ミュージカル作品紹介(第209回) | ||
シラノ・ザ・ミュージカル | ||
■鑑 賞 日 平成13年1月13日(土) マチネ ■劇 場 名 赤坂ACTシアター(赤坂) ■料 金 全席指定S席�,450円(JCB会員優待料金) ■原 作 オン・ブロードウェイ「CYRANO THE MUSICAL」 原 案� Rostand(エドモン・ロスタン) 脚本・作詞・演出� van Dijk(クーン・ヴァン・ダイク) 作 曲� van Dijk(アト・ヴァン・ダイク) 美 術� van der Palen(エリック・ヴァン・デル・バレン) 衣 裳� Tax(ヤン・タックス) ■翻訳・訳詞・構成 青井 陽治 ■音楽監督・声楽監督 北川 潤 ■振 付 前田 清実 ■照 明 塚本 悟 ■音 響 大坪 正仁 ■舞台監督 元木 たけし ■ヘアメイク 宮内 宏明 ■アクション 渥美 博 |
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キ ャ ス ト | ||
シラノ (市村 正親) ロクサーヌ (西田ひかる) クリスチャン (山本 耕史) ラグノー (北川 潤) ル・ブレ (園岡新太郎) ド・ギッシュ (山本 隆則) 政吉 (宮本 隆元) 三太 (山中 堂司) ドレッサー (森山 大輔) ほか |
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ス ト ー リ ー | ||
一流の剣士であり、詩人であるシラノは、人一倍大きく尖った鼻を持っている。それ故に顔にコンプレックスを持ち、愛する従妹ロクサーヌに想いを打ち明けられない。彼女は兄同然に慕っているが、それ以上の感情は持たない。彼の分隊の新兵クリスチャンに一目惚れをし、無情にも橋渡しを強請るのだった。 ところがクリスチャンは、無骨で自己中心的な男。彼に知性を求めるのは無駄なのだが、シラノは手紙の代筆を引き受けて、二人の仲を取り持つことに成功した。戦場に駆り出され、毎日ロクサーヌに手紙を送るシラノ。クリスチャンの名を騙ったまま、自身の想いを伝え続ける。クリスチャンはシラノの本心を知り、彼に告白することを迫ったのだが・・。 |
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コ メ ン ト | ||
シナリオ | ☆ | オランダ発で最初のブロードウェイ作品だそうです。無神経で自分勝手な男女達だが、互いを想う気持ちから、少しずつ人間的な深みを増していく見事な筋立てです。とくにシラノの複雑な心境は、深く掘り下げてあります。 |
キャスト | ☆ | アンサンブルに至るまで、かなりグレードの高いキャストが集められています。 |
ナンバー | ◎ | 全体に格調高い音楽が多いです。歌い手の見事さもありますが、ソロで情感の伝わってくる名ナンバーが沢山あります。デュオでは「月の歌」、ソロでは西田の「それでも」、市村の「コーダ」がお奨めです。 |
ステージ | ☆ ☆ |
レター用紙をイメージしたらしい、板張りの波打つステージが斬新です。右傾斜面、左傾斜面、その谷間を見事に活かして、シームレスな舞台転換で、スムーズな進行を実現していました。古風なバルコニーなど味のあるセットが、多くありました。小道具も豊富で、妥協のない作りが目を楽しませてくれます。総額2億円と公称している衣裳は、細部まで立派な作りで、アンサンブルの衣裳に至るまで見事な出来映えです。 |
演 技 力 | ☆ ☆ |
市村のシラノは、当たり役。コミカルなキャラクターを活かしつつ、厚みのある演技力を発揮し、深く引き込んでくれます。山本は、ガサツで自己中心的な役柄をよく演じ、道化的な立場をよく魅せていました。西田は実年齢を感じさせない若々しさを出し、純情な娘、恋を知った娘、世を棄てた女性を演じ分けていました。センターで一人存在感を出すシーンでは、観客を圧倒するオーラが感じられました。アンサンブルもよくフォローをしてあり、全体としての纏まりがありました。 |
歌 唱 力 | ◎ | 西田の透明感溢れる声は見事です。純粋な歌唱力では際だっていませんが、情感を込めた唱いに魅了されます。 山本は安定感のある声ですが、やや控えめでした。市村の「コーダ」は、深い情熱の総仕上げとして、とぎれとぎれながらも見事に歌い上げました。二人とも意図的に抑え気味で唱っていたのかどうか、判然としません。楽しみにしていた北川のオペラ調の美声は、ワンシーンだけだったのが、とても残念です。 |
ダ ン ス | ◎ | 軽いステップが中心ですが、フォームは綺麗でバランスも良く、フォーメーションもよく組まれていました。とくに女性アンサンブルの群舞が、見事でした。 |
総合評価 | ☆ | シナリオも良く、演技も良く、歌唱も良く、☆☆としたいところです。ステージングは斬新で衣裳も評価できますが、それがそのままチケット代に跳ね返っているようなので、ワンランクダウンです。舞台転換の工夫が見事であり、あまり観客に意識をさせることなく小道具を下げるところが、非常に心憎いです。日本でも見習う作品が出てきても良いかも知れません。 ポン太個人としては、シラノのような生き方に共感できるところがあり、必要以上に感情移入したところがあります。しかし、ストーリー的な理由よりも、キャスティングの見事さによる効果だと感じています。良い作品を素晴らしいキャストで見せてくれたことに感動しました。 |
上記コメントはポン太の主観&独断に基づいています なお、評価ランクはポン太の五つ星を参照ください |
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ア ク セ ス | ||