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ミュージカル作品紹介(第211回)
菜 の 花 の 沖
■劇  団 劇団 わらび座
■鑑 賞 日 平成13年2月12日(日) ソワレ
■劇 場 名 東京芸術劇場・中ホール(池袋)
■料  金 全席指定�,500円(前売料金)

■原  作 小説「菜の花の沖」(司馬遼太郎著)
■脚本・演出 ジェームズ 三木  ■音  楽 飯島 優
■振  付 菊池 正平      ■美  術 妹尾 河童
■照  明 勝柴 次朗      ■衣  裳 工藤 昭子
■小 道 具 岩辺 健二      ■履  物 平野 忍
■音  響 宮地 英介      ■舞台監督 大川 満
■殺陣指導 菊池 竜志      ■露語指導 N.ヴィクトル
■か つ ら 八木 かつら
キ ャ ス ト
嘉兵衛    (安達 和平)   リコルド   (近藤  進)
ふさ     (丸山 有子)   長官     (椿  康寛)
高橋/文治  (荒川  洋)   吉蔵     (黒木 友宜)
オリーカ   (川口  樹)             ほか多数
ス ト ー リ ー
 国後に上陸した露軍ゴローニン少佐を、松前奉行所が拘束した。少佐の副官であるリコルドは、報復に高田屋嘉兵衛の商船を襲って、乗組員以下5名をカムチャッカへ連行した。その途上、二人には不思議な友誼が芽生え、リコルドは彼らを賓客扱いしたのだった。少佐の無事を断言し、松前奉行所への人質交換の斡旋を申し出る、嘉兵衛。紆余曲折を経て、一行は蝦夷地までやって来たが・・。
コ メ ン ト
シナリオ
無理のない筋書きで、素直にシーンを繋いでいく技術は見事です。シーン毎に纏まりがあり、ヤマ場も上手に演出されていました。原作の良さもありますが、そのエッセンスを上手に料理して見せた、ジェームズ三木の腕が冴えています。感動的なシーンも多く、その余韻を上手に保ってありました。
キャスト わらび座公演は初めて観ましたが、プロパー劇団員のようでありながら、随分とハイレベルなキャストでありました。とくに演技力とダンス力が☆です。
ナンバー スラブ系のダンス曲」「コサックのダンス曲」「リムセの歌と舞踊(アイヌ)」などダンスナンバーが秀逸でした。日本浪曲が対極に示され、「年の内に春は来にけり一臼に」「船に乗るとも炊にゃなるな」など、良いソングナンバーもありました。
ステージ シンプルながら豪華なステージでした。船舶の艦橋、ロシア小屋、奉行所など見事です。衣裳もよく考証されているようで、美しく映えていました。終幕のステージ中で菜の花が溢れるトリックは、見事です。紗引きを多用するのは単調でしたので、アクセントが欲しいと感じました。
演 技 力
安達は、関西弁で押し出しの強い商人を演じていました。近藤もよく相対し、尊大さをちらつかせながら優しさを示すロシア軍人の味がありました。脇を固めるサブキャストの質も高く、少ない人数で、多くの役回りを自然にこなしていました。
歌 唱 力 安達の朗々と唄うナンバーは惚れ惚れさせます。なかなか日本の伝統芸能をモチーフにするミュージカルは、本作のレベルにありませんので、嬉しいです。ロシア軍人の「ヴォルガの舟歌」は何度も登場しましたが、重量感のある良いコーラスでした。
ダ ン ス コサックのダンス曲」は、難しい足裁きをこなして、トリオで揃っていました。「スラブ系のダンス曲」の群舞は、華やかで美しいフォーメーションでした。シンプルながら、「M8:ヴォルガの舟歌」の日露合同ダンスも面白かったです。
総合評価 原作・脚本・演出・舞台美術、いずれも一流のスタッフであるため、完成度は申し分ありません。キャストの質も高く、よく磨き込まれた演技でありました。秋田県が本拠地とのことですが、これからも東京での活動を活発に行って欲しいと思います。全国公演中の他作品にも期待します。

終幕直後の一番目に、安達さんと近藤さんの握手を頂戴しました!
※本作は、東京芸術劇場のミュージカル月間公演の参加作品です。
上記コメントはポン太の主観&独断に基づいています
なお、評価ランクはポン太の五つ星を参照ください
ア ク セ ス
劇団 わらび座
 事務所/秋田県仙北郡田沢湖町卒田字早稲田430   Tel:0187-44-3311
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