卒業公演のシーズンです。

毎年、12月から翌3月に掛けては、俳優養成所などの卒業公演が多く催されます。小劇場系の本公演が減少するシーズンなので、見に行く機会は増えるのです。

オリジナル性は?

オリジナルな作品も見掛けますが、圧倒的に多いのは、有名作品のパクリです。配布されるプログラム等を眺めてみても、許可を貰ってあると書いていないのが、多々あります。海外作品だからバレないということかも知れませんが、日本で代行してくれるエージェンシーもありますので、正規の費用は負担するべきでないでしょうか。

それよりも、なぜオリジナル作品を上演しないのか、と疑問を感じます。名作は名作だけに良いのですが、そこには良い演技・良いダンス・良いソングがある以上、それらを高水準で再現できる能力を問われます。普通は超一流の俳優が演じるのですから、卒業生には極めて不向きであると思います。意味が分かっているのか怪しい迷セリフ、迷振付・・比較される対象が大きいので、可哀想でもあります。

プロへの第一歩では?

本来は、プロとしての俳優人生を踏み出す第一歩のはずです。有名な演出家や振付家が見に来るかも知れず(日本ではないかなぁ)、偉大な先輩に勧誘されるかも知れず、メディアに紹介されたり、熱烈なファンが付いたり・・・夢は膨らみます。

本筋から言えば、卒業公演に内部の人間ばかりでは意味が無いでしょう。業界関係者を招いて、卒業生達のスキルをお披露目するべきであると思います。どこかの公演チラシの中に、こそこそ配布。週刊ぴあの公演情報に宣伝のみ掲載。そういう地味な宣伝なのは、いかがでしょう。また、有名作品のタイトルで釣っているのも見掛けます。中には、卒業公演と明記していないのもあるので・・。

俳優を養成したのなら、堂々と卒業公演を開催し、その能力に自身があることを喧伝して、大いに盛大に卒業生を送り出すのが、あるべき姿でないでしょうか? 学芸会のような、ささやかな卒業公演でお茶を濁すのは、スタッフの手抜きもあると思います。一応、卒業生が略歴にコメントを入れられる程度の機会を与えるのだと・・。きちんとレッスン料を最後まで受領しました証ですと。

NYジュリアード音楽院

NYの名門校に、ジュリアード音楽院があります。厳しく徹底された教育に定評があり、その入学の敷居の高さも当然ながら、卒業までの過程の激しさも、想像を絶します。それだけに、卒業と同時に、または在学中に、プロのオーディションに合格して、第一線で活躍する人材も少なくなく、演劇に限らず幅広い世界に学生を旅立たせています。

ジュリアードの世界を描いた作品に「FAME」がありますが、この作品でも人種を越えた厳しいレッスンの数々が登場します。スイセイの舞台作品もありますが、私はビデオ撮影版をお奨めします。曰く、世の中に自称俳優は5万人いるが、活躍しているのは500人あまり。そのうち、アルバイトなどをして食いつないでいるものが多々ある、と。その中を生き抜くために、積極的に自己を磨けとあり、厳しい指導のあり方を赤裸々に描いています。

対して、日本の俳優養成所が、そのような教育や指導を行っているとは考えられず、結果的に学生にとっての不幸を拡大しているのではないでしょうか。

何はさておき、卒業公演でも高いチケット代を徴収するのですから、それなりのレベルにして欲しいものです。あるいは、無料にして貰えると、あまり文句を言わないのですが・・。