フランスでのお話です。政府奨学金の認定を受けられなかった大学生達が、学費の支払いを求めて自分達の親を提訴しているそうです。大学にまで入れて貰いながら、親を被告にし学費を奪おうという発想は、行きすぎだと思います。相談に訪れた学生達に、民生委員が智恵を着けたのが原因だそうで、かなり大規模な話に成っているのだそうです。
ただ同情の余地はあります。親からの仕送りを当てにする日本の大学生とは違い、フランスでは奨学金で学費を、バイトで生活費を捻出するのが従来からのスタイルであったそうです。奨学金の支給基準が据え置かれたまま、緩やかなインフレによる親の所得の上昇があり、奨学金を受けられない学生が増えたのが原因なのだそうで、一方的に学生達を責められません。また学費や生活費が大幅に上昇していることも見逃せない要因だとあります。
翻って日本を見ると、ほとんどの大学生は親からの仕送りを受けています(もちろん自宅通学生は除いての議論です)。父親の小遣いが月3〜4万円と言われるご時世に、10万円以上の仕送りを受けている大学生が少なくないそうです。ある聞き取り調査では、仕送りの平均額は13万円だったそうです。
日本の大学も学費の値上がりが急ピッチです。一年交代で入学金と学費が値上がりし、学費免除の基準が厳しくなり、育英奨学金の支給条件も難しくなっていると聞きます。それでも10万円以上の仕送りは異常でしょうね、きっと。6〜7万円のアパートを借り、中古ながらも車を買って乗り回す・・・そのために親は生活を切りつめています。果たして、そこまで子供にスネを囓らせて良いものでしょうか。
近頃再び、若者のカード破産が急増しているそうです。これは学生時代に身に付いた贅沢が抜けきらず、社会人として少ない稼ぎを得るようになっても、生活パターンを改められないことが原因だと指摘されています。社会人の方が可処分所得が少ない上に、付き合いや衣服などにも余計な費用が嵩むため、借金で補いを着けるしか選択肢が無いというわけです。
非常に不幸な話ではないでしょうか? 子供に金銭面の心配を掛けたくないという親心が、子供に贅沢を染みつかせ労働の尊さを学ばせられない、という不幸を生んでいるとは・・・(と書くと、また偏見だと怒られますね)。子供が学業に差し障らない程度のアルバイトをするように、仕送りは少し絞ってやるのが親心だと思います。高い家賃の部屋を借りているなら、学寮に放り込むなり、民間の学生寮にブチ込むなり、贅沢をさせない配慮もするべきではないでしょうか?
私自身が貧乏で苦学をしたから主張するのではありませんが、仕送りだけで温々と学生生活を終えた人は、社会人として必要な素養が足りないと思います。努力と忍耐と節制です。アルバイトは社会人になるためのプレステージでもあります。利害関係のある人間関係を学び、労働の尊さを身に付かせるために必要なモノだと思っています。ぜひぜひ親心を働かせて、お子様に苦学をさせてあげて下さい。
TVや雑誌は贅沢な消費スタイルを格好良いと宣伝しています。流行の家財、流行の服装、流行の遊び・・・学生達に無駄な消費をさせるために、あの手この手で誘惑をしています。学生達のお陰で消費経済が潤っている面はありますが、裏付けのない消費性向を身につけさせることが、最終的に人的損失であることにマスメディアも気付いて欲しいです。
話は変わって、学資免除と奨学金支給です。話に聞くと確かに厳しい基準ですね。今時年収400万円未満という親御さんがどれだけ居て、その家庭から子供を大学に通わせることが現実的かどうか考えて欲しいと思います。親が年収1,000万円でも子供に仕送りしない場合がありますし、年収500万円でも多額の仕送りをする親があるでしょう。親の年収の多寡で学資免除ほかが決まるのは、理不尽だと思います。本人のやる気と、正味の月収とを見計らった上で学資免除などを考えて欲しいと思います。全寮制・・・という選択もあると思います。
仕送りは貰うだけ。これでは無駄に使うのは当然でしょう。学資免除を受けるためには成績を上げようと頑張るでしょうし、奨学金も返済義務があるなら将来の借金ですから、真面目な定職を見つけようと頑張るでしょう。親のスネを囓らせて甘えた学生を受け入れるのか、学業にも生活にもシビアに頑張る学生を受け入れるのか、大学も真剣に考える時代が来ていると思います。
今回の結論。お父様お母様、ご自分の子供を仕送りで甘やかせるのは止めましょう。大学関係者様、やる気があって苦学をしている学生には、親の収入なんか考えないで、学資免除と奨学金支給を決めて上げて下さい。よろしくお願いします。
00.02.13
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