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ミュージカル作品紹介(第127回)
森の唄が聴こえる
■劇  団 コーラス・シティ
■鑑 賞 日 平成11年11月27日(土) ソワレ
           11月28日(日) ソワレ
■劇 場 名 練馬文化センター・小ホール(練馬)
■料  金 全席全日自由�,000円(前売料金)

■作曲・ピアノ 徳永 洋明   ■脚  本 田中 広喜
■演  出 壬生 吉秋     ■振  付 原 津加沙
■演技指導 矢野 宣      ■歌唱指導 金子 明美
■衣  裳 藤井 百合子    ■装  置 石村 淳二
■照  明 高野 勝征     ■音  響 長澤 康夫
■舞台監督 藤田 清二
キ ャ ス ト
響 卓    (門澤 武伸)   稲田征二   (石村 淳二)
稲田美枝   (石村 麻子)   山本隆男   (早川 博康)
清川麻美   (鈴木 千夏)   青山太一   (田中 広喜)
杉下春香   (重松小百合)   若竹洋三   (本多謙太郎)
北野亮    (嘉納  聡)   韮崎陽子   (斉藤 清美)
矢沢博子   (征矢 朋子)   栃本香織   (蓮見 知子)
河合敏男   (梅北 康史)   森の女王   (吉田真由美)
精霊ミラ   (菊池 明美)   精霊カッセ  (橋本 直子)
精霊アミ   (加藤 由夏)               ほか
ス ト ー リ ー
 巨大なクスノキを擁する「暁の森」。町のゴミ処分場建設委員会は、森を買収してゴミ処分場を建設する計画を進めている。森に生まれ育った、喫茶「こもれび」に集う人々は、店主征二を中心に反対運動を続けている。しかし委員会事務局長若竹は地域のエゴだと取り合わない。
 その森の広場へモデル麻美を中心とするロケ隊が入ってきた。新人カメラマンは、生まれたばかりの精霊ミラに出会い、自然に対する考えを改めた。卓はこもれびの仲間に加わり、麻美を呼んで森のコンサートを開催した。コンサートは精霊の協力も受けて、大成功を収めた。ミラは卓に好意を寄せ、アミたちも人間に親近感を示すが、カッセは強い警戒感を解かない。森の女王も態度を決めかねているようだった。
 しかし成功を喜ばない若竹は、仲間入りしている部下敏男に、非情な妨害工作を命じるのだった。工作によりコンサートのステージが・・・。森が消えれば精霊達はどうなる?
コ メ ン ト
シナリオ 筋立てはしっかりしていて訴えかけが明瞭な作品でした。しかし、全体を通して固すぎ、娯楽性が少ないことが残念です。また精霊の扱いが若干軽かったことと、麻美の専属カメラマンに絡む話が、少し欲張りすぎの印象でした。
キャスト 前作とメンバーはほとんど替わっていませんでしたが、メリハリの利いた良いキャスティングでした。ダンスが少しだけグレードアップし、ソロも聴かせる人が増えてきたように感じました。
ナンバー ナンバーリストが無いので、はっきり印象に残りませんでした。アイルランドをイメージできているのかどうかは別として、綺麗な音楽が多かったと思います。
一幕終盤の「ミラクル!奇跡を起こそう」などテンポの良い曲が多く、精霊の絡んだ透明感のある曲も良かったです。また「この想いいつまでも」もお奨めです。ソロで歌い継いでいくナンバーは外し気味でした。
ステージ
クスノキをイメージしたセットが、ハリボテで立派に作られていました。装置スタッフの技が活きていました。丸太作りの喫茶店もシンプルながら上手に表現されていましたし、テーブルや椅子が木の表皮まで精緻に見せており、安手ながら立派なものでした。小道具はいささか多すぎる感じだったのと、壊れたステージを模した装置は省略できるとの印象でした。
衣裳の選択はまずまずで、モデル麻美の衣裳と、精霊の衣裳はよく雰囲気が感じられました。
演 技 力 3週間前に見学した公開稽古との比較になりますが、主役門澤の技術向上は目を見張るものがありました(彼はピカピカの新人であるそうです)。少し頼りなく優しい好青年の味が感じられました。鈴木のスーパーモデルは、すっかり成りきった印象で、十分に本物が務まりそうです。重松は若干はしゃぎすぎでしたが、元気で力一杯の演技を見せてくれました。
田中は脚本への思い入れか、あまりにステレオタイプの男性を演じ、もう少し力を抜いて優しい人物とキレる人物とを演じ分けて欲しかったです。本多は目配りまでよく研究した悪徳公務員で圧倒し、早川も貫禄ある名カメラマンのイメージが表現されていました。菊池がショートながら怪しい演技を披露し、多くの端役もクリアしていました。前作に比べて男性陣の躍進が目立ちました。そういえば、心配された石村の科白ミスがほとんどなく、3公演目は門澤のミスからチグハグしたシーンがありました。
女性では吉田の女王役がなかなか良かったです。声のエコーで補った印象があり、もう少し堂々とした演技だと嬉しいです。征矢が後半から結構活躍していたように感じました。
歌 唱 力 菊池はソロが多く、聴かせるナンバーが多かったのですが、少し低音部で苦労していたようで、持ち前の高音の美声に出会えませんでした。重松はダンスへの集中がありすぎたのか、歌唱面では少し不足気味でした。ソロで良い声は何人かありましたが、全体的にはソロはまだ弱いです。
コーラスは今回パート分けが少なかったようで、厚みのある響きが不足気味でした。バックのメンバーで唱う影コーラスが良く響いていましたが、ステージのメンバーで口パクさえサボるキャストが目立ったのが残念です。売り物のコーラスは大事にして欲しいです。
ダ ン ス 菊池のダンスはメリハリがあって綺麗です。手や足が自然に揃う感じで、個人的に☆。重松は元気のある動きで、よくこなしているようでしたが、若干リズムがズレていたようです(とくに3公演目)。橋本も基本に忠実な動きで美しく、加藤もまずまず。アンサンブルの精霊は、もう少し自由な動きが増えても良かったと思います。棒立ちのシーンが多いのが気になりました。
コンサート・フィナーレなどで、集団ダンスが揃わないのが際立ちました。上手な人をセンター手前に持ってくるなど、一工夫で補って欲しい感じがしました。
総合評価 公開稽古を入れて三公演観たため、少し多めにコメントを入れました。今回のシナリオは、東京・日の出町の話をアレンジした作品だそうで、実在の話に精霊の話を持ち込んで、若干生臭い仕上がりに感じました。
全体的には、今回3作目という新鋭演出家の腕前か、調和が感じられました。個別のキャストへ厳しい指導もあった様子で、個々人のレベルアップも見過ごせません。せっかく歌唱力もダンス力も上がってきたようなので、来年10月と言わず5月にでも本公演を見てみたいと思います。
上記コメントはポン太の主観&独断に基づいています
なお、評価ランクはポン太の五つ星を参照ください
本公演は16枚のチケットをプレゼントしました。
ア ク セ ス
コーラス・シティ
 事務局/東京都渋谷区幡ヶ谷3−70−5−106   Tel:
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