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前略 中内様(No.12)
お客様の意見を聞くということ

 購入した商品に問題があれば「ニーズスリップ」というコーナーで相談すると良いそうですね。また記名式の「店長への直行便」もありますね。お客様を集めたミーティングも設けているそうですね。しかし、これだけでニーズは汲み上げられるのでしょうか。私は自信を持って語れません。

 例えば良くあるご質問とその回答などはオープンにされていますか。店内の目に付きやすい場所に掲示したり、従業員に周知徹底したりされていますか。同じ疑問、サービスへの不満を持たれても、リアクションを示されないお客様は多いと思います。お客様への疑問や不満に応えられなければ、お客様は減少することになりますね。
 私の子供の頃、改装前のダイエー板宿店には、買物カゴ担当の名物おじさんがいました。明るい挨拶、なにげない会話、子供への親切なサービス、疑問への応対、など的確な接客をされていたように記憶しています。いまは買物カゴの近くに社員の方を見かけることは希です。その上、挨拶以上のサービスは受けられません。人件費の問題が絡みますので、異なる方法でお客様のニーズを汲み上げる必要がありますね。

 たとえば、大判のホワイトボードにいくつかの質問を掲げておきます。当店のサービスはいかがですか、セービング商品はいかがでしょう、ご希望の品物は揃いましたか、などの項目が良いでしょう。そして、マジックペンを備えておいて、ボードの余白に自由な書き込みを頂きます。無記名で、手軽ですので、もう少し自由な意見を集められるかも知れません。また、手の空いた社員が交代でお客様の袋詰め作業等を手伝い、さりげない会話をすることを奨励してみましょう。そして拾い集めた会話を公開する機会を持ちましょう。ただ記録を正確に残すためには、ホワイトボードよりも模造紙の方が良いかも知れません。
 翌月になれば、先月までの疑問や不満に対する回答・対応を清書してボードの脇に掲示しましょう。他店舗との情報交換も必要かと思います。積極的に情報収集に取り組み姿勢を示すことは、「For the Customers」の趣旨にも添うのではないかと考えます。

 さらにOMCカード会員などを中心に無作為なアンケート調査を実施されていますか。郵便でも電話でも良いと思いますが、お客様の都合を考えれば郵便が望ましいと思います。定期的にアンケートの結果を集計して公表すれば、お客様から良い反響が得られるかと思います。

 上記の「店長への直行便」は店内で掲示公開されています。この問題は次回以降で取り上げていますが、藁半紙に手書きという保存性、流通性の低い手法を使っていました。本当に情報管理に取り組むのなら、電子データにした上で類似の意見を整理集約し、社内報への掲載やメールやホームページでの配信も検討するべきです。

総 括
 これまで、消費者の声に本当に耳を傾けてきたでしょうか? 売り上げが伸びないという理由だけで、店舗閉鎖や売り場面積の縮小を行った来なかったでしょうか? 駅前開発のキーテナントとして、ショッピングセンターの一員として、期待されただけの活躍をする努力をしてきたでしょうか? 本当に消費者の声を吸い上げていれば、安易な事業縮小を迫られることも無かったと思います。
 新経営陣は、期間は様々でもダイエーの外側からダイエーを見てきたはずです。自分自身の感じたこと、自分たちの見聞きしたこと、長い間封じ込まれていたダイエー従業員の声、そしてお客様の声・・・全てを積極的に集めて整理し、ベストな方向性を見いだして欲しいと想います。

01.01.28

 新生ダイエーは、各店舗の店長にノルマを課して、来店客から意見を募ったそうです(全店実施で17,000人規模)。その結果、品揃えや店舗運営に対する意見が多く集まり、これをかいぜんした結果などを掲示板で報告するそうです。顧客に意見を聞き、改善結果を明示することで、顧客の信頼を取り戻すのが狙いであるそうです。そのためにイメージキャラクター(元気君=仮称)まで作ったそうです。また「お客様店長」の日を作り、直接の評価も受けるそうです。
 顧客窓口として「スマイルカウンター」を各店に開設し、今後も継続的に顧客の意見を収集する予定であるそうです。一過性でなく長く続けて欲しいところです。ちなみに聞き取り調査では、母集団の20%が何らかの不満を抱いていたとのことで、十分な効果が上げられればリターンも大きそうです。

01.06.30
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