都内には「談話室」と名の付いた喫茶店があります。
学生時代のことです。同じ学会に出席された先生方が、学生を放っておいて「談話室」なるもので談合されたことがありました。我々も同行を願ったのですが、「学生の行くような店ではないから」と連れて行って貰えませんでした。もう8年も昔の話ですが、それ以来ずっと訪問のチャンスを窺ってきました。
ふとした偶然から、談話室を探検する機会を得ました。場所は、JRお茶の水駅近くです。「いつか私も談話室へ!」という野望を果たせたのであります(笑)。地上に大きな看板があるものの、談話室は地階でした。テーブルは喫茶店のモノよりも縦がずっと短く、たしかに談合向きです。椅子は少し古風で、温泉旅館の待合室にあるようなレトロなものでした。
地階ということもあって店内は静かで、なぜか壁には和風を匂わせる意匠が凝らしてあります。門塀風の漆喰と瓦、襖のようなものと思って頂きましょう。テーブルは三列にズラッーと並んでいて、結構な客席数があります。客席同士は隙間なく接していて、内緒話には向かない印象です。品の良さげなご婦人や老紳士が1人・2人ずつ座って居られました。
入り口は透明ガラスの自動ドア、すぐに「会計」と表示された精算所があります。雰囲気は安ホテルのカウンターという印象です。発声も「いらっしゃいませ〜」でなく、「ようこそお越しくださいました」とお上品です。メニューの提示も少し上品で、温泉旅館の仲居さん風であります。しかし、コーヒー一杯が1,000円(!)、ケーキセットも1,100円と高額であります。なるほど、学生には敷居が高いわけです。
とりあえず「こぶ茶+月餅�,000円」セットを注文しました。「日本茶+羊羹」セットにも惹かれましたけれどね。きっと湯飲みだろうと思いましたが、ティーカップに耳掻きスプーンでありました。むむっ、強者です。しかもこぶ茶はお代わり自由です。結構お得かも知れませんね。店員の一言は、「ごゆっくりお過ごしください」と一層お上品でした。
お会計時に200円割引の「謝恩券」まで頂戴しました。なるほど、常連客にはお得なシステムのようです。「どうぞご利用ください」と上品な会話は続きます。
とかくサービスが悪いと評判の公的機関のカウンター。ちょっと見習ってみたらどうでしょうか。お客様が来店されたら「ようこそお越しくださいました」、受付整理番号票を発行したら「どうぞご利用ください」、カウンターが混雑していたら「ごゆっくりお過ごしください」・・・殴られるかな(笑)。
00.07.01
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