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雑記帳No.169
(仮名)のプライバシー

 新聞や雑誌の記事で、仮名が使われる例をよく見掛けます。昔は「少年A君」とか「都内OLのMさん」というイニシャル式でしたが、あまりにリアリティに欠けると考えたからなのか、「深澤ポン太(仮名=31)」なんて書くのが、流行のようです。どういう基準で仮名を付けているのか、日頃から興味があります。しかし、これといった基準が見あたりません。

 古典的な手法が、アナグラムです。ことばの綴り順序を入れ替えて、別の意味に置き換えてしまう、欧州の言葉遊びです。「フカザワ」なら、「フワカザ」とか「フザカワ」とか(意味不明ですが)でしょうか。しかし、手間が掛かります。
 次にあるのが、一般化名称の採用です。世の中に沢山ある名称を使うものです。「ジョン・スミス」とか「山田太郎」とかですね。多用しすぎると、バレバレで詰まらないです。でも、実際にそういう本名の方もあるので、なかなか難しいですね。
 それから、ワード連想です。「梅田」さんなら、「桜畠」さんや「松川」さんと置き換える方法です。一文字ずつの連想や、名字全体での連想です。これはありそうな名前を作り出すのに便利ですが、それだけに実在の人物と名前が重なる場合が多いです。記事の内容によっては、条件に合いすぎた他人が迷惑を被ります。
 実名を載せておいて「(仮名)」で誤魔化す例もあるようですが・・仮名の趣旨からすれば、論外でしょうね。

 個人的には、「少年A君」方式で良いのだと思います。伝えたいのは人名では無いのですから。出身だの年齢だのも、記事の中身に関係が無いのであれば、敢えて出すまでも無いと思います。記事のライターとしては、少しでも信憑性を出したいということなのでしょうが、裏返せば、それだけ自信のない記事を書いているということでしょう。記事の中身に自信がないから、人名で本当らしさを出したいというところなのかな。
 仮名の作り方、本当のところは不明です。ガイドラインとかありましたら、何方か教えてくださいませ。しかし、いかにも存在しそうな名前であれば、条件によってはピッタリ一致する人もあるでしょう。そのために名誉を汚された場合は、果たして救済されるのでしょうか?

 登場人物のプライバシーを保護するのが目的だとしても、第三者のプライバシーに悪影響を与えるのは、いかがなものでしょう。「(仮名)」と書いたから免責だと主張するのでは、あまりに寒いです。

01.05.12
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