タイトルロール

オペラの用語です。主人公の名前が付いた作品で、主人公を演じる俳優のことを「タイトルロール」と呼ぶそうです。日本語では「題名役」だとか(そのままやんか)。

例えば、こんな

オセロー」のオセロー、「リチャード三世」のリチャード三世、「カルメン」のカルメン……てな感じですね。こうした名作ですと、作品のお陰でタイトルロールに箔が付くそうです。あの大作のタイトルロールを果たした俳優なら上手いのだろう、と評判になります。

ところが新作の場合、タイトルロールが充分に果たせないと、作品そのもののの評価を下げかねません。逆説的ですが、タイトルロールが当たれば、作品の水準が少し低くても名作に仕上がるわけです。作品も良くてタイトルロールも素晴らしければ文句無しなのは当然ですが・・・。

戯曲家にとって優れたタイトルロールと巡り会うことが、タイトルロールを演じる役者にとって、優れた戯曲に巡り会うことが、まさに運次第で決まってしまうわけです。

そう、ミュージカルなら

アニー」のアニー、「アイリーン」のアイリーン、「ミュージカル李香蘭」の李香蘭が、ミュージカルではタイトルロールに当たるのでしょうかね。これまで観てきた作品を見回してみると、意外に主人公の名前をタイトルに冠した作品が少ないことに気付きます。

美女と野獣」なら美女と野獣がセットでタイトルロールなんでしょうか。「ロミオとジュリエット」で一方が下手なら、他方が上手でも声価は高まりませんものね。やはり美女ベルも野獣ビーストもバランスが取れないとダメなんでしょう。

タイトルロールで決まる

それで、今回のお話(前フリが長かったですね)。先日、久しぶりに「オペラ座の怪人」を観てきました。ご存じのように、私は原作の小説が大好きです。それだけに、ウェバーの作ったミュージカルは詰まらない、と連呼してきました。

しかし、やはりタイトルロール次第で作品の印象も大きく変わるものだと気付いた次第です(前から知ってはいましたけどね)。依然としてナンバーへの不満、演出への不満は在りますが、それを帳消しにするほど素晴らしいタイトルロールでありました。このところは、作品紹介第92回ということにしました。

劇団四季の場合、どうしても販売CD版と劇場公演とを比べてしまうのですが、劇場公演の場合、必ず一人か二人か物足りない人が居ます。今回はシャニイ子爵役が不味かったのですが、それもタイトルロールと競り合う役割を果たしきれなかったためです。それだけタイトルロールが相手を喰っていたと言うことなんでしょうか。反対にアンドレ役とフィルマン役は同じ配役でしたが、一昨年前よりレベルアップした印象を受けました。ロングランの成果か、タイトルロールの相乗効果か・・・。

タイトルロールを果たしきり、作品の声価をバンバン高めるような大物俳優が湧き出てくることに、期待いたします。