前頁へ  ホームへ  次頁へ
雑記帳No.128
見初めた彼女は・・

 母親が死んで、もうすぐ6年に成ります。来年早々に7回忌ということですが、ウチは両親姉妹が同じ命日なので、有り難いと言えば有り難いです。何かにつけ思い出すことがありますが、専ら変なエピソードばかりなので、笑えます。
 母親は日頃アカペラでハナ歌を歌って歩く癖がありました。本当に1フレーズしか口にしないので、未だに何の曲なのか分からないものが、多々あります。子供が幼稚園や保育所で覚えてきた歌もあれば、懐メロだったり、流行歌だったり、CMソングだったり。

 そんな一曲にムスターファという男の話が出てきます。ひょっとしたら、アラビアンナイトか何かが出典かも知れませんが。その男は街で美しい娘を見つけて一目惚れ。身分の高い家の娘だと知って一念発起し、とうとう金持ちに成ったという話。ようやく街一番の大金持ちになって、娘を迎えに行った男は・・。
 母親は、洗濯の合間にこう唱う。「一念発起で金持ちに、成ってしまったムスターファ・・見初めた彼女は六十歳」と。おそらく男のイメージには、初めに見かけたままの娘の姿があって、時は自分同様に流れたであろうに、それを受け入れかねたのでしょう。母親の歌なので、その先が分からない。不思議、不思議。

 そんなシーンは、何度となくありますね。結構気に入っていた先生が、何気なく同僚と交わしている会話を聞いたとき。信頼していた政治家が、実は汚職やスキャンダルだらけの俗物と分かったとき。先日は、ついにダイエーで御家騒動がありましたが、マスメディアを巻き込んだ汚いものでした。何年か前は真剣にダイエーの将来を憂えたものですが・・。
 今日、私のプリマのステージがありました。そこには今年参加したばかりの新人達が大活躍する影で、端役に甘んじている可哀想なプリマが見えました。順々に実力を着けていけば準主役ぐらいに成れるかと思っていましたが、体の作りも悪く、演技のキレも無く、目を惹く1ショットもない。とっても非常に、残念でした。同じ端役でも、前作で準主役を務めた女優は、それなりに目を惹く演技をしていましたが・・。
 まだ六十歳には程遠いですが、時を越えて、ムスターファの気持ちを味わいました。いやいや、こういう気持ちは時も場所も選ばないか。

00.10.15
前頁へ  ホームへ  次頁へ