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前略 中内様(No.18)
らんぷ亭にも定食を

 ある街角に吉野屋松屋らんぷ亭が近接していたと仮定します。牛丼を食べることを決意した客はネームバリューのある吉野屋に入ります。また牛丼に決意をし兼ねる客は松屋に入るでしょう。ここには豊富な定食があります。とりあえず値段で選ぶお客はらんぷ亭に入るかも知れません。先日、「らんぷ亭は牛丼屋であることが分かりにくい」と指摘しましたが、三田駅前の店には「牛どん」の大きな電光看板がありました。

 ところで、「飲み帰りにはラーメンは食べても丼は食べない。明け方の客もサッパリした定食を食べるだろう。24時間開いていても、牛丼のみではダメではないか」と、あるラーメン屋経営者は指摘しています。吉野屋は牛丼がメインですが、朝は数種類の定食があります。また松屋にはカレー、生姜焼き定食、あるいは焼魚定食もあります。
 しかし、らんぷ亭には牛肉を使わない定食は紅鮭定食だけです。これでは選択肢が余りにも少ないと思います。ばら肉を捌くことが目的ですから当然かと思いますが、選択肢が少ないことはグループでの来店機会を失います。グループ内の一人が牛丼を嫌ったり、一人が近日に牛丼を食べていると、そのグループは牛丼屋を利用しません。無難にファミリーレストランを使います。
 とはいえ、どんな定食があっても良い訳ではないでしょう。前記ラーメン屋経営者の言葉を借りれば「コンセプトが明確に見えること、いずれの定食も短時間で提供できること」です。カレーまで揃える松屋は単なる定食屋であり、牛丼屋のコンセプトが薄れています。特定の定食だけが待ち時間が長いこともグループでの利用を阻害します。客の回転率も悪化してしまいます。
 チェーン店では、どの店でも均一の品揃えがあることが必要ですね。店舗開発も、サービスも標準化される必要があります。また「生卵20円券」はあまり評判が良くありません。30円の割引のために券を持ち歩くことの不便さが原因です。また初来店客は使えない(缶切りは缶の中)ので、初来店客へのアピールは強くありません。リピーターを増やすためにも、牛丼に玉子1つ無料のサービスをされてはいかがでしょう。

 話は変わりますが、らんぷ亭ではメニュー数に比べて掲示物が多いと思います。綾瀬駅東口のらんぷ亭には狭い間口には6つの掲示がありますが、吉野屋では平均2〜3です。いずれもカラー写真入りで一見派手ですが、商品の値段やコンセプトが全くぼやけています。間口の掲示物を減らすことは店内を明るく広く見せる働きがあります。また選別した掲示物はお客様へのアピール力を増します。週代わり、曜日代わりで掲示物を変えることもご検討下さい。
 ちなみに定食の種類はバックヤードが許す範囲で5〜6品揃えるのが宜しいと思います。競合店とのコンセプトの違いを明確にすること、毎月新製品を開発して目先を変えること、その中から定番定食を育成すること、が要求されます。ミスタードーナツの飲茶・麺類、モスバーガーのラーメン屋、ファーストキッチンのチキン・ピザなど他社も選択肢を増やす研究をし、成功を収めています。今後の工夫に期待いたします。

 牛1頭を余さず売りたいダイエーとしては、売れ残りがちなバラ肉をらんぷ亭で有効に販売したいのが本音でしょう。そこへ「肉を使わない定食を使え」というのは無理な話かも知れません。しかしバリエーションが無ければ他チェーンとの競合に勝ち残れません。また現在は関東を中心に出店していますが、果たして関東人に受け入れられるのかどうか疑問が残ります。開店当初に投入されたカニ玉丼などもすでに店頭から消え、牛丼のみの品揃えで今後も多店舗展開を続けるのは可能なのでしょうか。

補足1ちなみに飲み明かした後にラーメンが食べたくなるのは、空腹とは関係がないそうです。飲み倒した直後は体内の糖度が一時的に低下し、空腹感が増すためだそうです。
補足2提案して2か月後、みそ汁20円、生たまご20円、朝漬40円どれでもサービス券になった。これは三つ同時の割引もしてくれる優れものですが、セットメニューと値段があまり変わらなかったりするのです。もう少し景気良くならないのかなぁ。生たまご無料券とか・・・
補足31998年10月、ついに「牛丼・定食50円引き券」が期間限定配布になりました。しかも補足2のどれでもサービス券とのセット利用可能という優れものです。やっとですね。でも相変わらずの「缶切りは缶の中」サービスですから、もう少し工夫をして欲しいところです。
補足4缶切りが缶の外に出てきました。ダイエーのホームページから、補足3の割引券が印刷可能で、モノクロでも持参すれば有効になりました。1999年1月末までですが、マニアでないと発見が難しい場所にあるページです。
補足51998年10月〜1999年2月まで定食メニューの強化が図られました。牛とろろ定食、牛さばみそ煮定食です。依然として牛を捨て切れていませんが、まずまずです。また、夏季限定で導入されたおろし牛皿定食も好評だったそうです。目先を変えることから始めましたね。
補足6牛丼を2月18日から28日の11日間限定で一律100円引きします。ここまでの値引きはおそらく原価割れ。客の信用は大きく落ちるのではないかと心配です。それに近頃肉の量が少な目になっているような気がします。ボリューム感は牛丼の命なんですけどねぇ。かつて吉野屋が破綻した原因を思い返してみて下さい。
補足72000年下期以降、同業他社との間で激しい値引き合戦を繰り広げています。市場全体のパイは横ばいのまま、体力勝負を仕掛けているようです。しかしチェーンの規模はまだまだ小さくメリットは無さそうです。
補足82001年下期になっても店舗数は50余りで低迷しています。これに加えて、激しい価格競争を繰り広げたことや狂牛病騒ぎに巻き込まれたことにより、一層の業績低迷に繋がっています。競合他社は、鶏肉・豚肉など多様な定食による客足低下の歯止めを掛け始めていますが、どうなりますでしょうか。

総 括
 午前中だけですが、牛肉に拘らない定食メニューが定番化してきました。おそらく午前中は思い肉料理だけでは不十分という考えが働いていると思います。しかし、午後でもあっさりした定食を好むお客が多いのではないでしょうか。引き続き定食メニューの充実に期待したいです。
 ある程度のチェーンに成長すれば、おそらくダイエーから事業売却される運命にあるのでしょう。あまり本業である総合スーパーと事業補完の関係にあるとも思えません。今後は吉野屋や松屋との激しいバトルを繰り広げることができるかどうか、あるいはローカルFCとして小さく生き残るか、戦略を問われそうです。

01.01.28
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