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前略 中内様(No.09)
ローコストとチープさは違うと思います

 ダイエーつくば店は立体駐車場を持ちながら、売場は2フロアの店舗です。外壁、天井はともにコンクリート剥き出しでありますが、天井は高くチープなイメージは与えませんでした。
 しかし浜松町の「ダイエーナウ」もローコスト店なのでしょうか。売場の半分は天井に配管が剥き出しであり、いささかダーティなイメージを受けました。また残る半分の売場は天井板がありますが、少し汚れていないでしょうか。これは少し行きすぎような感じがしました。食品コーナーもありますので、内装には少しコストを掛けられてはいかがでしょうか。
 また、菓子類などの陳列がキャスター付きカート上にされているのは見苦しいです。商品補充の便宜を図ったものかと思いますが、菓子棚は子供がよく触れるものでもあり、衛生的で見栄えの良い物をご検討ください。ダイエーナウが立地の良い空間を占めるにも関わらず、チープさが全面に引き立つのは残念に思います。

 またも釈迦に説法になります。ローコスト店は、従来と見栄えの遜色がない内装を低コストで作る店舗ではないでしょうか。什器類を割安に済ませても、それがチープに見えてしまうのであれば本当のローコスト店とは呼べないかと考えます。また、従業員が薄汚れたトレーナと色落ちしたジーンズを穿いていますが、これもイメージが良くないと思います。トレーナは汚れを吸いやすく、襟首が伸びたり、アップリケが剥がれたりして外観が悪いです。ジーンズも新品であれば良いのですが、洗いさらしのものは汚れが目立ちやすく、チープな印象を与えます。
 すでにご存じのことと思いますが、ファミリーレストランのすかいらーくがローコスト店ガストで大きな失敗をしました。どぎつい配色の看板と絨毯、従業員のジーンズ穿き、チープなテーブル、徹底したセルフサービス、過剰なメニュー削減、などローコストの追求がローサービスに繋がって客離れを起こしました。若者の溜まり場になり、一般客が大量に失われた店舗もありました。最近は改善が進み利益も出始めているようですが、ローコストとチープさとは区別して考えたほうが良さそうに思われます。

 我が国では、中流意識が強いです。再生紙利用のトイレットペーパーよりもシルク100%のペーパーを選び、お茶でもコーヒーでも最低ランクの商品は買いたくない、たまのレストラン利用もセルフサービスより少しグレードの高い店に入りたい、と考える人が増えています。周辺住民にチープな店とのレッテルを貼られた店においては、利用したくなくなる主婦が増えるのではないでしょうか。

 今後のローコスト店の展開に際には、是非ともご検討ください。

 スーパーの命は意外ではあるがイメージが第一に重要です。どんな安い商品、どんな豊富な商品を揃えて見せても、店から受けるイメージが悪ければ客足が遠のくのは必然です。たしかに安い商品には「しあわせ奥様」たちが群がるでしょう。しかし目的のモノを買えば用事は済んで他店へと移動してしまうものです。その彼女たちを引き留めて、さらに多くの商品を買わせるためにはイメージを良くしなくてはいけません。それ故に店内改装を繰り返し目先を変える必要がありますが、その費用はかなり莫大なものです。さらに規模の拡大を続けるスーパー業界としては、毎年出店する店舗の建設・改装費もバカになりません。したがって、什器や店舗設計の標準化を図り、資材の一括購入や業者の内製化などを進めています。だからといって、露骨に壁や天井の内装を粗くしたり、什器を安物化したのでは、お客様に無言の圧力を加えるばかりで意味をなさないことになります。

総 括
 本業外に資金を回し、巨大なまま身動きが取れなくなっていたようです。不良店舗を次々に閉鎖して縮小均衡を模索してきましたが、折からの消費不況や小売業界の構造変化と相まって、思ったように業績は回復していません。新経営陣に代わり、中内ファミリー色を払拭しての船出になりますが、チープさを捨てて店舗改装に注力し、新生ダイエーを強く印象づけていくことが欠かせないでしょう。短期間で目に見えて回復するとは考え難いですが、お客様あってのスーパーでありますので、真面目に取り組んで欲しいものです。

01.01.28
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