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政治の研究No.152
いま必要なのは、政治改革

 近頃、「オール自民党」あるいは「オール自民」という言葉が雑誌等に現れています。要するに、自民党の総体あるいは総意ということでしょうが、これが小泉首相と対決しているそうです。小泉首相は、内閣総理大臣でありますが、同時に自民党の総裁であります。自民党の代表として選出された以上は、小泉首相が「オール自民党」であっても、「オール自民党」と対決することは無さそうです。本当に対決するのであれば、自民党の総裁であることが不可能ですから。

 しかし、総裁である小泉氏の思惑外で、オール自民党なるものが永田町には存在するようです。魑魅魍魎が棲む永田町の「論理」が復活してきたようです。その背景には、小泉首相の求心力低下があります。田中外相の扱いについて、相変わらず低級な争いが続いています。外相の稚拙な政治能力がPRされる一方で、外務官僚の稚拙な抵抗はPRされていません。そこには反小泉派の自民党議員による思惑が働いているようです。
 加えて特殊法人改革の遅延と後退が鮮明に成っています。急先鋒であった石原行政改革担当大臣が厚い包囲網に阻まれてしまい、改革へのトーンが下がっていると言われます。危機感を強めた小泉首相は、積極的にマスメディアへ改革推進のアドバルーンを打ち上げ続けていますが、その実現性は後退しつつあります。結局のところ改革は遅延し、首相の指導力は低下し、小泉フィーバーを産んだ世論も色褪せつつあります。

 いつかに書きましたが、族議員たちは狡猾です。正面切って首相の方針に対決しない一方で、表面に出ない形での妨害やサボタージュを進めています。これに既得権益を死守したい官僚が手を貸し、改革の骨抜きと小泉氏の失脚を狙っているわけです。そうした超保守的な動きが「オール自民党」と呼ばれる動きなのでしょう。そのトップは、主流派でありながら動きを封じられた橋本派一党であると目されています。
 徒党を組んで暗躍するのは、日本の政治家の悪癖です。悪者は橋本派というイメージがありますが、実体としては小泉氏の出身母体である森派でも暗躍しているようです。誰しも急激な改革を望んでいませんから、国民の生活にどれだけ損失を与えようとも、暗躍を止めてくれないようです。本来であれば、マスメディアがそういう情報を集めて公開し、改革の手助けをするべきですが、暗躍している政治家と連携している記者や幹部が多いのですから、望むべくもありません。

 小泉内閣は、細川内閣の時代と比較されることが多いです。しかし、バブルが崩壊し政治が混迷していた細川内閣時代は、今よりも遙かに恵まれた経済状況であり、政治状況にありました。当時に政争を繰り返すことなく、抜本的な改革が図られていれば・・今よりずっと良い時代が訪れたと思います。果たされた過去をどうこうと論じても仕方がありませんが、小泉内閣で改革を逸してしまうと、さらなる新内閣が改革に着手しようとしても、一層事態が悪化してしまっているでしょう。
 必要なことは、少しずつでも改革を進めることと、不合理・不公正を改めていくことです。トップダウンでの改革に反対であれば、ボトムアップでの改革でも結構です。どうか現状に甘んじることなく、政治改革へ取り組むよう与党・野党の政治家諸氏にお願いしたい。そして官財の諸氏にも改革への協力を求めたい。今のチャンスを生かさなくては、日本国が活力を取り戻す時代は永遠に得られません。ただただ老廃化していく日本を眺めるのは、あまりにも無意味では無いでしょうか?

 オール自民党なるものが存在し、それが改革を妨げるのであれば、これを排除しましょう。小泉改革がベストチョイスであるとは言いません。しかし、政府・与党にとっても、野党にとっても、官界・財界にとっても、今よりは良い時代を導いてくれるのは確実です。どうか無駄に改革へのエネルギーが費やされませんように! いま必要なのは、政治改革です。

01.11.18

補足1
′肢ネ降、マスメディアを使ってのアドバルーン打ち上げが鮮明になってきました。今回の政治改革のリミットは、おそらく年内一杯です。これ以上の「交渉」を継続して、結果的に失敗するよりも、既定路線として国民に「発表」していく方が効果が大きいと踏んでいるようです。たしかに世論の後押しを受けての改革実現は、最後の手段として効果的です。しかし失敗した場合は、内閣が受ける返り血も多いでしょう。
 「まず特殊法人改革」から「せめて特殊法人改革」へとトーンダウンしつつありますが、ここが正念場です。

01.11.23

補足2
 年末を迎えるにあたり、自民党内では「アンチ小泉」の議員連盟が相次いで旗揚げされたそうです。目的は、族議員を中心とした政官権益の維持、つまり小泉改革の妨害です。残念ながら「小泉ファン」の議員連盟は結成されず、民間グループによる声援が中心であるそうです。民間グループの応援は、専ら理論武装のお手伝いだそうですが、外部に協力者を求めなくてはならない首相は、非常に厳しい立場ですね。
 それにしても、首相の出身母体である自民党で、抵抗勢力が堂々と旗揚げするというのも変な話です。党総裁の方針に異議があるのであれば、党を割って出ていくという選択肢もありそうですが、そこまではできない様子です。要するに、党内でのいじめに徹するということでしょうか。

01.12.31
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