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経済の研究No.143 |
コンビニ・バンキング |
コンビニに現金自動支払機(ATM)を設置する構想で盛り上がっています。コンビニで預金の出し入れもできれば便利であることは、以前から言われていたことですが、ここへ来て銀行側が乗り気になったことから、著しく進展しています。しかし、高収益を目指すコンビニの限られたスペースに、銀行ATMを設置するコンビニ・バンキングが果たして正しい戦略であるのかどうか・・・。
■ 古くて新しいコンビニATM
今から10年ほど前、有人店舗での展開に限界を感じた大手金融機関は、相次いでATMのみを設置した無人店舗の開設に乗り出しました。一番に積極的であったのは三和銀行であったと思いますが、富士銀行も東京三菱銀行も駅前・ショッピングセンター内など好立地を占有して無人店舗を展開してきました。その無人店舗のうち、いくつかでコンビニと隣接して無人店舗を構える実験店がありましたが、この10年間に大きな進展は見られませんでした。
やはりコンビニサイドの抵抗が大きかったと思います。コンビニの店舗内にATMがあったとして、主に利用する客は、その銀行をメインバンクとする顧客だけです。他をメインバンクとする顧客にとっては、手数料を取られる他行ATMにさほど魅力を感じないでしょう。そうなれば、コンビニ経営者にとって、ATM用にスペースを提供しても、相乗効果を生んでくれる顧客は限定的です。つまり効率が悪いわけです。
ATM用のスペースを提供してコンビニ側に入る収入は、スペースの賃貸料だけで、手数料などは入りません。そのスペースに商品ケースを設置した方が、余程売上げに貢献するはずです。また、ATMの管理はコンビニの従業員にできません。それでも、それなりの煩わしさがありますし、銀行員や警備員の出入りにも神経を使わなくてはいけません。労多くして益なし、というのがコンビニサイドの主張ではなかったでしょうか。
■ 提携仲間を増やすことで、効率と手数料をクリア
そこで複数金融機関と提携した共同ATMを設置する方向へ来たと言えましょう。共同ATMならば、これを利用する顧客の数は格段に増えます。ATMによる集客効果が出るため、ある程度の効率アップが見込めます。また、共同ATMの管理会社にコンビニ側が資本参加することで、手数料の旨味も出ます。
今年設立されたATM運営会社「イーネット」は、大手・準大手のコンビニ5社と、大手銀行4行と、地方銀行数行の提携により実現しました。一方、最大手コンビニのセブン=イレブンも同様の試みを始めていますが、こちらはコンビニが一社であることと、ATM運営会社をコンビニ主導で設立する動きを見せているため、参加を躊躇する金融機関が多いようです。また、二足のわらじを履こうとする大手銀行もあり、なかなか上手く運びません。
果たして上手く軌道に乗ってくるのでしょうか。ATMの利用者にコストを負担させることが妥当かどうか、また妥当であったとして適正な手数料はどの水準か、という問題が生じます。預入で手数料を取るのは宜しくないでしょう。引出で手数料を取るとしても、1回105円では・・・そう利用が増えるとも思えません。1回50円以下の手数料では、運営費さえ捻出できない可能性が高いです。コンビニに手数料を払うにしても、賃料よりも安い手数料なら無意味です。
■ 大手銀行は、なぜ急ぐ?
大手銀行はすでに多数の無人店舗を設置してきました。しかし、自行の客だけでは採算が合わない店舗が多いのでしょう。その負担が減らせると見込んでいるのだと思います。コンビニには元々集客力がありますから、若干駅前立地から外れてもカバーしてくれます。複数の銀行で共同管理をするなら、自行の負担も小さくなるはずです。
しかし、共同ATMへの傾斜を強めてしまうと、他行との差別化が図れなくなります。最寄りATMの銀行に口座を開く顧客も多いなかで、差別化が図れないことは厳しさを増すでしょう。自行の商品だけを宣伝したり、パンフレットを設置することもできません。あるいは、他行顧客の落としてくれる手数料が得られなく成るということもあります。利害関係の調整によって、採算が取れているATMでも、共同ATMの近くのものは撤去を迫られる可能性もあります。
ホールセール(法人相手)事業へ特化する銀行にとっては、さほど問題がないかと思います。しかしリテール(個人相手)事業へ特化しようとする銀行にとっては、かなり不利な状況だと思います。さらに、共同ATMの利用によって、手数料を徴収することになれば、顧客離れを起こしかねません。そのところが読み切れていない気がするのです。
■ 利用者にとって魅力はあるか?
顧客の立場で考えてみます。近くにATMがなく不便を感じていた顧客にとっては、利便性が向上するでしょう。しかし手数料が徴収されるとなると、あまり魅力を感じません。また、閉鎖空間になっている銀行の無人店舗などに比べると、コンビニATMは少し用心が悪いと感じます。どうしても人目が気になり大金を引き出せません。暗証番号の入力なども・・・少し気になりますね。
機械操作が特殊になるため、高齢者や専業主婦には馴染みにくいと考えられます。複数の金融機関に対応する汎用機というのは不便です。またトラブルが生じた場合、備え付けの電話で相談するのでしょうが、その対応にも不安を感じます。キャッシュカードが出てこないなどのトラブルでは、どう対応するでしょうか。何しろコンビニの従業員には、手が出せないシステムですから。
日常気軽に使える環境になってくるかどうかは、疑問を感じます。ロードサイドのコンビニであれば、比較的ニーズが出るかも知れませんが、それでも利用される頻度は限定的だと感じます。
■ むすび
一応、結論を書かなくてはダメでしょうね。現在のところ、コンビニは多機能端末の設置を進めています。一番進んでいるのはローソンのロッピーだと思いますが、場所を取らず、多くの商品を取り扱い、なおかつ高い売上げを上げる端末が求められています。ファミリーマートやサンクス等も多機能端末の設置を進めています。とするなら、店内に2台の機能端末が設置されることになります。
ATMと多機能端末の機能を合わせることは、金融機関側にもコンビニ側にもメリットがありません。限られた有効スペースを、どちらがどう使うかが問われるはずです。効率重視のコンビニのこと、もしも共同ATMが儲からないとなれば、撤去に動くのは間違いないはずです。もしもチェーン本部が動かなければ、加盟店のオーナー達が反対するでしょう。そのとき金融機関が自行の無人店舗などのネットワークを縮小していたら・・・面白い展開に成ってくるかと思います。
99.10.13
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補足1
現在のところ動向がはっきりしないのがローソンです。イーネットへの参加を模索しているとも聞きますが、すでにOMCの現金支払機(CD)が設置されており、さらにATMを設置するのは事実上不可能でしょう。また、OMCのCDを撤去するには・・・そこで稼ぎ出している手数料を丸々失うことになります。すでに郵便貯金や三和銀行、日本生命など多くの金融機関と提携し、それなりの手数料を稼いでいます。おそらく独自路線を貫くだろうと思います。
またローソンでは、支払いにOMCカードのほか、JCB・VISA・Masterのクレジットカードが使えます。頻繁にローソンを使う顧客から見れば、急場の買い物はクレジットカードで決済できますから、どうしても現金が欲しいというニーズは少ないかも知れません。もちろんOMCのCDで預入代行サービスがあれば良いのでしょうが、現在のところ銀行法という規制の壁が邪魔をしています。
99.10.13
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補足2
電子マネーがそろそろ本格的に普及しそうです。日本では導入されていませんが、米国では小売店で電子マネーを現金に換えて貰うサービスがあるそうです。つまり、500円の商品を10,000円の電子マネーで購入して、9,500円の現金で釣りを貰うというサービスです(名称を忘れました・・)。コンビニでもこの手法が解禁になれば、もうコンビニ店内にATMは不要になります。
そうなる時代が、5年もしないうちに出てくると思います。あるいは、日常の決済が電子マネーに置き換わってくるとすれば、どの電子マネーが生き残るにせよ、やはり日常生活で現金が必要になる機会はグッと減少すると思います。日本人は現金が大好きな人種ではありますが、コンビニ・バンキングのニーズは、そう長くないと思いますが・・・。
99.10.13
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補足3
地方銀行は、概ね地域内シェアの3〜5割を抑えています。すでに有人・無人店舗によるネットワーク構築を進めており、多少のコスト削減効果が出るとしても、大手銀行と共同利用できる共同ATMに魅力を感じるかどうか疑問があります。とくに、管理会社への手数料が利用回数に応じて支払われる場合、自行ATMを活用する方が割安となるためです。
99.10.13
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補足4
現在イーネットが目論んでいるのは、顧客から1回あたり105円以上の手数料を徴収することなのだそうです。ATMの維持・管理費と警備費用を含めると、管理会社へ支払う手数料は、1操作当たり120〜150円は必要だとのことです。したがって、最低でも105円は徴収しなくてはいけない計算になるのだとか。利用が増えれば手数料の引き下げは可能としていますが、むしろ安い手数料で利用者を拡大する方が本来の筋ではないかと思います。
♂~以上の手数料を払うのなら、それでは他行のATMを利用するのと全く違いはありません。ATMという名付ける以上、振込などもするのでしょうが・・・振込手数料が割高では法人利用も見込めませんね。インターネット・バンキングへシフトする顧客の方が増える感じですね。
古くは日本キャッシュサービスという都銀や地銀が共同で設立したATM運用会社がありましたが、思ったように利用が増えず事業撤退した過去があります。一応1974年から20年程度続きましたが、同じ轍を踏んでしまう可能性が濃厚です。イーネットの初期投資は、数百億円という巨額です。しかし結局儲かるのは、システム開発を手掛けるIBMや、警備を担当するセコム、運営を助ける日本通運だけでは・・・と皮肉な声も聞こえてきます。
一方でセブン=イレブンは、手数料無料も含めた大胆な手数料引き下げを画策しているとのことで、できれば頑張って寄り切って欲しいと思っています。
99.10.13
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補足5
ローソンのCDと提携している都銀は、富士銀行と三和銀行です。こちらは、すでに書きましたように、残高照会と引出のみで、手数料は105円。まだまだコンビニ・バンキングには遠い感じですが、補足4に書いたように現在のイーネット相手なら十分に対抗できます。コンビニ利用客の特性から見れば、手数料よりも時間を惜しむ人が多いですから、イーネットが優位に立つには数十円ほど手数料を引き下げないと無理でしょうか。
セブン=イレブンとam/pmは、さくら銀行のATM設置を始めています。さくら銀行が独自に開発したミニATMだそうで、こちらは歴とした銀行の営業所です。さくら銀行以外の顧客にはCDですが、さくら銀行の顧客にはメリットがあります。しかし、本文で書いたように、特定金融機関のATMは利用顧客が少ないのが難点ですね。幅広い企業とは手を組まず、カテゴリーキラーとだけ共同戦線を張るというセブらしからぬ戦略です。
#N度中にさくら銀行のコンビニATMは600台を目指すそうですが、セブンは自ら手掛ける共同ATM構想とどう折り合いを付けるのか疑問です。セブンは全店でのATM設置を唱っていますが、こちらは東京三菱・三和・あさひとも提携する予定で、さくらが既得権を主張すると問題ですね。
99.10.15
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補足6
読者の方のご意見を紹介。「たしかに日中にコンビニATMで引き出すのは嫌だけど、深夜に無人店舗のATMで引き出すのはもっと嫌だな」とのことです。たしかに三和銀行・住友銀行では24時間営業のATMが始まっていますし、さくら銀行も同じコトを目論んでいるようです。さくら銀行はインフラの遅れで四苦八苦していますが、住友銀行とのシステム共有化で大変身するのでしょうか。
しかし、深夜に共同ATMや他行ATMで引き出すと手数料は210円です。1万円を手に入れる場合、クレジットカードの1回払いキャッシングなら月240円前後、5daysキャッシングなら50円の手数料(金利)なので、果たしてATMを使う必要が出るかどうかですね。それからアコムなど消費者金融系の手数料(金利)は日割り計算なので、即日なら手数料無し、翌日でもタダ同然です(少額の入金は遠慮してしまいますが・・)。
やはり成功と普及の鍵は、手数料次第ということでしょうか。
99.10.15
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補足7
後発ながら不気味なのがJRグループです。東日本・西日本ともに駅構内にコンビニほかを展開しています。
現在、東日本の小売り事業売上げは全国十指に入るのだそうですから、その集客力も桁外れです。ただ、東日本はすでに自社グループで「VIEWカード」のATMを主要駅に、CDを首都圏ほぼ全駅に、それぞれ配備し終えたので、競合する銀行ATMは設置しないだろうとのこと。
西日本は少し弱いですが、東日本同様にコンビニほかを拡大中です。こちらはコンビニ店内に多機能端末兼CDを設置しています。先行コンビニの多機能端末の標準機能の他、公共料金支払機能、富士銀行のCD機能などを備えているそうです。
こうした独自の動きに対する壁は、やはり銀行法でしょう。銀行ATMは金融監督庁の監督を受けなくてはいけませんが、現在のところ銀行以外の企業が銀行ATMを保有・管理することは銀行法が禁じています。セブンが行き当たっているのも同じ壁です。金融監督庁が規制緩和に動くかどうかが・・・ATM実現には避けられない重要な問題です。
99.10.15
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補足8
シカゴ近郊にお住まいの読者の方から、情報を頂きました。
まずコンビニそのものが見当たらず、24時間営業のスーパーマーケットが幅を利かせているそうです。当然にスーパーにはATMがあるそうですが、これは特定の銀行のもので、自行顧客は終日手数料無料、他行顧客は手数料1$程度だそうです。
またガソリンスタンドに併設されたコンビニ(つまり、am/pm初期型のコンビニ)の中に設置されているそうです。これはガソリンの支払いは、現金が主体だからとのことでした。
ついでに、日頃持ち歩く現金は100$(正しくは$100ですが・・ウチは100$と書いてますね)以下で、通常の買い物では20$札も敬遠されるのだそうです。
99.10.17
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補足9
補足1の補足です。ローソンが現在提携している銀行は、三和銀行、富士銀行、大垣共立、大阪、スルガの5行です。24時間対応していますが、あくまでローソンが仮払いするシステムのため、銀行オンラインが24時間稼働している必要がないようです。問題の手数料ですが、概ね1回105円ですが、夜間は1回210円、深夜は315円という設定になっています。ただし、引出が1万円であった場合のみ、夜間の手数料は157円とオトクです。
OMCカードが金利の他には手数料を徴収しないことを考えると、少し割高な設定に感じますが、提携ATMの限界と見れないこともありませんね。郵便貯金は、夜間・深夜とも1回210円の手数料です。
99.11.18
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補足10
先日、福岡で観てきた共同ATMについてです。福岡空港と福岡市の公共施設で見掛けて例では、福岡銀行が主体となった共同ATMがありました。通帳は福岡銀行のものしか使えませんが、出入金などは提携相手である福岡シティ銀行・西日本銀行などのキャッシュカードで対応できる優れものです。
限定されたスペースで1行だけを優遇できないという背景から、第一地銀がベースとなって共同ATMを設置させたと言うことでしょうか。残念ながら、いつから設置されているのかは確認できていません。
これにありますように、共同ATMのネックは、通帳です。その他振込カードなどもありますね。個別銀行が個別フォーマットで作っている通帳や振込カードの全てに対応するのは実質不可能です。まず、これらのフォーマット統一が必要でしょうか。しかし共同ATMの場合、無いとは思いますが、他行の取引内容をこっそり蓄積して管理会社に転送する・・・なんてマナー違反がある危険もあります。通帳記入が共同ATMでできることには、プライバシー保護の強化も必要でしょう。
99.11.18
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補足11
イトーヨーカ堂グループが、銀行法の問題をクリアできないために、自ら銀行買収に名乗りを上げたようです。現在のところ、ソフトバンク・オリックスと共同で日債銀の買収に名乗りを上げています。ただし、出資は5%程度に留まる見込みで、日債銀をどうこうという目的は否定されています。
日経ビジネスなどで書かれているのは、イトーヨーカ堂が日債銀の系列信託を狙っているというものです。オリックスは山一の信託子会社を傘下に収めており、名目だけの系列信託は必要ないはずです。ソフトバンクもイト−ヨーカ堂の看板を借りれば十分なので、下手な横やりは入れないでしょう。系列信託のATMをセブン=イレブン・デニーズなど傘下店舗に展開して、自ら決済銀行に進出するというのが、最近の見方だと言うことです。オリジナルの銀行を用意してしまうというのは当初の構想から大きく外れてしまいますが、現在の収納代行の延長線と観れば良いのかも知れません。しかし、全国に9,000拠点の銀行で、おそらく都銀よりも高金利を提示できることを考えると・・・新銀行のインパクトは巨大ですね。
コンビニは収納代行によって3〜4日間自由にできる資金を毎日数億円単位で抱えています。一種のフリーキャッシュフロー(自分の金ではありませんが、いつも手元に浮いているお金)であり、これを消費者に貸したいのが本音です。将来的にコンビニが消費者金融に手を染める余地が大きくあります。収納代行は年々対象が拡がっており、扱い残高も急上昇しています。ここからも利益が生まれそうです。
99.11.19
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補足12
イトーヨーカ堂は共同ATM構想を諦めて、独自銀行の設立に動く模様です。したがって、共同ATM構想はイーネットの独壇場に成ります。12月27日、イーネットに12の銀行が新たに参加すると発表されました。以下に名を挙げますと、住友信託銀行・山形銀行・荘内銀行・群馬銀行。福井銀行・京葉銀行・名古屋銀行・愛知銀行・中国銀行・広島銀行・鹿児島銀行・宮崎銀行で、東北地方や中国地方・九州地方も巻き込む大規模な連合になりそうです。
しかし本当に共同ATM構想は軌道に乗ってくるのでしょうか? マスメディアは概ね好意的に報道していますが、計画が躓いた場合のバッシングが心配です。まず小規模で実験的に導入する方が無難だと思います。
99.12.31
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補足13
補足12の続きは、第158回「イトーヨーカ堂BANK」というコラムを新設しました。
1件平均230円のコストが掛かっている都銀があるとのことですが、仮に150円まで圧縮できると試算して、コンビニの床面積あたりの採算ラインを考えると、一日100件利用でも採算割れです。コンビニの平均来店数は、セブンイレブンでさえ一日960人ですから、10人に1人以上が使ってくれないと算盤に合わないことに成ります。
am/pmに設置されたさくら銀行のATMでは、小口振込の利用が拡大しているとの話もあり、振込手数料の稼げる振込利用が増加してくれれば、それなりに採算が合うかも知れません。大部分の利用は自行ATMからの乗換に過ぎませんが。。。
00.05.03
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補足14
東京の都営地下鉄の構内に巣鴨信金のATMが設置されるそうです。ディスクローズなどで話題の多い同信金は、初の地下鉄構内ATMに名乗りを上げることに成りました。駅はコンビニ以上に利用客が多く、駅構内が駅前よりも好立地であることは間違いありません。JR東日本は独自ATMを展開しているため進出は難しいと思われますが、営団地下鉄にも今後進出の道が開かれそうです。
まだ滑り出しの段階で、早くも強力な競争相手出現というところでしょうか・・。もちろんイーネットなどが地下鉄に進出することもありますが。
00.06.25
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補足15
コンビニATMのイーネットが、急速に設置台数を伸ばしているそうです。1999年10月の稼働開始から500台を突破したそうですが、懸案の利用件数は全く低迷しているとのことです。週刊東洋経済00/07/01号によれば、5月の端末別利用件数は、最大で176件/日、上位50番目で30件/日という散々な様子です。損益分岐点は100件/日だけに、あまりにも低い稼働件数です。
しかも設置の是非はコンビニ側が決定するため、赤字補填はコンビニが行うそうです。当面は本部が負うかも知れませんが加盟店に負わせることになると、反乱が起きるかも・・・。ファミリーマートでは「あら、こんなところに銀行が♪」って感じでした。さくら銀行のATMに比べて自己主張が薄く、入金までできることには気づくのに時間が掛かりました。操作も面倒くさそうですしね。やれやれ、もう失敗かな。
00.07.30
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補足16
補足10の関連です。実現したのかどうか不明ですが、福岡シティ銀行が、さくら銀行とのATM提携を申し出ていたそうです。さくら銀行は、am/pmの自行ATMで1,000計画(2001年6月目標)を遂行中です。福岡シティ銀行は、福岡圏のATMは自行で設置して、さくらと共同利用して、結果的に採算ラインの100件利用/日を達成しようという提案であるとのことです。
さくら銀行のATMは100件利用/日を達成する台数が多いそうで、イーネットの苦戦と比較されています。イーネットは2002年3月までに5,000台設置が目標(当初は、2001年3月でした)であるそうですが、巨大な赤字を生みかねず危険です。さくら銀行としては、初のネット銀であるジャパンネット銀行、4月合併の住友銀行との共同利用で、さらなる利用向上を目指しています。さくら銀の戦略は、海外の投資家の評価も上がっているそうですが。。。
01.02.18
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補足17
さくら銀行は、am/pmのコンビニATMの利用を促進するために、周辺にある無人ATMを積極的に廃止しているようです。一行だからこそ対応できるわけですが、2000年内に80拠点を廃止しており、さらに150拠点へ拡大する方向だとしています。am/pmは首都圏の出店が多いことから需要があり、全店の8割にまでATMを導入(他行分含む)しているそうです。通常の店外ATMに比べて、初期コストを1/4に、ランニングコストを1/3にできるコンビニATMは、利用も上々であると紹介されています。
一方のイーネットは、銀行名入りの看板を伏せたことが認知を遅らせ、数件/日のATMなどもあるそうです。その後は認知に重点を置いたことなどが好奏し、540台平均で50件/日まで利用が増えているそうです。2001年3月に1,500台導入を目論んでいるそうですが、上手く行っているのでしょうか。当初100件/日に設定していた損益分岐点は、70件/日まで引き下げたそうですが、赤字分はコンビニがコスト負担する性質上、厳しそうです。
なお、イーネットの問題は、利用低迷ばかりでなく、10行にもなる参加銀行のそれぞれの思惑の違いも色濃く成っているそうです。今後は有料化を狙う都銀と、それを阻止しようとする地銀とコンビニの対立も出てきそうだとのことです。
本補足は、金融ビジネス1月号の特集記事を参照しました
01.02.18
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補足18
IYバンクの開業で、コンビニ・バンキングも本格化してきました。先行している三井住友銀行では、ネットバンクであるジャパンネットバンクとソニーバンクの両行と提携し、現実社会でのハブATM(中継ATM。ネットだけでは現金の入出金に限界がある)の役割を担うようです。IYバンクは証券・生保との提携を強化して、自行以外の手数料業務に重点を置いています。
少しずつながらも、コンビニATMの利用率は向上しているそうです。消費者に認知されてきたことが理由にあるようですが、銀行の支店網再編とも関係が深いと言われています。一方で、郵貯ATMは提携先を大幅に増やすと同時に、駅前立地などに多数のATM拠点を構築中です。コンビニATMにとって最大最強のライバルになると目されており、今後の雲行きは読み切れません。
01.06.03
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補足19
5月に開業したIYバンクの利用状況が改善しないようです。依然として、三和・あさひ・静岡の三銀行としか提携できていないためで、来春まで主要行との提携は実現しない模様です。加えて、提携行との間でもIYバンクへ支払う手数料の値下げを求める声が強く、IYバンクの事業計画が大きく狂うとされています。とりあえず生保やクレジットカード各社との提携も控える来春まで利用が低迷すると見られますが、そのスケジュールが遅れると致命傷になるとの見方が強まっています。
IYバンクには黒字化の期限が定められているため、顧客認知が遅れることや、使えないサービスとの烙印が押されることを回避したい模様です。しかし、大手銀行が相次いでネット銀行にも進出している現在、IYバンクの優位性は失われつつあります。さて、どうなりますでしょうか?
01.11.04
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補足20
東京三菱銀行は、コンビニATMの拡大に伴い自前ATMの優位性が失われたとして、無人店舗を4割程度削減するそうです。セブンイレブン、ファミリーマート、ローソンなどコンビニが相次いでATM導入に踏みきった結果、店舗網としても申し分ない規模になったと判断したようです。現在のところ、家賃や保守・警備費で無人店舗の大部分は赤字の模様で、他の金融グループも追随すると思われます(四大金融グループだけで、3,500カ所の無人店舗があるそうです)。
一方で、コンビニATMは2002年春には1万台を突破する見込みだそうですが、利用低迷が響いています。一日の利用が20件程度であるATMが大部分を占め、稼働効率の低迷が当初予想通りです。もしもコンビニATMの間引きが本格化してくると、東京三菱銀行の戦略は裏目になります。まだしばらくは自前ATMとの併存を考えた方が無難かも知れません。
01.12.31
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補足21
補足2の補足です。電子カード機能を利用して、小売店のレジから現金を引き出すサービスは「キャッシュアウト」と呼ぶそうです。このサービスが本格化すると、銀行のATMの代替機能を果たすといわれ、デビットカード等の利用がさらに伸びる可能性が高いとされます。英国などで導入済みです。
日本デビットカード推進協議会も導入に積極的であるようですが、偽造問題への懸念などもあり、ICカード化の普及を待つことになりそうです。
02.01.14
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