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政治の研究No.142
雇用は創出できるのか?(2)

 前回の続きです。

 とにかく雇用を生むためには、国内で滞留している無駄金を流動化させること(つまり直接償却等の施策)、国外へ流出している外貨預金等を国内に還流させること、輸出を積極化して外貨を稼ぐこと、以上3点に絞られます。企業の生産拠点が海外シフトすることを抑制することも重要です。何よりも賃金単価の引き下げが必要ですが、積極的な引き下げ誘導は一層の消費低迷を生みます。むしろ賃金据え置きでのインフレ誘導が必要でしょう。結果的に、直接償却の比率も改善するでしょうから、上手な誘導を望みます。
 たとえ空騒ぎでも、株式市場を活性化させることが必要です。株式の場合は、時価総額が膨張すれば、国内の資金流動性が改善し、実体を伴わなくても国内が潤います。金融機関も大胆で前向きな不良債権処理と体質改善に取り組む余裕が生じます。投資家が再投資や消費に資金を回せば、ともかく2年前のように活気づくでしょう。市場介入と言われようとも、市況地合を積極的に改善する努力をするべきです。一番に簡単なのは、規制緩和です。また証券税制の改革は、早くに行うべきです(一部のエゴで先延ばしてはダメでしょう)。
 さらに、一般税制の改革です。総合課税の導入により、金持ちから税金をひねり出すことが必要です。金持ち優遇の税制が、結果的に金回りを悪化させている面があります。資産(ストック)への課税を厚くし、賃金(フロー)への課税を薄くすることで、消費を誘導し、国内での資金循環を改善しましょう。今の政府・与党が取るべき施策は沢山あります。

 企業に対しては、時短の励行を求めるべきです。一人平均の労働時間を減らし、雇用者数を増やして貰うべきです。時短に協力する企業に対して、一定の補助金を出すことで、給与水準をあまり下げずに余裕時間を増やすことができ、精神的な豊かさを捻出することも重要です。失業保険については、積極的に再就職する意欲を持たせる動機付けが必要です。単純なカットではなく、早期に再就職が決まった場合の一時金支給などが有効だと思います。
 あまり美しくありませんが、ODA費や防衛費の圧縮も必要でしょう。公的年金の物価スライド制を復活させる(現状では減額になります)意向の模様ですし、医療費削減にも動いていますので、財政に聖域なく国内景気優先で取り組んで欲しいです。自衛隊を景気回復の一助に使えると、さらに良いのですが・・。

 最後に雇用のミスマッチ吸収が必要です。上述のように、現状でも求人は沢山あります。労働者が選り好みしなければ、相当数の雇用が実現します。また知識や能力の不足から雇用され難いのあれば見合う教育を実施し、望む条件の職が近隣でなければ遠方でも紹介するなどが必要でしょう。加えて、農村活性化などで都市労働者を地方へ運ぶ選択もあるのではないでしょうか(農業の自由化を推進し、農協支配を廃止し、減反をやめれば良いのです)。IターンやUターンを促進し、地域活性化を行えば、地方財政支援も無用に成ります。
 老人や主婦の生涯(社会)教育も活性化に一役買うでしょう。介護事業や託児事業でも、相当数の雇用が出てくるはずです。さらに雇用コンサルタントや雇用アドバイザーなどという新職種が立ち上がってくれば、かなりの雇用創出になると思います。今から思いつく限りの雇用対策を行わなくては、ダイナミックでドラスティックな改革など望めないと思います。

01.08.12

補足1
 総務省の発表によれば、11月の完全失業率は5.5%であり、三ヶ月連続で過去最悪を更新したとのことです。人数にして約350万人であり、倒産や解雇による失業者(非自発的失業者)は123万人に達したそうです。対する自発的失業者は112万人で、この約4割が45〜64歳層とのことです。
 これに対して、有効求人倍率は0.53と低迷。直近のピークであった2000年12月の0.65から比べても、かなりの低迷です。求人はそれなりにあると云い、ミスマッチの解消が急がれるとのことです。ハローワークの営業時間延長などの対策が取られるとのことですが、低迷が長引くようであれば、不況の一層の深刻化が進む可能性もあり、大いに警戒が必要です。

01.12.29
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