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政治の研究No.110
国会ボイコット

 またもや民主党が駄々っ子を演じてしまいました。ご存じのように、1月27日午後の審議から約2週間も野党3党が国会ボイコットという暴挙を敢行したのです。ボイコットといえば聞こえは良いですが、国会議員としての責務を放棄してのパフォーマンスです。牛歩やヤジよりも恥ずかしい、有権者に対する背信行為でありました。
 事件の発端は、1月27日に開会された衆議院本会議でした。自由党の提案で検討が進められた衆議院比例代表定数の削減法案が、自自公の与党単独で採決されたことでした。比例定数の削減に抵抗を示した公明党との妥協点は、削減定数を20議席にまで削ることでした。自由党は提案者の面目が整ったとして同調し、逆に50議席の実施を求めた民主党が強い反発を示しました。直接現有議席の減少に追い込まれる社民党と共産党は削減そのものに反対したものです。

 自自公としては当然の政略ながら、過半数を占める本会議で決議を果たしました。この過程に何ら違法性はありません。自自公に過半数を占めさせたのは、偏に融通の利かない民主党の拙い政略に遠因がありましたし、中途半端な妥協カードを切ってきたツケでもあります。この決議によって、自由党はついに政権離脱カードを切れなくなり、公明党も次期総選挙まで足抜け出来なくなりました。1人、自民党が利益を得た構図です。
 民主党の主張はよく分かりませんでした。なぜ50議席に拘るのか、です。自力で法案を通す当事者能力を持てない以上、本当に議席削減を実現するという決意なら、とりあえずの20議席減でも飲むべきです。むしろ積極的に論陣を張った上で賛意を示すべきであったでしょう。国会議員の数が減ることは、最終的に国民の利益を生みます。それを削減反対論者の社民党や共産党に同調したので、訳が分からなく成りました。鳩山党首は国政を分かって居られるのかどうか。

 さらに不味かったのは翌28日です。正午に野党首脳で鳩首会談を設けたかと思うと、午後からの衆参両院本会議を欠席したのです。この本会議は首相の施政方針演説と、外交・財政・経済のいわゆる政府四演説が行われました。それを三野党は揃って欠席したのです。本当に意見があるのなら、本会議で緊急動議でも提起して四演説を邪魔するべきでしょう。自民党首脳の不正義を論って、徹底的に抵抗を示すべきであったでしょう。それを、ただ欠席するとは・・・子供ですね。
 欠席したということは、首相の施政方針以下を全て丸飲みしたことに等しいです。後日になって、聞いていない、決まっていないが通るはずもなく、意味のないことをしました。自民党としては強行採決という不手際を重ねたものの、結果として野党にポイントを稼がせて貰ったことになります。野党、とくに民主党は当事者能力の欠如と無責任さを、今年も有権者に晒してしまいました。次期総選挙での敗北は定まったようなものです。共産党や社民党との同心というのもマイナスポイントでしょう。

 野党は、与党が体面を気にして折れることを願っていたようです。首相は失点を重ねて解散を決意するかも知れない、などと絵を描いていたようです。本気で有れば、あまりにも甘いです。野党を欠いても国会運営は可能であり、むしろ抵抗なく様々な法案が通せるから都合がよいのです。小渕首相もそこまで悪者で無かったようですが、景気対策が組み込まれた予算案決議を野党も先延ばしできないことを踏んで、自称ボイコットを放任しました。
 結局のところ、引っ込みがつかず2週間も駄々を捏ねた野党が自ら復帰して、2月9日から衆院本会議が正常化しました。早々に野党側から激しい舌戦を仕掛けたものの、敗れた者の弱みで勢いに欠け、小渕首相も余裕で受け流したと言うことです。野党側はさらに首相秘書官の汚職を追及するという話ですが、全く国政と関係のないところで無駄な時間を費やし、さらに恥の上塗りを狙っています。民主党は本当に政権担当能力を得ようとしているのでしょうか? どう見ても抵抗野党を狙っているとしか思えず、あるいは与党と裏取引しての茶番を演じているとしか思えません。

 野党による国会ボイコットは、またも国政史上の汚点として残るのでしょう。首相は予算案決議後の衆議院解散を目論んでいると報道されていますが、このままでは数々のしたい放題を重ねた与党側が大きく得票を伸ばしそうです。極めて遺憾です。
 ところで、国会議員が減少することは良いことでしょうか? 私は良いことだと考えています。数十人のオーダーは独裁政治の危険を感じますが、せいぜい200人ぐらいの方が、無駄な議論もなく有意義な国政が実現すると思います。何百人と居ても、一方は首相の号令に盲従し、他方はただ抵抗するというのでは、明かな無駄です。
 まずは無能な野党議員を全員解雇してはどうでしょう。与党の野党勢力を核にして、もう少しまともな野党を再構築する必要性を感じます。茶番を演じるだけで国会議員が務まるなんて、国民をバカにするのも程があります。必要なことは与野党のバランスを崩すことです。一方があまりに弱く使えないのならサッと取り払い、新しいバランスを生み出す必要性を感じます。

 う〜ん、次期総選挙はどうしたものでしょうか? 頭が痛いですね、全く。選挙をボイコットしたく成ります。

00.02.13
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