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政治の研究No.10
野党乱立 の 時代

 小選挙区制度の導入は、二大政党制を確立する第一歩だと言われていました。政党助成金も少数野党を解消する助けになるとも聞かされました。しかし、一見自民党と新進党に統合されたかに見えた政局も、新進党の空中分解で潰え去りました。今度は民主党を中心に再編が進むかに見えますが、まだまだ民主党本体に拒否反応が強いことから見通しは付きません。

 あなたは現在の野党の名前を全て挙げられますか? その党首を言えますか? 各政党を人数の多い順番に並べ替えて下さい。こんな入試問題が出ることもあり得る時代になりました。そもそもイデオロギーの対立が原因ではないので、極めて始末が悪いです。10人未満の仲良しグループが相次いで新党旗揚げしたことも混乱を拡大し、国民にとっては迷惑この上ないでしょう。
 とくに新進党から分裂した議員達は何を考えているのでしょうか。国民は新進党候補の○○氏(とくに比例代表当選の議員)を選んだのであって、彼らが勝手に少数政党を作るのでは困るのです。彼らが政権政党となる可能性に賭けて投票した有権者の期待は裏切られてしまいました。自民党に帰り咲いた保守系議員、局外中立として無所属となった議員はまだ良いでしょう。地方組織も待たず、金も持たない連中が勝手に政党を起こし党代表を定める発想が理解できません。
 少数政党を作った議員達にも言い分があるでしょう。少なくとも政党でなければ新進党の遺産配分も来年度以降の政党助成金も受け取れません。とりあえず様子見をして、一番有利な新党に参加しようという考えなのです。主義主張も無ければ、恥も外聞もありません。こんな無責任な議員を選んだ有権者の責任ですが、そんな人物で国会議員が務まる日本という国も政治三流国です。少なくとも次回総選挙では出馬辞退をしていただきたい、と思います。そもそも政党離脱の前に議員を辞職して自分の非を認め、必ず行うことになった補欠選挙で出直し選挙をするべきです。そして有権者の支持と理解を得るべきです。

 この大混乱で最も漁夫の利を占めたのは自民党です。分裂合併を繰り返した結果、共産党を除く全ての政党が保守政党になりました。党員党則が整備されていない野党が多いお陰で、政局運営も容易になっています。野党同士が潰し合いを始めるような昨今の政局では、ますます政権担当力があるのは自民党のみというのを国民に知らしめることができます。しかも自ら努力をする必要もないのです。自民党は一度野党になってから慎み深くなりました。政策集団や研究グループはあるものの、旧来の派閥意識が減退して、かなり纏まりを見せ始めています。新進党が演じた数々の失態も良い反面教師となったようです。将来は少し大人に成長する保守野党のいずれかと提携し、より強力な指導力を得ることも夢ではなくなっています。

 しかし、自民党内にも古き良き時代からの長老達が陣取っています。またボンクラ気味の二世三世議員も少しずつ増加しつつあります。新生自民党を作れるかどうかは、野党混乱の今において、どれだけ積極的な党改革ができるかに掛かっています。我が国が政治二流国へレベルアップできたならば、この喜劇のような野党乱立の時代も日本政治史で高く評価されるかも知れません。

98.03.14
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