前頁へ  ホームへ  次頁へ
雑記帳No.151
エコノミークラス症候群

 随分と、貧乏くさく聞こえる病気です。これまでは個人の体質に関わる問題とされてきた、飛行機のエコノミークラスの乗客に多い症状が、ようやく同種の病根であることが認知されてきました。具体的には、降機前後に不調を訴えたり、呼吸困難に陥ったり、卒倒したり、中には昏睡のまま死に至ったりもしています。シドニーオリンピックに参加する選手団や、帰国する観戦客に目立って現れたことが、問題をクローズアップさせることにも成りました。

 長時間に渡って、直立不動の姿勢を保ち続けると、多くの場合は貧血などの症状が出ます。体質に大きく依存するものの、血液の循環が悪くなって、悪血が下半身に溜まるなどすることが原因のようです。狭いエコノミークラスの座席では、同様の症状が発生します。
 つまり、足や腰が長時間同じ姿勢で固定され、そこへ悪血が溜まります。一つには、貧血に似た症状が現れます。二つには、足に浮腫が目立つます。三つには、急激に活動すると血栓が体内を駆けめぐります。脳や肺、心臓を損傷するリスクがあります。
 これらの症状は相互に関連がありますが、総称して、エコノミークラス症候群(医学的には、深部静脈血栓症:DVT)と呼ぶわけです。現実には、ビジネスクラスでも同じ症状が見られるわけでして、近頃ではオペラの観客の症状も含まれるようです。要するに、エコノミークラスの発症率が高いということですね。

 この症候群を回避する方法は、二つあるそうです。積極的に機内を歩き回ることと、水分をよく採ること、です。何度も機内を歩き回れば、血の巡りが良くなります。悪血は早期に解消されて、大きな症状に至りません。また、水分を取得することは、血液の凝固を回避することになり、予防効果があるそうです。アルコールは、むしろマイナス効果だとのこと。
 次善策として、積極的に足の血液を循環させる方法があります。昔から、青竹を踏んでみたり、ゴルフボールを足の裏で転がしたり、と海外ツアー本に紹介されています。また、機内でのストレッチ運動なども奨励されています。浮腫解消のために、遠赤外線効果のある脚絆、足指を拡げるストレッチスポンジなども、グッズとして売られています。

 ただ突き詰めると、あんなに狭い機内に多くの乗客を押し込んでいることが問題です。窓側の乗客は、通路側の乗客を気遣ってトイレに行けず、行けないから水分を控えます。結果的に、ダブル効果で体調が悪化し、心理的にもマイナスです。現在の空席率や、高すぎる航空運賃、さらに体格が大きい外国人客対応、これらを考慮すると、エコノミークラスの座席設計を最初からやり直すべきだと思います。

 こんなことを書くのはですね。急遽月末にオランダへの出張が決まりました。今年度、3回目の遠距離海外です。気を付けて、飛行機を使うことに致しましょう。

01.02.03

補足1
 JALの安全情報「http://www.jal.co.jp/safety/fly/economy.html
 インターネットトラベル「

01.02.03
前頁へ  ホームへ  次頁へ