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前略 中内様様(No.14)
OMCカードの流通グローバル化を

 大手スーパーでは自社カード発行が盛んですね。セゾン系のクレディ・セゾン西武、パルコ、西友各社のカード発行業務を統合して総合金融業への脱却を目指しています。ジャスコ系のイオンクレジットは、アジア進出を実現して空前の利益を確保しています。マイカル系のマイカルカードも自社カードの発行業務を代行しています。百貨店が専ら他社提携カードを発行しているのとは異なりますね。
 御社グループでは、ダイエーOMCがOMCカードを発行していますが、主にダイエーグループのみで利用可能なため、遠くない将来には、カード発行枚数が頭打ちになるでしょう。他社との顧客の奪い合いも多くなると思います。

 クレジットカードを選択する条件はいくつかありますが、加盟店の多さが一つの条件です。勤務先でも、自宅近くで使えることは最低条件であり、観光地でも使えることも必要条件です。しかし、OMCカードがグループ内での利用に限定されるのは残念です。最近では書店、カラオケ店といった加盟店が増えつつはありますが、いずれの利用も少額のはずです。またVISAやマスター加盟店も利用は可能ですが、提携会社に支払う手数料は莫迦になりません。純粋なOMCカード加盟店を増やす必要があります。

 地方スーパーもまた、自社カードの発行に興味を示しています。とくに独立系スーパーは顧客を囲い込む必要から自社カード発行を望んでいます。例えば、カスミはGCの提携カードを発行しています。しかしGCは流通系カードでないため、顧客情報面でのメリットは享受できません。またGC・JCBの他加盟店での利用は利益にならないと聞いています。自社カードの発行は、ノウハウ、資金力の不足から不可能だと聞いています(平成6年頃の話です)。

 こうした地方スーパーにOMCの提携会社を作って貰うのは無理でしょうか。例えばつくば市・土浦市にはダイエー、ジャスコ、西武百貨店がありますが、スーパーカスミ・ブックランドカスミ・カスミ家電・ココス(宝島を含む)・スパー(カスミコンビニエンス)、ホームセンターカスミなどグループドミナントが形成されています。
 ここで、カスミOMCカード社(仮称)を設立するとします。ノウハウ提供、顧客データ共有を行えば、同エリアでのOMCカードのシェアは一気に増加します。家電・ココスを除く各店では提携カードのみ利用可能です。これらの店舗でOMCカードの利用が進めば会員も売上げも増加するでしょう。そして、同エリアでOMCカードを扱う飲食店等の増加も期待できます。つまりOMCカードの地域オフィシャル化が可能です。セブンイレブンスパーの進出が著しい同エリアへローソンが進出する足がかりになります。

 またローソンとスパー、ダイエー家電部とカスミ家電、アシーネとブックランドカスミ等は業務提携の余地が大きくあります。とくにカスミの家電部門は不振だと聞いていますし、つくば市内ではホームセンター部門がジョイフルホンダなどに圧迫されているそうです(平成6年頃の話ですが)。御社が業務改善などに協力する余地もあるのではないでしょうか。また関西地区において、御社がレストラン・ココスを展開することも可能です。
 提携する相手は慎重に選ぶ必要があります。まず地域ドミナントを達成したスーパーであることです。ドミナントが達成されていなければ新規顧客の拡大は見込めませんし、会員からきめ細かい消費情報を引き出すことが出来ません。一例として、ニチリウグループの平和堂、イズミ(丸井とカード事業を提携)などが良いと思います。残念ながら、ヤオハンは、再建が進んだ場合イオンクレジットに加わることでしょう。

 いずれにせよ、グループ外の流通企業と提携し、共通ブランドのカードを作ることは有効です。参加スーパーが多くなれば、グローバルカードと認知され、地域商店街の加盟なども見込まれます。場合によってはカード名称の変更は必要になるかも知れません。

 OMCカードのさらなる発展と、資本関係を越えた流通ネットワーク作りを是非ご検討下さい。

 融資先未発表の企業融資が約2,000億円も焦げ付き、これを消却することとなったダイエーOMCです。一時は600円前後であった株価が1998年1月には140円台まで低下しました。この金額は山一証券の簿外債務にも匹敵しますが、意外にも増資と自己資本の切り崩しで乗り越えつつあります。ともかく本業が堅調であることが強みですが、OMCの増資を引き受けたグループ企業は大幅な株式評価損に喘いでいます。もともと個人相手のはずのOMCが莫大な企業融資で焦げ付きを生んだのか不明ですが、この融資先がグループ企業であったならば、かなり問題で、経営者は背任罪に問われるかと思いますが...

総 括
 ダイエーやローソンの規模拡大が止まったことで、OMC自身の成長速度も低下しているようです。ようやく負債の整理もつき、収益を蓄積できる体制ができつつあるようですが、親会社のダイエーから事業売却されるリスクが高まっているようです。OMC社は数少ない売却可能事業でありますが、本業である総合スーパーとの相乗効果も見込めることから、本当に売却が良い選択なのかどうか分かりません。
 昨今のIT事業などを見据えると必須のノンバンクですが、ローソンやリクルートをグループ外に手放す奉公であることから、もはや大きな事業に化けることも無いかも知れず、早く売却された方が、OMC社に取っても幸せかも知れません。ローソンの筆頭株主となる三菱商事との提携が良い選択ではないでしょうか?
 中内ファミリーが退陣したことを受け、OMC社に巨大な簿外債務を生じた原因を調査し、その結果次第ではファミリーへの損失補填なども求める必要があるかも知れません。事業売却を成功させるには、隠し事の一切を綺麗に精算する必要があると考えます。

01.01.28

 ダイエーOMCは、ダイエーグループ外店舗での利用額が全体の4割程度を占めるようになったとして、社名から「ダイエー」を外しました。経営再建中のダイエーからの連想を避ける狙いもあるようですが、脱ダイエー色を強める方向にあります。
 加えて、株主変動も含めてダイエーグループから距離を置き始めたローソンは、クレディセゾンなどと提携して新カードを発行するそうです。これに伴い、保有していたダイエーOMC株式を外部に売却し、脱ダイエー色を一層強めるとのことです。売却される株数は、OMC発行株式の10.2%に達し、武富士が候補に挙がっています。

02.05.19
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