ブロードウェイ・ジャパン・ツアー

近頃は、ジャパンツアーと銘打って、ブロードウェイで上演中の作品が、上陸してくるようになりました。この2000年は、「RENT」と「リバーダンス」でした。2001年は、「キャバレー」と「フォッシー」が予定されています。

期待される、三番目

ミュージカルのメッカと言えば、ニューヨークの「ブロードウェイ」と、ロンドンの「ウエストエンド」です。圧倒的な劇場数、作品数、上演回数・・・。こうしてコラムを書いている間にも、何万人という観客が動員されて、夢と感動を与えてくれています。

ブロードウェイも、ウエストエンドも、大西洋沿岸です。太平洋沿岸にも劇場街が登場して欲しいモノです。ディズニーランド並のエンターテイメント施設、一大観光地となることは間違いないでしょう。しかし、コンテンツを揃えることがまず重要ですね。四季、東宝、宝塚、音楽座・・・関東を基盤にする大手だけでも、埋めきれないことでしょう。落語や歌舞伎など伝統芸能も呼び込んだ方が良いでしょうね。

東京が三番目の劇場街として期待されているのは間違いありません。東洋一の人口を擁しています。文化レベルも高く、数多くの娯楽もあります。ある程度の土壌はあると思うのです。旧吉原か、歌舞伎町か、やや退潮気味の歓楽街を改造し、一大劇場街を作って欲しいと思います。

増大する、ミュージカル人口

はっきりした統計はありませんが、ここ10年間でミュージカルの認知度は上昇しています。「キャッツ」や「美女と野獣」を知らない人は少ないでしょうし、帝国劇場へ足を運んだ経験のある人も多いと思います。ポン太の試算では、約600万人の人がミュージカルのファンで、約2,500万人の人がミュージカルに良い印象を抱いていると、数字に出ています。試算根拠は、聞かないでください(笑)。

毎年着実に、ミュージカルファンが増えているはずです。若いファンも家庭を持ち、その子供が観劇に連れ出されるようになり、、、するでしょう。また、歳を重ねるに連れて収入も増え、劇場に落とすお金も増えると思います。その受け皿となる劇場と、作品の充実は欠かせませんが。。。

一般書店で、演劇コーナーを充実させる傾向も見えます。四季や宝塚のものが多いですが、これまで趣味・実用に放り込まれていたのが、独立したジャンルに格上げされると、嬉しいですね。シアターガイドを置く書店も増えているようですし、演劇系の月刊誌が何冊も並ぶのは、喜ぶべきことです。

ジャパン・ツアー

そして、本題です。近頃、ジャパン・ツアーと称して、日本にブロードウェイ物などが上陸してきています。オペラやクラシカルミュージックと同様に、海外からミュージカルが誘致されることは、良い傾向です。1999年は、シカゴ。2000年は、RENTリバーダンス。他にも、マイ・フェア・レディ(プラハ版)、ハバナ・ナイトなどもありました。2001年は、キャバレーが6月公演、フォッシーが8月公演の予定です。後半にも何かあるでしょう。

ただしキャスティングは、少し質が落ちているはずです。大体は、全米ツアーを回っているキャストのままで、何人かブロードウェイの看板が加わってきます。売れっ子は本場を離れなくても喰っていけるので、ある程度は仕方がありませんね。またセットも同じにはできませんので、そこも妥協が必要かと・・。

とはいえ、高いです。全米ツアーのチケットはブロードウェイより安いのですが、ジャパン・ツアーはブロードウェイよりも高いのです。キャバレーのS席は15,000円もします。ご存じのように、日本のS席は、ブロードウェイのORCHのみでなく、LOGEみたいな席も含まれるので、唸ってしまいます。フォッシーは12,000円で、やや良心的です。

東京の物価は、世界的にも高水準です。そして人々は、新しい娯楽に飢えています。そこにミュージカルが提供されるのは、良いことです。でも、あまり高いのでは困ります。多分に、プロモーターが儲け過ぎなのだと思います。まずミュージカルを根付かせることが先決なのに、金持ちのための娯楽としてしまうのでは、ブームも一過性に終わってしまいます。
増やそう、育てよう、ミュージカル人口!

  • ブロードウェイ作品では少ないですが、通常のジャパンツアー作品では、日本語によるリップサービスも多くあります。長時間通訳のテロップを追っている観客には、ホッとする一瞬です。