前回へ  ホームへ  次回へ
ミュージカル作品紹介(第134回)
アインシュタイン・フォーリーズ
■劇  団 ミュージカル座
■鑑 賞 日 平成11年12月18日(土) マチネ
■劇 場 名 六行会ホール(新馬場)
■料  金 全席自由�,000円(前売・当日共通)

■作曲・音楽監督・歌唱指導 山口 e也
■作詞・脚本・演出・振付 ハマナカトオル
■美  術 松野 潤       ■照  明 和田 典夫
■音  響 戸田 雄樹      ■衣  裳 神場 靖江
■舞台監督 藤間 浩也      ■ヘアメイク 西野 和可子
キ ャ ス ト
アルバート  (林 アキラ)   光      (伊東 恵里)
ミレーバ   (片桐 和美)   エルザ    (片岡 直美)
マヤ     (山形 照美)   ハンス    (梅沢 明恵)
エドアルド  (手塚 順子)   キュリー夫人 (福地 洋子)
ヒカリーズ  (桑原 麻希,木村 美穂,三辻 香織)     
                           ほか多数
ス ト ー リ ー
 アルバート・アインシュタインは生まれたときから頭が大きい子供だった。3歳まで言葉を話さず、話すようになっても内気な少年だった。唯一の味方は妹マヤだけ、級友達からイジメを受けた。そんなアルバートは、コンパスと幾何学の本を貰ってから、探究心の深い子供になった。しかし、それは画一的なドイツ式教育への強い拒否反応を生むことになった。
 アルバートはスイスの高校へ越境入学し、大学へも進んだ。大学では物理学を専攻し、多くの友人達と意見を闘わせた。彼の最大の関心は「の性質」で、そこから相対性理論を導き出したのだった。級友ミレーバと結婚し、二児の父親となったが・・ベルリン大学に招聘されたことで家族と別れることになる。やがてドイツはナチス支配が始まり、ユダヤ人のアルバートは迫害される。アメリカへ逃れ、ナチス反抗のために原爆の開発を支援するが・・・。
コ メ ン ト
シナリオ 少年から晩年までテンポ良く進むシナリオで、時間的にも120分に集約されたバランスの良いものでした。小難しい相対性理論がそのまま使われていましたが、やはり観客に理論は伝わらないでしょうねぇ。
ミュージカルに適さない題材だけに、光&ヒカリーズによるダンスなどを取り込んでおり、ショーとしても楽しめますが、やや苦しい感じです。
キャスト メインは安定した演技力を発揮しています。今回の主役に客演のを持ってきたのは、良い選択でしょう。
依然として伊東に寄りかかってしまうキャスティングです。アンサンブルが多いにも関わらず、サブがいくつもの役を兼ねていたのが、気になるところです。
ナンバー 新世紀」「フィナーレ/私の祖国」がお奨めです。歌詞的には「平和」も良いです。光&ヒカリーズがアイドルステージで臨む「学校をやめたい」もまずまず。のソロ「耳をすませば」も力強いものでした。
ステージ 中央後方に両開きの扉があり、両脇にステップ付きの出入り口が設けられるシンプルな構成でした。扉は場面のスイッチに使われましたが、必然性のないスイッチも目立ち、もう少し工夫に期待したいです。ステージ上方の3つのランプを上手に切り替える演出は、良かったと思います。
衣裳は、光&ヒカリーズの派手なモノを除くと、概ねシンプルで吟味されている印象でした。
演 技 力 は、コメディしか観たことがなかったので不安でしたが、しっかりした役者が務まるのですね(とっても失礼)。序盤の子供役がとくに素晴らしかったのですが、後半は単調気味でした。片桐はスラッとした立ち居振る舞いで安定していました。高原は上手いと思いますが、同じ髪形、同じ所作で複数の役を演じるのは、遠慮して欲しいです。
伊東は「光の妖精」という印象で、この人には適した役だなぁ、と感じました。ヒカリーズを従えて、差詰めアイドルヴォーカルでした。
歌 唱 力 はクラシック調の良い声です。響きもあり耳心地が良いのですが、大半のソロが同じ調子だったのは残念です。また後半に備えるためか、序盤・中盤ともに声をセーブしていたのも気になりました。公演回数が多いとはいえ、かなり残念です。伊東は「新世紀」しか持ちナンバーが無く、いつもの美声が期待できません。
コーラスは揃っていますが、コーラス向けナンバーが同じ傾向に纏まってしまうのが惜しいと思います。
ダ ン ス 激しい動きのナンバーはなく、概ね軽いノリでした。全体に良く揃っている印象です。クラシック風の群舞が気に入りました。
アンサンブルに混じっても目立つのは手塚梅沢で、「軍隊式教育」「名声」での手塚の冴えが記憶に残りました。梅沢は、表情が少し浮いている感じでした。
伊東のちょこまかと可愛いダンスもありますが、いつもほどの迫力は感じられません。
総合評価 ミュージカル座の新作です。2000年には再演作品が増えるようですが、1900年を跨いで生きたアインシュタインを素材にするのは、独自性が感じられます。
将来的に複数チームで2作品同時並行上演を目指したいと聞いていますが、核となる俳優が限られている現状では、厳しい印象です。今回のように客演で補うのも一考ですが、とくに男優の強化と主演女優の育成に期待したいです。。。(あれ、作品評価じゃないな)。
上記コメントはポン太の主観&独断に基づいています
なお、評価ランクはポン太の五つ星を参照ください
ア ク セ ス
ミュージカル座
 事務所/埼玉県浦和市常磐9−8−15   Tel:
前回へ  ホームへ  次回へ