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前略 中内様(No.02)
来客数はどうすれば増えるのか

 釈迦に説法ですが、お客様を増やすためにはどうすれば良いのでしょうか。「魅力ある商品を品揃えすること」が第一条件だと考えますが、お客様の目が肥えた昨今では難しい問題です。そこで次善策として、「お客様の買い物時間を長くすること」、「一日に何度でも来店して頂くこと」を考えたいと思います。
 お客様がゆっくりと商品を眺める時間を持たれれば、意外な商品が見つけられるかも知れませんし、買い忘れた品物を買い足されるかも知れません。お客様が何度でも来店されれば、ついでの買い物が増えるかも知れません。来店時間と来店回数を増やすことで店内をお客様で満杯にすれば、売り上げも増加すると考えます。

 まず、お客様の買い物時間を長くする工夫を考えます。店内の掲示物に気を配り、積極的に有意義な情報を提供してみましょう。くつろげる休憩所を増やし、雑誌やビラを備えてみましょう。絵本やおもちゃを用意して子供が無料で遊べるスペースを作りましょう。広告に掲載しない目玉商品をコーナーのあちこちにさりげなく作ってみましょう(セービング商品は後述)。きっとお客様はレジャーとして買い物をされるでしょう。
 次ぎに、お客様の来店回数を増やす工夫を考えます。毎日午前中に限って生鮮食品の割引をしましょう。数量限定で仕入れたての商品を5〜10%で販売してみましょう。安い見切り品を嫌うお客様も買いに来られます。とくに午後からテレビや近所つき合いで忙しくなる主婦をターゲットにしましょう。中小スーパーに多いですが、曜日毎に肉・魚・野菜の安い日を設ければ来店回数が増えます。単品でなく全品を安くすること、際だった目玉商品を作らないことがコツになると思います。夕方の商品見切りも売場の裁量でなく、定時に始めるようにしましょう。そうすればお客様の買い物サイクルも決まります。その代わり閉店直前の投げ売りはやめましょう。廃棄する方がイメージが向上します。
 毎日1回は来店して頂く工夫があると良いですね。しかし日頃からスーパーと縁の遠い方はいらっしゃいます。そういうお客様は情報で呼んでみませんか。例えばオレンジページダイジェスト版の毎週無料配布はどうでしょう。特集記事に合わせた売場作りがあれば相乗効果も大きいと思います。オレンジページ社から一括購入することになりますが、広告が盛り込めますし大量配布ができますので、折り込み広告よりも有効かも知れません。もちろんTVガイドなどの無償配布、リクルート雑誌の無償配布も良いと思います。

とにかく来店数を増やして見ましょう。利益に繋がらないお客様が増えてしまいますが、来客数の多い店は人気が上がります。付加サービスの充実も、人気向上に役立ちます。短期的な利益にはならなくても、長期的な利益にはなると思います。一度ご検討ください。

 人件費削減を急ぐ余りにサービスが低下したと言われた、ダイエーです。その結果は1996年度決算に如実に現れてしまいました。これを挽回するために急遽人材の呼び戻しを行ったものの、社員やパートのモラール低下は避け難く、しかも不用意に従業員が配置されたことから効率化には至っていない様子です。ハイパーマートの自主再建に際して、潤副社長の陣頭指揮により少しずつ来客数が回復しているとの評判ではありますが...

総 括
 ダイエーの本業回復の実現はなかなか難しい様子です。本業回帰を打ち出し、売却可能な資産の処分や、不良子会社の整理に乗り出しているものの、本業をどう回復するかのビジョンが明確に見えてきません。
 1月からの新体制は、かつてダイエーの再生を担ったV革メンバーが中心であるとのことですが、再びフェニックスのごとく復活できるのかどうか、先行きは不透明です。総合スーパーという業種の寿命が尽きつつあるのではないかとの懸念もあります。さらなる事業特化が求められるでしょう。

01.01.28
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