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ミュージカル作品紹介(第158回)
あの鐘をならせ
■劇  団 ザ・ライフ・カムパニイ
■鑑 賞 日 平成12年5月28日(日) マチネ
■劇 場 名 六行会ホール(新馬場)
■料  金 全席自由�,000円(前売料金)

■脚本・作詞・演出・制作 蕪木 陽青生
■音  楽 すぎはら 文則    ■振  付 石川 久美子
■衣  裳 三輪 利江      ■照  明 森下 泰
■音  響 渋沢 栄三      ■美  術 平田 道則
■歌唱指導 谷村 玲子      ■舞台監督 加藤 正信
■後  援 中華人民共和国大使館
キ ャ ス ト
登穎超   (たにむら玲子)   周恩来  (おおしたよし勝)
石栄恵   (みやした陽子)   林麗温    (福永 直美)
江青     (菊池  彩)   葉群     (井上 紀江)
劉少奇ほか  (薬師寺 学)   登小平    (野口 拡洋)
林彪     (佐藤 祐一)   張春橋    (矢野 博高)
羅岩美    (斎藤 裕子)               ほか
ス ト ー リ ー
 毛沢東の監督の下、主席・首相による実務派路線が定着しつつあった。彼らの経済重視主義は高官に腐敗を生み、政権内にも軋轢を撒きつつある。これを憂慮した毛は文化大革命を主導して、純粋な共産主義社会への巻き戻しを敢行しつつある。これ幸いと勢力拡張を目論む江青林彪らは、純粋な青年達から構成される紅衛兵を操って劉を失脚させ、さらに周の追い落としを図っていた。
 毛の信認厚い周だったが、文革の嵐に抗することは難く、江青らの妨害に心身をすり減らしていた。穎超栄恵麗温ら女性の支えを得つつも奮闘するのだったが・・。米中・日中の国交を回復させた政治の巨人、周恩来を描いた大作の後編。
コ メ ン ト
シナリオ
前編を惜しくも見逃してしまいましたが、後編だけでも十分にボリュームのある名作です。歴史背景がよく分析され、正義の人恩来という立場が見事に描かれています。とかく関係の見えにくい文化大革命前後の動きが、立ちどころに分かります。ただし、真実ばかりを伝えるモノではありませんが・・。
キャスト 芝居の上手いキャストと、ダンスの上手いキャストの棲み分けがあって、バランスの良い構成でした。歌唱は残念ながら限定的でしたが・・シナリオの重厚さとも合って見事です。
ナンバー 生命あるかぎり」「なにかがちがう」「だれの味方だおまえは」など、良いナンバーがありました。また4本あるダンスナンバーも、いずれも見応えがあります。
ステージ 恩来のオフィスを模したセットを除いては、大道具は少なくシンプルでした。オフィスも質素さが良く出ており、電話卓など細かい考証が愉しめました。小道具の選択がよく、センスの良さを感じます。
演 技 力 おおしたの朴訥とした人物像が恩来らしく、熱っぽく語る様が革命家らしい味を出していました。野口も若き志士らしい爽やかさがありました。個人的には、ふてぶてしい矢野がお気に入りです。
菊池井上の矍鑠とした悪役ぶりが見事です。福永みやしたのサポートぶりも高く評価できます。たにむらは演技力に優れていますが、少し見せすぎる印象でした。主役は恩来なので、何となく違和感がありました。斎藤が比較的目立っていました。
歌 唱 力 ソロでは福永が、デュオではみやしたが、それぞれ聴かせてくれます。たにむらは出番が多いですが、少し声が疲れ気味でした。旋律は綺麗に追っている印象ですが、掠れたり弱々しかったりとありました。菊池の力強い唱いも良かったです。
ダ ン ス ダンスナンバーはいずれも冴え、振付・演出の見事さが映えます。4本それぞれ個性的で見応えがありました。概ね揃っており、振りも綺麗に決まっているダンサーが多かったので、満足しました。1人アンサンブルでも目立つ踊り手がありました。
総合評価 全体として纏まりがあり、質も高い作品でした。ただ3幕180分という長大構成は、作品としてどうでしょうか。ナンバーを盛り込みすぎの感もありましたので、少し取捨選択があっても良いかも知れません。また機会があれば、前後編セットで見てみたくもあります。
一番に印象的であったのが、佐藤です。かなり熱っぽい演技を見せていましたが、一幕で勢い余ってステージから落ちたことです。唱っていたナンバーを唱い継いで事なきを得ましたが・・・。
上記コメントはポン太の主観&独断に基づいています
なお、評価ランクはポン太の五つ星を参照ください
ア ク セ ス
ザ・ライフ・カムパニイ
 事務所/横浜市港北区日吉1−25−8   Tel:0
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