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政治の研究No.112
投票所へ行こう!

 選挙のお話です。近頃は投票率が50%を割るような低迷選挙も、当たり前に成ってきています。嘆かわしい・・・というのは偉そうですが、残念だと感じています。我々は大なり小なり政治の影響を受けています。行政サービスを受ける一方で税金を納めており、アレコレと制度上の制約により権利制限を受ける反面、一定の秩序下で安定な生活を送れています。その政治に無関心であるというのは、正しいことなのでしょうか?

 選挙の際に、投票所へ足が向かないという意見も分かります。自分の一票で大勢が変わるでもなく、結局何も良いことがないという諦めがありますね。毎日毎日茶番劇を見せられ、スキャンダルを聞かされ、愛想を尽かせることもあるでしょう。誰も彼も同じ様な候補者で、自分が選びたくなる人がいないことも原因でしょう。
 でも選挙に行かないなら、候補者の顔や名前にも興味が湧きませんし、経歴や公約にも目が行きませんね。そうしていると知りたいときに知らされず、分かりたいときに分からず、助けて欲しいときに助けてくれない、そんな事態を招きかねません。好きでも嫌いでも、とりあえず投票所へ行って、誰かしらの名前を書いてくるべきだと思います。誰もが同じように投票所へ足を運べば、組織票だけで当選するバカ議員は排除できますし、ひょっとしたら非力な有望候補が当選するかも知れません。

 さて、投票所へ行きました。候補者のポスターを見比べて、名前を一通り反芻してみても、気に入った候補が見つからないでしょう。よくあることですね、最近は。仕方なくお気に入りの政党から選ぶ、嫌いな政党を避けて選ぶ・・・それでも有意義だと思います。わずか一票でも、大勢に影響を与えるかも知れません。
 しかし乗り気にならず、結局白紙のまま投票してみたり、好きなアイドルの名前を書いてみたり、これは意味のないことです。前者は白票、後者は無効票と呼ばれますが、結局のところ大勢には何の影響もありません。集計結果にバカが何人いたかという数字として反映されるだけです。せめて誰か候補者の名前を書きましょうね。

 5年ほど前、ある政令指定都市で、1万票を超える白票を投じられた選挙がありました。それでなくとも低迷した投票率の中、辛うじて比較第一位を確保した現職候補が当選しましたが・・・白票を恥じるでもなく、現在もその地位にあります。確かに見掛け上は不信任を突きつけた形ですが、何も変えることができませんでした。
 現職が嫌いで有れば、どんなダメな対立候補であっても対立候補に一票を投じるべきです。余裕で当選するか、辛くも逃げ切るか、で現職の政治運営に大きな陰を落とすことができます。逆に現職がマシだと思うなら、積極的に現職に投じましょう。現職は余裕で当選と言われていても、結果はフタを開けるまで分かりません。少しでも対立候補との差を広げて上げれば、現職も気持ちよく政策に取り組めます。
 日本の選挙制度では、投票するのもしないのも自由です。罰則はありません。白票を投じるのも、無効票を投じるのも自由です。同じく罰則はありません。しかし、半端にしか行動しないことは、結果として何も行動しないことと同じです。選挙権は義務であり権利であります。どちらかと言えば、権利の方がウェートが高いでしょう。

 しかし、選挙制度も少し変わって欲しいと思います。例えば、投票率が50%を割り込んだら無効として仕切り直すのは、どうでしょう? 過半数の有権者が関心を持たない選挙は、ツマラン選挙です。仕切り直せば、どの候補者も必死になって有権者に投票所へ足を運ばせようと頑張るはずです。広報カーでのお願いを止めて、辻説法なり大名行列なりで公約提起や政策論争に躍起になるはずです。
 また、白票や無効票が定率を上回った場合も仕切り直せば、どうでしょう? 例えば10%の有権者が白票や無効票を投じるなら、それは候補に魅力がない証拠です。もう一度選挙運動からやり直して、有権者の理解を得ようと候補者は頑張るでしょう。また仕切り直しが何度もあるなら、候補者も金権選挙を続ける体力がありません。自ずと金が掛からず、真面目な選挙活動に取り組んでくれるでしょう。有権者も実弾(現金)や饗応で籠絡される必要が無くなるわけです。純粋に候補者の魅力で投票所へ足を運べます。
 あるいは、マイナス投票も認めてはどうでしょう? 魅力のある候補者はいないけど、コイツだけは当選させたくない、というのがあるでしょう。マイナス投票の場合は赤色の投票用紙を貰うなどして、落としたい候補者の名前を書きます。結果的に、その候補者の得票数は減少し、当選が難しくなる仕組みです。浮動票にこれをやられたら、組織票に固められた悪徳政治家も落選間違いなしです。何しろ票読みが難しくなります。

 今回は戯れです(え、毎回がそうですか?)。とにかく投票所へ行きましょうよ。年内には衆議院の解散がありそうです。与党が無能なら、野党も無能です。有能な候補者を選出して政局を一新するか、無能な現職にカツを喰らわせて少し本気に成らせるか、選挙以外では有権者に目の向かない候補者達に、強烈な一撃を喰わせて挙げましょうね。さあ皆さん、頑張りましょう!

00.02.13

補足1
 明日は衆議院選挙です。自民優勢・民主劣勢と伝わっています。小選挙区では自民党の圧倒的な基盤がモノを言いそうとのことですが、比例選では民主と自民の逆転予想も出ています。どうなることでしょうか・・・。明日は雨天だそうなので、億劫がる有権者が増えると自民優勢のままかなぁ。
 白票について、日本経済新聞6月15日朝刊に面白いコラムが出ています。編集委員の芹川氏による「逆説・白紙投票の効能」と題したものです。曰く、「小選挙区で適当な候補者がいなければ白票を投じ、もし白票の総数が一位なら、その小選挙区から当選者なしとして議員数を削減する」、「比例代表も白票の総数を「白票党」として計算し、名簿を提出している政党と同じように議席数を割り当てる」のだそうです。
 面白い話ですが、前者は当該区から金輪際議員が出せないというジレンマがありますから、仕切り直しでしょうか。後者は良いアイデアですが、一層政治離れが加速しそうな気も・・・。魅力ある候補、魅力ある政党の出現に期待します。

00.06.24
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