ミュージカル作品紹介(第173回) |
壁 抜 け 男 〜 恋するモンマルトル 〜 |
■劇 団 劇団四季 ■鑑 賞 日 平成12年8月5日(土) マチネ ■劇 場 名 四季劇場[秋](浜松町) ■料 金 全席指定 S席9,450円(会員割引料金) ■原 作 フレンチミュージカル「壁抜け男」 原 案:Marcel Ayme(マルセル・エイメ) 脚 本:Didier van Cauwelaert(ディディエ・ヴァン・コーヴェレール) 音 楽:Michel Legrand(ミッシェル・ルグラン) 演 出:Alain Sachs(アラン・サックス) 装 置:ギー・クロード・フランソワ 衣 裳:ガブリエル・デュ・リヴォー 照 明:フィリップ・キエ 振 付:アンヌ・マリー・グロ ■翻 訳 萩野 安奈,中井 多津夫 ■日本語台本・演出・訳詞 浅利 慶太 ■舞台監督 伊藤 雅人 |
キ ャ ス ト |
デュティユル (石丸 幹二) イザベル (井料 瑠美) 部長/検事他 (光枝 明彦) 八百屋/娼婦 (丹 靖子) 裁判長 (千野 昌保) 新聞売り (有賀 光一) M嬢 (佐和 由梨) ほか |
ス ト ー リ ー |
くそ真面目しか取り柄のない郵政省苦情処理係のデュティユル。ある日、体が壁を自在に抜けられることを発見した。初めは平凡な自分に戻りたいと願った彼だが、いけ好かない新任部長を発狂させ、パン屋や宝石店で盗みを働くうちに、自分の能力に酔いしれるようになった。盗んだものは恵まれない街の人々に配って歩き、義賊と持ち上げられる。 街に住む薄幸の人妻イザベルに恋をした彼は、彼女の気を引こうと警官に捕らわれて、さらに脱獄をしてみせる。イザベルの夫である悪徳検事は、そんなデュティユルを有罪に陥れ、死刑にしようと画策する・・。 |
コ メ ン ト | ||
シナリオ | ◎ | コミカルで素直なストーリーです。壁抜け男という着想が面白く、シナリオと演出が巧くプロットを生かしています。淡々としすぎてメリハリに欠けることが、惜しいと感じます。 |
キャスト | ☆ | 劇団の中では、かなりの演技派が投入されています。複数の役回りを少人数でこなしていながら、あまり意識させないところが心憎いところです。 |
ナンバー | ◎ | 49曲ものナンバーで綴られています。萩野の訳詞を浅利が大幅に改変したことで揉めているそうですが、メロディによく合った訳詞に収まっていると思います。 圧巻は「フィナーレ」です。「バルコニーのイザベル」「街の絵描き」「脱走したデュティユル」なども良いナンバーです。歌い手の上手さも加味されています。 |
ステージ | ☆ ☆ |
とにかくカラクリの多いセットです。舞台右手から小部屋が出てきたり、左手からベッドが飛び出してきたり、パン屋が宝石店にチェンジしたり、とコミカルで細かい仕掛けが楽しいです。さらに売り物の壁抜けシーン、壁に閉じこめられるシーン、金庫で遊ぶシーンなども面白いです。 |
演 技 力 | ☆ ☆ |
光枝は部長・囚人・検事の三役を、それぞれ見事に演じ分けています。どことなく怪しい演技が冴えます。石丸は表情少な目で渋い演技を示しています。淡々とした演技が実に気持ちよいです。井料はネグリジェで挑発してみたり・・・と従来の作品では見せなかった妖艶な演技を披露していました。端役に至るまで、みな演技派でありました。 |
歌 唱 力 | ◎ | ナンバーが全体にフレンチの軽いものなので、今ひとつ心に響いてくれませんでした。本当に淡々と綴られていました。石丸は終始唱っていることもあって、美しいテノールを多く聞かせてくれません。井料も今少し冴えない印象でした。しかし「フィナーレ」では、全員が目一杯持ち歌を披露し、コーラスも見事でした。 |
ダ ン ス | ○ | 特筆するほどのダンスはありませんでした。全体にノリが軽いことも一因ですが・・。 |
総合評価 | ☆ | 四季がフランスから輸入しただけあって、良い作品です。しかしブロードウェイ物ほどの派手さがなく、見応えという点では魅力を欠く作品だと思います。装置のカラクリで話題性がありますが、もう少し染み出てくるような味わいを伴って、息の長い公演を目指して欲しいです。 |
上記コメントはポン太の主観&独断に基づいています なお、評価ランクはポン太の五つ星を参照ください |
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ア ク セ ス | ||
劇団四季 事務所/横浜市青葉区あざみ野1−24−7 Tel: |
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