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政治の研究No.146
対米テロリズム、再び

 米国をターゲットとしたテロリズムが、再び繰り返されました。無辜の市民を武器とする悪辣なもので、その惨事は過去最大規模のテロリズムとなりました。米国大使館を狙ってのテロリズムについて、第32回テロはテロで制止できるのか」で記しましたが、やはりテロリズムによっては何も生まれません。かつてのテロリズムが、果たして歴史に何らかの足跡を残したでしょうか? ターゲットとされた米国では、前代未聞のネットバブルが拡大し、未曾有の好景気を演出しました。テロにより好景気が加速したでもなく、実に無益な事件に終わりました。

 そのテロリズムにミサイル無差別行為で応えた米国は、今回は極めて静かです。しかし、外国の出先機関である大使館襲撃と、今時の国防総省&ワールドトレードセンター襲撃では、そのインパクトは何十倍にも強く、その静けさが激しい行動に駆り立てるのは間違いないことでしょう。しかし、冷戦時代に辣腕ぶりを発揮したFBIやCIAが、そして世界最強の軍隊が・・何の前触れもなく今回のテロリズムを招いてしまった「失態」について疑問が残ります。
 首謀者とされるビンラーディンなる人物は、よく分かりません。マスメディアは彼を犯人と決めつけていますが、いささか疑念を抱かずに居られません。なぜ彼は、長い冷却期間を置いた後に凶行を指示したのか? またワシントンとニューヨークを同時攻撃する必要はあったのか? わずかな物証で彼が主犯とされる理由は何か? 疑問を感じるところです。
 まず長い冷却期間を置いた理由です。一つは、米国との間に何らかの手打ちがあり、テロリズムを手控えたのではないかという考え方。この場合は米国側が何らかの違約を冒した可能性があります。二つは、ビンラーディン氏に行動を起こさざるを得ない理由があったか。例えば、組織維持のためのデモンストレーション。あるいは氏が死亡または重態にあり、後継者たらんとする誰かが仕掛けたものかも知れません。三つは、米国経済が下り坂になった今に経済と軍事(もしくは政治)の中枢を叩くことに意義があるのかです。ピークにあった昨年早々などであれば、米国への打撃もより大きかったでしょう。主犯については・・また仮説を述べます。

 かつて冷戦時代には、ダブルスパイやモグラと呼ばれる複雑怪奇な工作員がばらまかれました。得てして国内不安を生じた際には、彼らを操って国際的トラブルを引き起こさせ、それを利用して国内を引き締めてきた実績があります。仮にビンラーディン氏なる人物が実在したとして、それを何年も米国が放置するとは考えがたく、何となく作為を感じます。
 アラブ諸国の反応を見る限り、氏らしき人物は存在すると思われますが、その行動力や資金源には不明な点もあり、何となく米国の息が掛かった人物ではないかと思われます。得てしてテロリストは、体の良い反体制主義者であり、予測もできない無法者であります。しかし、世界の軍隊を標榜する米国に比べては、あまりに小さい存在では無いでしょうか?

 むしろ氏が誰かの意図でテロリズムを敢行した考えれば、何となく筋書きが見えます。それはむしろ米国の軍・特務機関の総意として動いたのでは無いでしょうか? 今の米国では平和ボケが進み、軍隊も縮小に転じています。個人主義が頭をもたげ、国家への求心力が弱まっていたはずです。その理由の一つに、バブルが産んだ経済重視政策があったと思われます。その将来性を憂慮したメンバーが、密かにテロリズムを計画し、実行してのけたとすれば、全ての謎は解決しないでしょうか?
 今の米国に必要なのは敵です。国家全体を軍事行動に集中させ、再び軍備増強に振り向ける最善策です。彼らの敵は、経済主義の象徴であるワールドトレードセンター、堕落した(と彼らが考えるであろう)国防総省でしょう。彼らにとって、両者をテロリズムの標的にすることに、何の躊躇も要らないはずです。そうでなくては、4機もハイジャックされた飛行機が効率よくテロリズムを実行できるはずがありません。
 結果は一種の戒厳令を発しました。その手際の良さは、テロリズムを許した無能ぶりとは対極にあります。早々に外なる敵を名指しし、国家を上げての報復を誓う光景は、いささか作為を感じます。事件当時、ホワイトハウスを空けていたというブッシュ大統領は、一躍米国の守護神として人気を集め、国家体制を引き締める余禄まで得ました。。。真実はどうなのでしょう。

 はてさて。他人が筋道だった説明をすると、それに疑義を入れたがるポン太です。無謀な仮説との誹りを受けるでしょうが、何となく米国の一部の人間により仕掛けられた自作自演という気がしないでもありません。彼らが主犯であれば、その事実が表沙汰になることは無いでしょう。謎のテロリスト・ビンラーディン氏は依然行方不明というシナリオが、もう準備されているような気がします。

01.09.15

補足1
 短期決戦を仕掛けたつもりの米軍ですが、予想以上の苦戦が見え始めています。湾岸戦争でフセイン大統領を追いつめられなかったのと同様の、泥縄的な戦術が展開されているようです。戦略的な目標が、現アフガニスタン政権の転覆にあるのであれば達せられそうですが、ビンラーディンの捕獲または殺害にあるのであれば無理な様相です。しかし、そうなれば被害を被るのはタリバーンを核とする現アフガニスタン政権だけであり、そもそものテロ撲滅という目的は達成できません。
 日本や中国の戦国時代を見回すと、随分と似たような謀略が繰り返されてきたことが分かります。自作自演の事件を引き起こし、その責任を相手に擦り付けて戦争を仕掛けるというのは、使い古された謀略です。近いところでは、日本軍の仕掛けた張作霖暗殺事件もありましたが・・。結局は米国がビンラーディンを犯人と断定した証拠も提示されず、闇雲にアフガニスタン攻撃を仕掛け、うやむやの中で幕を閉じるのでしょうか。
 アフガニスタンへ出かけていく日本軍(もう自衛隊ではありませんね)は、単なるお調子者であり、道化者です。

01.11.03

補足2
 強い米国復活で、ブッシュ大統領の人気が急上昇しているそうです。これまで支持率が50%であったのが90%強まで上昇しました。加えて、軍事関連への興味が薄く弱腰と言われた外交も、大きく様変わりしてポイントを稼いでいます。AERA10月1日号が「酷評でスタイル一変」という記事で紹介していますが、タフガイな大統領というイメージが強まっているとか。
 これでブッシュ大統領の政権は長期化し、軍需関連への政府支出は拡大し、再び財政赤字へと突っ走る危険があります。米国民としては、強い大統領の出現により、不況脱出へ向かって団結力を強めていくのでしょうか。そうなれば、IT不況を跳ね返し、引き続き世界一の軍事大国にして経済大国である地位は揺るがないことでしょうね。米国テロが誰の謀略であったとしても、結果として得をしたのは米国ということになりますか。

01.11.18

補足3
 ともかくアフガニスタンのタリバーン政権は、崩壊しました。12月22日には暫定政権が発足し、新しい段階に踏み出しています。あとはビンラーディン問題をどう決着するかと、テロ報復の正当性を立証するかだけが課題です。国際世論としても、テロ報復の正当性についてはグレーの感触を持っており、少なくてもイスラム圏を納得させる材料が必要であると云われています。

 当初はビンラーディン氏が事件の2日前に義母へ掛けたとする電話記録の提示を考えたものの、明確な発言がなく証拠性不十分として、頓挫。アマチュア撮影ビデオというものを公開したものの、信憑性を繰り返し強調しなければ成らないほどに偽造の疑いが濃いモノで、決定打と成り得なかったようです。近頃は映像も音声も簡単に偽造できることに加え、ビデオ自身の解像度があまりに悪いことも一因。アフガニスタンの個人宅で発見されたとする出所の不確かさも問題のようです。
′�26日には、カタール衛星TVでビンラーディン氏のビデオが放映されたそうです。負け惜しみともとれる挑発モノで、テロの実行を示唆した内容が含まれていたそうですが、やはり証拠性は今ひとつ。ビンラーディン氏の行動には不可解な部分が多く、アフガニスタンに潜入した経緯や、資金の出所が依然として判明しないようです。アラブの救世主なのか、トラブルメーカーなのか。米国系の工作員と見る余地も多分に残っています。

 ビンラーディン氏を逮捕し、裁判を行い、刑を執行することができるのか。米国の潔白を証明するためには、やはり無事に保護し、公開の場でシロクロ着けることが欠かせないと思います。

01.12.29

補足4
 結局は、ビンラーディン氏の捕捉に失敗したようです。当然に予定されたシナリオであったかどうか。米国では、時期不明のテロ情報を治安当局がキャッチしていたことが論点になっているそうです。当局側は、内容不詳のテロ情報を流すことは国民不安を煽るだけと反発しているようですが、ハイジャック計画であることまで感知していたことが明るみに出て、苦しい状況であるようです。
 大きな政府支出を伴いましたが、財政赤字は一過性との見通しを示し、経済も上昇基調であるとしています。結果的に、テロを口実にして米国全体が大きな利益を掴みました。次は、再びイラク制裁で弾みを着ける目論見ですが、イラクに機先を制されて、アラブ諸国・インド・中国・ロシアがイラクに同情的であるようです。対外戦争により強い政府を演出する幼稚な外交戦略は、早く改めて欲しいところです。アフガニスタン紛争の舞台裏も、早く解明されて欲しいものです。

02.05.19
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