ブロードウェイのチケットを手にしてみますと、いきなり「D列106番」なんて座席が書かれています。「端っこの席で、アンラッキー」なんて騒がないでください。実は、ステージ正面の一番良い席なのですよ(笑)。
一階席は、オーケストラ
ほとんどの劇場で共通の呼び方だと思ってください。一階席は「ORCHESTRA」(ORCH)と呼ばれます。その由来は調査中ですが、ほぼ定着しているようです。ステージに向かったときに、ORCHは右側通路と左側通路によって、左右に三分割されています。右ウィング、センター、左ウィングと仮に呼んでおきます。
右ウィングは、右側通路から右に向かって、2・4・6・8・・と偶数席番が並びます。左ウィングは、左側通路から左に向かって、1・3・5・7・・と奇数席番が並びます。だから1番席と3番席は隣接席です。そしてセンターは、右側通路から左側通路に向かって、101・102・103・・と連続数字が並びます。だいたい106と107が中央正面の良い席で、隣接席となります。
縦方向には、ステージに一番近い列がA、次がB・・と成っています。A席の前にAA席がある場合もあります。劇場の構造にもよりますが、通常A席やB席はステージに近すぎて、疲れます。このためC列やD列の方が人気があるそうです。A列やB列の座席を、劇場が当日ディスカウントして販売することもあります(ラッシュ券と呼ばれます)。
二階席は、メザニン。三階席は、バルコニー
そして、二階席は「MEZZANINE」(MEZZ)と呼ばれます。通常は、前方を「FRONT−MEZZANINE」(F−MEZZ)、後方を「REAR−MEZZANINE」(R−MEZZ)と呼び分けています。F−MEZZはORCHと同様に高い席ですが、R−MEZZは安めに設定されている席です。ほかに「BOX−MEZZANINE」(ボックス席)のある劇場があります。
また、三階席のある劇場もあります。三階席は「BALCONY」(BAL)と呼ばれます。BALは若干傾斜がついて前傾姿勢になる席であったりもします。概ね一番安い席種になっています。日本では、四季劇場でお馴染みですね。
二階席や三階席も何本かの通路で分断されていますが、その名称や席番の振り方はマチマチです。自分が観劇しようとしている席がどこになるのかは、MiL社発行の「ブロードウェイ・エキスプレス・エトセトラ」($7:第130回を参照)が役立ちます。少し印刷が荒いですが、英語版では「STUBS」($12.95)という劇場・ホール案内誌も売られています。
えとせとら
ブロードウェイ劇場ではマレですが、オペラハウスなどでは、半円状の2階席などで「TIER」という席種もあります。あるいは三階席を「GALLARY」や「FAMILY CIRCLE」と呼ぶ劇場もあります。また、ORCHの後方に、少し傾斜のついた座席があり「LOGE」と呼ばれています。
座席によってはステージ全体が見渡せないこともあります。一部が見えなくなる席を「パーシャルビュー席」、だいたい全体が見渡せる席を「フルビュー席」とも呼ぶそうです。パーシャルなどと言われたら、その座席は少し躊躇した方が無難かも知れませんね。キャンセル待ちという選択もできますし、「立ち見席」が売り出されることもあるそうです。
しかし、こうした座席が規則正しく並ぶ形式になったのは、第一次世界大戦以降とのことです。もともとは飲食を伴いながら観劇するのが主流であったため、ステージの近くに丸テーブルや角テーブルが並ぶ方が一般的だったそうです。現在、この名残をとどめているのは「STUDIO54」や「KIT KAT KLUB」など一部の劇場だけだという話です。
こんな感じで分かって頂けました? 通常はORCHとF−MEZZがS席、LOGEやR−MEZZがA席、BALがB席という感じになります。良い席を取ろうと思うなら、席の種類や配置を知っておくことは欠かせませんね。
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