知人がプログラムを譲ってくれましたので、書誌的事項を補いました(2001.11.03)
上記コメントはポン太の主観&独断に基づいています
なお、評価ランクはポン太の五つ星を参照ください
ア ク セ ス
TSミュージカルファンデーション
 事務局/東京都港区南青山5−3−2   Tel:
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