前回へ  ホームへ  次回へ
ミュージカル作品紹介(第233回)
キャンディード
■鑑 賞 日 平成13年6月28日(木) ソワレ
■劇 場 名 東京国際フォーラム・ホールC(有楽町)
■料  金 全席指定 S席12,600円(前売料金)

■原  作 オン・ブロードウェイ「Candide
 作  曲:レナード・バーンスタイン
 原  案:ヴォルテール     脚  本:ヒュー・ウィーラー
 作  詞:リチャード・ウィルバー
■翻  訳 松岡 和子     ■訳  詞 橋本 邦彦
■演  出 宮本 亜門     ■指  揮 佐渡 浩
■美  術 ニール・バテル   ■衣  裳 八重田 貴美子
■照  明 原田 保      ■音  響 山中 洋一
■振  付 川原 あけ未    ■ヘア&メイク 高橋 功亘
■舞台監督 小林 清隆
キ ャ ス ト
キャンディード(石井 一孝)   クネゴンデ  (増田いづみ)
オールドレディ(中島 啓江)   パケット(シルビア・グラブ)
パングロス  (黒田  博)   マキシミリアン(岡 幸二郎)
ヴォルテール (岡田 眞澄)             ほか多数
ス ト ー リ ー
 フランス啓蒙思想家、ヴォルテールが書いた古典作品。
 ウェストフェリアの男爵家の私生児キャンディード。令嬢クネゴンデを愛したが男爵に拒絶され、ブルガリア軍に入隊。その軍に男爵家は蹂躙され、彼は傷心と絶望の旅に。オランダ・リスボン・パリを経て、死んだはずのクネゴンデに再会した。彼女を愛人としていた、ユダヤ商人とカトリック大司教の愛人を殺害し、婆やオールドレディも連れてブエノスアイレスへ逃亡。新天地アメリカでも数々のトラブルに見舞われ、何とかベニスにたどり着いた。安住の地を得たはずのキャンディードは、退屈な生活に嫌気がさし・・。
コ メ ン ト
シナリオ 古典の名作かどうかは知りませんが、シナリオは支離滅裂でした。バーンスタインは、各都市をイメージした名曲を作ったようです。2幕15場からなるツギハギのストーリーで、退屈なものでした。辛うじてヴォルテール役に狂言回しを務めさせていますが、180分余りの長編は退屈です。
キャスト 良いキャストを揃えています。ダンスや演技力に優れた人材が多いだけに、シナリオの不味さが余計に引き立ちます。
ナンバー 名音楽家の作品だけに、重厚で味わいある美しいメロディで綴られます。しかしシナリオ同様に、テーマはバラバラで場当たり的です。訳詞の問題なのか歌詞は物足りず、シンガーの技量に寄りかかった印象を受けました。
ステージ
地球儀をイメージさせるような立体的なステージでした。ベースの中央に円形ステージがあり、それを取り巻くようにドーナツ状の傾斜ステージ、さらに上層に半円ステージがある4層構造で、階段等も交えて空間を目一杯活かしていました。
城やピラミッドや帆船などのミニチュアが登場し、小道具にも手間が掛かっています。衣裳は豪華なものが多く、次々に出てきては、目を楽しませてくれます。
演 技 力 石井は、ほぼ出ずっぱりで熱演していました。広いステージを駆け巡り、表情も動作も豊かで、愉しませてくれます。中島も、意外に役者らしく活躍していました。岡田の少し惚けた狂言回しも秀逸です。アンサンブルも含めて、演技力は高いです。
歌 唱 力 増田のソプラノは美しく、重量感のある美声でした。聴かせる場面もありますが、真面目なナンバーが少ないため、惜しいです。中島も聴かせる場面は少なく、ツマラナイです。石井も序盤以外は迫力を欠いていました。
フィナーレのコーラスは優れていますが、全編を通して不足な印象です。
ダ ン ス 集団ダンスは統一感のある動きで、質が高いです。大人しいダンスが中心でしたが・・。
総合評価 場当たり的なストーリー展開、伏線も何もない進行、支離滅裂で整合性なく、訴えかけたい哲学も不明確で、散々なシナリオでした。古典ですので、もっと脚本家や演出家が消化して再構成して欲しいです。俳優や音楽の質が高いだけに、シナリオだけでぶち壊している印象を受けます。
そうヒットしたようでもない輸入作品であるだけに、チケット代は不相応に高く、満足感は得られませんでした。凝りすぎたプログラムも虚しく、1部2,000円もしたのが残念です。
上記コメントはポン太の主観&独断に基づいています
なお、評価ランクはポン太の五つ星を参照ください
ア ク セ ス

前回へ  ホームへ  次回へ