ミュージカル作品紹介(第210回) | ||
PAUL(パウロ) | ||
■鑑 賞 日 平成13年2月3日(土) マチネ ■劇 場 名 博品館劇場(新橋) ■料 金 全席指定�,500円(前売料金) ■演出・音楽・美術・振付 橋爪 貴明 ■脚本・作詞 西村 由紀 ■振 付 上島 雪夫 ■美術・衣裳 金井 ひろみ ■照 明 幸村 克哉 ■音 響 実吉 英一 ■舞台監督 有馬 則純 ■ヘアメイク 森川 智未 ■制 作 橋爪 由紀 |
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キ ャ ス ト | ||
パウロ (吉野 圭吾) マリア (真織 由季) ステファノ (山形ユキオ) リディア (春日 宏美) シモン (伊藤 大輔) ローザ (鈴樹 葉子) ほか多数 |
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ス ト ー リ ー | ||
キリスト教団初期の伝道者パウロ。若くして、パリサイ派ユダヤ教の指導者となり、当初は教団を弾圧した。しかし突然に改宗し、その後はローマ帝国各地で熱心な布教を展開し、処刑されたとされる。彼の改宗には何が起こったのか、彼を使徒以上の伝道活動に駆り立てたのは・・? パウロの生まれ故郷、タルソス。ユダヤ教の勉強のためエルサレムへと出立する前夜、街で幼な馴染みのマリアに出会った。世事に疎い彼は気づかなかったが、彼女はユダヤ教の禁じる娼婦に身を落としていた。 教会で勉学に励むパウロは、階位を順調に上げていった。しかし母親同然のリディアから、マリアがキリスト教に入信したと知らされる。伝教師ステファノの洗礼を受けたマリアを憎むパウロ、その身を哀れむ者は・・。 |
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コ メ ン ト | ||
シナリオ | ☆ | パウロ処刑のシーンをオープニングに配し、彼の業績である伝道活動の一切を省いた演出が良いと思います。人間くさいパウロがよく伝わります。ただし観客の多くは、パウロをよく知らないでしょうが・・。 会話などで間延びするシーンがあったのが、残念です。 |
キャスト | ◎ | メインの4人と、サブの2人はレベルが高いです。共演者達も、ダンスは良く、演技もまずまずですが、あまりキャラクター性を与えられていませんでした。 |
ナンバー | ◎ | いろいろな楽曲をベースにしてあって、綺麗なナンバーが多いです。歌い手の問題もありますが、ソングはやや単調な印象でした。「この道の彼方に」が印象的なコーラスでした。 |
ステージ | ◎ | ステージ後方に高さの違う立方体を組み合わせた2階ステージで、中央にスロープがありました。編み合わせた荒縄を絡めて、パウロの心象を表現していたようです。舞台転換がテンポよく、良い展開でした。 衣裳はそれらしい作りでしたが、女優の衣裳がモダン的であったのが気になりました。 |
演 技 力 | ☆ | 吉野の表現力は良いです。とくにオープニングの処刑シーン、エンディング前の改悟シーンに迫力がありました。伊藤は、シーンの合間で表情が素に戻ってしまう感じがしました。山形は、独特の口調と身振りが面白いです。 春日は堂に入った演技で、目配りが良く、表情の作りも良いです。会話に入る直前の間合いに違和感がありました。真織は、巧いのだと思いますが、他のキャストとトーンが違っていて、やや溶け込んでいない印象を受けました。 しかし、アンサンブルのぎこちなさを含めても、全体的に良い演技をしていました。 |
歌 唱 力 | ◎ | 真織と吉野のデュオは、空々しく聞こえてしまいました。両者の調和が図られていないようなのと、それぞれが綺麗さを求めていて、感情を目一杯出すという感じで無かったためでしょうか。吉野は声量もあるのですから、優しさや綺麗さばかりでなくとも良いと思います。山形は、相変わらずの渋い声です。独特の歌い手というのは重宝されるでしょうね。オープニングでの鈴樹の声が印象的でした。 |
ダ ン ス | ◎ | 象徴的なシーンが多かったのですが、良い群舞シーンがありました。被り物をするなどの問題もあってか、統一的な場面で動きが揃わず、ややマイナス評価です。 吉野の躍動的なダンスが少なく、残念です。獲物を振り回すシーンは粗く、惜しいです。伊藤は、実に身が軽く、そこをウリにしているようでもありました。 |
総合評価 | ◎ | 見応えのある作品でした。何よりも吉野には、宗教的な雰囲気と半裸が似合います。宗教作品にありがちな臭みを省略したこと、人間らしさを強調したこと、最後をハッピーエンドに持ってきたことは、心憎い演出です。次回作にも期待します。 舞台の袖で、グラサンの憮然とした表情の人が座っていました。とても気になる不自然な存在でしたが、途中からミュージシャンだと気づきました(笑)。 |
上記コメントはポン太の主観&独断に基づいています なお、評価ランクはポン太の五つ星を参照ください |
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ア ク セ ス | ||