アメリカには業種毎のシンクタンクが数多くあると聞きます。日本では証券会社系と銀行系のシンクタンクを除いては、綜合的シンクタンクがありません。企業グループを形成する上では戦略の要となるシンクタンクが必要です。自由に幅広く情報収集を行い、これを定量的に分析し、積極的な提案に結びつける戦略部門としてシンクタンクを作りましょう。
とくに純粋持株会社においては良質な戦略部門が必要です。御社が流通業界のリーディングカンパニーである以上は、単なる戦略スタッフの配置に留めず、流通業界全体を見渡し、そのニーズとウォンツを満足させるシンクタンクを創設することが必要でしょう。長期的利益を確保し、健全な業界の発展を図るために、シンクタンクの創設を是非お考え下さい。
外部に開かれたシンクタンクとは別に、グループ内で閉じたシンクタンクも必要です。いわゆるブレーンですが、何度も申し上げますように社内よりも社外のブレーンを確保すべきだと思います。社外からブレーンを迎える方策の一つとして、社外非常勤取締役の活用があります。可能で有れば同業他社から迎えることが必要ですが、異業種からも集めてみましょう。相互に提供し合う場合は報酬を抑制することも可能ですし、負担はあまり大きくないと考えます。
社外取締役は、ノウハウを盗む危険性があるものの、逆に良い提案・指摘をくれる可能性があります。社外取締役が加わることで取締役会の透明性を図る必要が生じ、結果的に市場に対してオープンな姿勢を示すことにもなります。形式だけの非常勤取締役が未だに多いですが、全取締役の取締役会への出席状況や、会での発言状況などを公開し、努力の足りない取締役を積極的に解任することにより、内容のある活発な取締役会が期待されます。
外国では、直接の資本関係がない関係会社から非常勤取締役を受け入れる企業が多いと聞きます。会計制度を欧米の基準に合わせる企業が増える傾向にあり、情報開示についても欧米並の開示が求められ始めています。情報開示は重要ですが、その情報は厳選されなくてはいけません。その情報を開示した場合の市場への影響、競合企業への影響を正確に分析できるシンクタンクの育成は必要急務です。また社外非常勤取締役によるチェックとアドバイスを受けることも必要です。
シンクタンクと社外非常勤取締役の創設を是非ご検討下さい。
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