前頁へ  ホームへ  次頁へ
雑記帳No.168
変なビジネス常識

 最近は、変な若者が増えているからなのか、オヂサンにも正誤が分からないからなのか、ビジネスマナーを外部セミナーで習わせるのが、流行だそうです。ビジネスマナーぐらいは、自社研修で実施して欲しいところですが、何でもアウトソーシングの時代なのでしょうかね。

 それとは別に、雑誌や書籍でも、ビジネス常識に関する出版が増えています。この手のものはマメにチェックする価値もあるからなのか、買い込んでくる上司の方とかあります。う〜ん、そんなに自信がないのでしょうか。困ったものです。とはいえ、社外の人と会っているのを見ても、マニュアルを守っているとは思えない傍若無人であります。マニュアルを持っただけで、安心しちゃうんでしょうか。
 ポン太が学生の時は、学校がビジネスマナー講座みたいなのを、ちょっくら開いてくれたりしました。研修テキストがどこかへ行ってしまいましたが、名刺の渡し方だの、上座の位置だの、お茶の入れ方だの、敬語の使い方だの・・懇切丁寧でした。にも関わらず、ポン太は我流のままです。ごめんなさい、守ってません。アルバイト先などで、言葉遣いや電話の応対、客の相手の仕方を教わりました。教本には従っていませんが、お客様にお叱りを受けたことは、無いです。

 何でもマニュアルの時代です。しかし果たして、マニュアルや講師の指導は正しいでしょうか? 形式張った行動を強いて、むしろお客を不快にさせそうなモノが結構出ています。著者や講師がオリジナル性を出そうとしているのか、昔から見たことも聞いたこともない方法を、ビジネス常識だと押しつけている感じがします。今のマニュアル君たちは、マニュアルを鵜呑みにするので、有名なのですぞ・・。
 意味のない謙譲、クソ丁寧で遠回しな言い方、古めかしい所作・立ち振る舞い、いろいろあります。そもそも心が籠もっていないのは、問題でしょう。マニュアル通りの行動をしていて、その意味を正しく理解しているか? 相手がどう見ているか確かめているか? 自分が相手に示されたらどう感じるか? そういう配慮無しに、形式張っても始まらないと思います。虚礼は排するべし、です。

 そんな一例。「名刺の交換では・・名刺入れの両端を自分の親指で押さえ、相手に名刺入れを差し出します。その上に置いてもらった名刺を、両手の親指で軽く押さえて受け取る」というのが雑誌にありました。いかにも常識という書きぶりでしたが、自分で試して見れば、とても見苦しいことが分かります。先方が名刺入れを持っていないことも多いですし、直接受け取らないのも無礼な感じです。複数の人と名刺交換するには、まず不便です。
 「名刺をもらったらしっかり目を通し、名刺入れにしまっておく」というのもありました。美しいかも知れませんが、先方の名前を言い間違えたり、肩書きを呼び違えるぐらいなら、テーブルの端に並べておいた方がマシです。それに、渡した直後に名刺をナメ回されるのは、ゾッとします。何となくアラを探されているような気もしますしね。サラッと目を通して貰うのが、個人的には好きなのですけどね。

 上座の位置も、マニュアルによって教え方が違うのが面白いです。とくにレストランなど洋風のシチュエーションが、バラバラな印象です。電車の座席まで拘るのがありますが、相手には好きな席に座ってもらうのがベストでしょう(相手が上座だと思う席も違うのですから)。ついでに言うと、普通のビジネスマンは上座に拘っていませんよ、今時。下手に知っていると、相手に悪意が無い行動を、不愉快に感じてしまうこともあります。席順に煩い人に限って、仕事ができない事例も多いですね。

 自然にできるなら上記のようなのもOKですが、マニュアル君のたどたどしい行動では、不信感が先立ちます。スマートな動作で、誠意の伝わる行動をしていれば、ビジネス常識が備わっていると思うのですけれど、読者の皆様はいかがですか? マナーに拘っているだけの人間よりも、心を込めて接してくれる人間の方に、誰しも好意を持つと思うのですが・・。

01.05.12
前頁へ  ホームへ  次頁へ