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雑記帳No.219
やっぱり高い、ミュージックCD

 ここ数年、ミュージックCDの販売枚数がグングンと減っているそうです。今年度は、昨年度よりも10%以上も減少しそうだと言われています。業界では、全ての責任がCD−Rによる無断コピーだと決めつけているようですが、果たしてそうなのでしょうか。
 CDの楽曲のダビングなら、カセットテープでも十分なワケですし、音質に拘るならMDを使うでしょう。CD−R機器の普及が、直結するとは考えにくいです。CDレンタルは、以前からあるのですしね。インターネットで無料の楽曲データを入手するユーザーにしても、基本的にはレンタル愛好家だと思うのです。

 まず、第一の要因として、不況があると思います。小遣いが減ったり、携帯電話&メールによる通信費が増えたりして、販売CDの購入に回せる予算が減っている可能性がありますね。もともと生活必需品でないミュージックCDですから、魅力を感じない作品は購入されないことに成ります。限られた予算のなかで、購入作品の絞り込みが行われるようになったのだと思います。
 また、第二の要因としては、カラオケの低調に関係があるでしょう。娯楽の多様化によって、一頃のブームほどにカラオケが利用されなくなりました。新曲を憶えるためにCDを購入していた層は、購入を止めるでしょう。近頃は、素人には唱いにくい作品や、ライフサイクルの短い作品(短期ドラマのテーマソングなど)が増えていると言われます。長く持ち歌にできないのなら、レンタルで済ませたり、ネットで入手すれば足りることになります。
 しかし、第三の要因として、イージーな作品作りにもあると思います。2、3のメジャー曲しか含まれないアルバムを出すとか、同じ楽曲を使い回した水増しアルバムを出すとか、毎年ベストアルバムを出すとか、そういう安易な作品作りが目を惹きます。また、歌唱力よりも外見を重視したシンガーを登用すれば、コンサートはともかく、CDは売れません。ベテランシンガーを切ってフリーにしたり、演歌など不採算部門(にしたのはレコード会社だが)を切り捨てたり、タコが足を喰うような真似も目立ちます。

 そして、第四の理由にして最大と思われるのが、価格の高さです。一枚のアルバムが3,000円前後します。CDの普及当初から較べると、値上げ幅は小さいと思われます。しかし、近頃の大量生産によるコストダウンは織り込まれておらず、割高感の高い商品に変わっています。また同価格帯に映像付きのDVDが参入したこともあり、相対的にCD価格が高止まりに見えます。加えて、イージーな作品作りによってユーザーを裏切ってきたツケもあるようです。
 派手なだけの多額な宣伝コスト、限定グッズなどの本来無用な販促コスト、大量返品による不良在庫コスト、高価な小冊子を作るなど不要な周辺費・・・楽曲CDは楽曲の魅力で売るはずですが、随分と無駄に費用を使っています。これらのコストカットをすれば相当な値下げが可能です。
 これに対して、ミュージシャン自身に入る収入は、知れています。ミュージシャンに群がる人々の人件費が掛かるばかりで、本人の儲けは雀の涙だとか。ブームも作れずに消えてしまえば、先行きも不安ばかりです。人件費を大幅に削減し、必要最小限に絞り込めば、不正なダビングも減り、まともに購入しようとするユーザーも増えるでしょう。ネットでダウンロード販売も始まっていますが、小売店の間接費もカットできて、かなりミュージシャンにも儲けを回せると思います。

 もしもCDでのアルバム販売を続けていくのであれば、「ずばり1,500円!」がリミットだと思います。輸入盤CDとかは、この水準で売られていますので、不可能ではない価格でしょう(輸入盤CDには関税や輸送費も掛かるのですから)。つまりは、およそ半額にまで値下げすれば、何とか商品として成り立つと思います。
 また、水増し楽曲が多くなるなら、アルバムを諦めてシングルに徹するとか、ネット販売限定にするとか、他の道を模索すべきだと思います。売れる作品だけ販売CDに成れば、不良在庫も減り、レコード会社も潤うと思うのです。まずは価格対策、そして品質向上・・ではないでしょうか。

02.12.29

補足1
 フリーマーケットや露店で、不正に複製されたCDが販売されているそうです。無地CD−Rで500円前後、オリジナルパッケージに仕上げて1000円前後だそうです。正規品が1,500円程度になれば、非正規品の「安さ」も色褪せます。レコード会社には、頑張ってコストダウンを図って欲しいと思います。

02.12.29

補足2
 書き忘れましたが・・もしも本気でミュージックコンテンツの権利保護を図りたいのであれば、CDレンタルを廃止することだと思います。あるいは、レンタル品とセールス品に分け、セールス品はレンタル不可とすべきでしょう。レンタル品の単価を大幅にアップするか、レンタル回数に応じて著作権料を徴収するシステムに改め、レンタル単価の引き上げを行うべきではないでしょうか。
 例えば、CDアルバム一枚のレンタル料が最低500円になり、セールス品が1,500円になれば、セールス品を買おうというユーザーも増えるかと思います。コピー用メディア費用、コピー用ソフト&ハード費用、コピー作業費用を度外視するユーザーは仕方がありませんけれど。

03.01.12

補足3
 昨年に実用化されたコピーガード付きのCDが論争を読んでいます。CDにエラーデータを大量に書き込むことで、パソコンのCDドライブではエラーを起こし、CDデッキでは再生するという荒っぽいものです。CDデッキの方がエラー再現性に優れる(というか、結構アバウトな)点に注目した技術だそうですが、再生できないCDデッキがあったり、相性があったりして、再生できないCDデッキもあるそうです。
 これはFD等にエラーデータを書き込んだパソコンソフトのコピーガードと同じ発想ですが、パソコンソフトがコピーガード廃止に動いたのと対称的ですね。ちなみにパソコンでCDを再生しようとすると、怪しげな再生プレーヤーを自動インストールするミュージックCDもあるそうです。通常の手段ではアンインストールできず、物議を醸しているそうです。

03.01.12
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