前略 中内
様(No.20)
情報の共有化と提案システムについて
ワープロやパソコンの普及により、活字印刷物が簡単に作れるようになりました。商品用のPOP、店内の掲示物も手書きから活字へと変化しています。手書きは暖かみがあると言われますが、美しい文字でなければ自分の個性を押しつけることになり、見苦しく感じられることがあります。逆に活字は無個性で冷たい感じがすると言われます。誤変換による誤字・脱字が多いことも特徴です。
ところで、「
店長への直行便
」システムを
トポス北千住店
で拝見しました。有記名での意見回収箱と、それに対する店長の回答が掲示されていました。しかし、回答は藁半紙に鉛筆の手書きでした。いささか見栄えが悪いように思います。それ以上に、運用効率の悪さも問題かと思います。ワープロで作成した文書であればデータベースへの蓄積と検索が容易です。手書き文書は保存整理性が悪く、配布も郵送になります。総合的にサービスレベルを向上するためには、手書き文書は不便だと考えます。
社内提案のシステムはどのようにされていますか。やはり手書き文書が社長や本部宛に出されるのでしょうか。仮に手書きであったとしても文書の電子化・活字化を図られていますか。提案・提言を一過性のものにしないためにも、積極的にデータベースへの蓄積を図ってください。
また社内では電子メールシステムが普及し始めているそうですね。社内提案や日常の不平・不満はメールで吸い上げておられますか。電子メールは直接顔を合わせることがありませんから、冷静なコミュニケーションを図ることが出来ます。また正面から主張できない不平・不満あるいは意見を伝達することができます。社内から上がってくる情報もデータベースへ蓄積した下さい。そして誰もが検索できるオープンなシステム作りをお願いします。
グループの各店に最低1台のパソコン端末が必要です。データベースを使う情報検索、最新情報の追加、電子ネット上での問題提起とそれに対する回答、各店・各店員間の電子メールによる意見交換・意思伝達の利用に提供してください。またパート・アルバイトにも門戸を開いて下さい。
今後の企業戦略として情報の共有化は必要です。一人一人が情報の発信と収集に努力することは店舗運営への関心を高めることに繋がります。士気が向上し、社内の活気が増すものと考えます。電子メールは容易に交換できる便利な道具ですが、毎日数十通の電子メールを読み、返信を書くことは大変な作業です。社長もお忙しいことと思いますが、これからのスタイルでもあり、社内の風通しを良くする効能もありますので、積極的な活用をお考え下さい。
店舗運営のあり方については、パートやアルバイトの方がしっかりとした意見を持つことが多いです。社員でも接客の機会が増えれば気付くことが多いかも知れませんが、現在の従業員に占める正社員の割合から考えれば無理な話であります。
パートやアルバイトの意見の積極的に汲み上げるための余裕さえも、正社員に無いようです。提案用紙や電子メールを使って、店長や本部が意見を吸い上げる努力をしなくてはいけません。形式的な社内提案制度では、動機付けを欠くので、意味がありません。自発的に改善提案が積み上げられる環境を整備することが必要です。
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補足1
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横浜の某スイッチメーカーでは、社内提案制度による大幅なコスト削減に成功しています。ここではコスト削減効果がビジュアルに掲示されていますので、誰もが積極的な改善に取り組む仕組みを確立しています。また個人でなくグループで改善努力に取り組んでいることも動機付けに一役買っています。
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補足2
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ダイエーは、2001年6月14日に、経営陣とパートが語る会を催したそうです。題して「パートナーさんと語る会」ということで、都内119店舗から274人のパートを集め、疑問に応えたり提案を受けたりしたそうです。品川のホテルに集めるという発想はいかがなものかと思いますが、一歩前進でしょうか。日本経済新聞によれば、その場の意見として「売り場に従業員が少ない。競合店に接客で勝てないので増やして欲しい」、「売れない商品がまだ本部から見せに押し込まれている」などの意見が出たそうです。
総 括
中内体制が、積極的に従業員の声を吸い上げていたかどうか、定かでありません。しかし、今後も一層必要なことですので、新経営陣が従業員の声を吸い上げて、それを改革に繋げていく努力をできるよう、頑張って欲しいと思います。
01.01.28