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雑記帳No.189
書籍要約という「ご商売」

 世の中には物ぐさな人が多いのか、それともビジネスマンは本当に忙しいのか、数多くのビジネス書から厳選した作品について、4,000文字程度の要約を作成して、メールで送信してくれる商売があるそうです。この商売で迷惑を被るとして、すでに要約されてしまった書籍の作家達が訴訟問題に発展させているそうです。

 昔から書評の善し悪しで、ビジネス書の売れ行きが大きく違うと言われてきました。しかし現在では、ビジネス書が氾濫しすぎて、単に書評が出るだけでは売れないそうです。いろいろな付加価値が付くか、上手にブームに乗るか、自ら話題性を作るかしない限り、売れないというのですね。要するにベストセラーに載らないと本が売れないわけで、宣伝が巧い話題作りが巧い本しか売れないわけです。悪書が良書を駆逐する時代でもあります。
 一方で、有名なビジネス書作家の作品は、新刊本の案内を電車の中吊りに載せるだけで、どんどん売れるという傾向にあります。中身に関係なく、有名な企業家や評論家の作品であるから売れるわけです。とはいえ、そこに目を付けて次々に似たようなビジネス書を書く先生もあるわけでして、粗製濫造・金太郎飴な先生もあります。先生が悪いのか、読者が悪いのか・・。

 というわけで、4,000字要約なる「ご商売」があるようです。一般に書評を読むのは無料ですが、この要約サービスは有料です。要約を読んで本の中身が全て分かるのなら、その本を購入する必要が無いわけですから、有料でも便利なサービスという話になりますね。わざわざ購入して要約する手間を掛けるのですから、その対価を得るのも当然かも知れません。中には外れの書籍もあるでしょうし、要約に纏めきれない書籍もあるでしょうから、売れない先生にとっても有り難いサービスかも知れませんね。
 とはいえ、本当に4,000字で要約されてしまう本って何なのでしょうか? この要約を読んでしまうと中身が全部分かる(もしくは推測できる)として、その本を買う必要がないと判断されてしまう本ならば、その本には要約並みの中身しかないか、その要約にしても魅力がないかのいずれかです。そんな本を買わされてしまうビジネスマンは、非常に損をしていることになります。

 さて、件の訴訟問題ですが、要するに要約サービスによってご自分達の本が売れなくて困るという趣旨だとか。売れなくて困る理由が気になるところです。要約で中身が分かってしまって困るというのであれば、それを恥とすべきです。4,000字と言えば「あとがき」のボリュームです。「あとがき」で言い尽くせる中身をハードカバー一冊に引き延ばしているのなら、どうか反省してください。
 もしも要約の書きぶりが悪く、先生達の本の価値を下げているというのなら、理屈は分かります。しかし、そういう要約を書かれてしまうほど難解な本であるなら、やはり反省してください。ヨイショ記事しか載せない書評に頼らず、先生自身でさえ読みたくなるような要約を、ご自分で書いてみるというのはいかがでしょう?(書けないとは、言わせませんよ)。

 世の中のビジネスマンが本当に忙しいとすれば、要約サービスを封じ込めたとしても、先生達の本は売れません。中身の無い本に付き合って、時間を浪費させられることほど無駄なことはありませんから。密度があり、かつ最後まで読ませるだけの中身を伴ったビジネス書が多く出回りますことを!

01.11.04
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