ミュージカル作品紹介（第１０３回）
コーラスライン
■劇　　団　劇団四季 ■鑑 賞 日　平成１１年８月２２日（日）　マチネ ■劇 場 名　栃木県総合文化センター・メインホール（宇都宮） ■料　　金　全席指定�,400円（前売料金） ■原　　作　オン・ブロードウェイ「コーラスライン」 　原案・振付・演出：マイケル・ベネット 　台　　本：ジェームズ・カークウッド，ニコラス・ダンテ 　音　　楽：マーヴィン・ハムリッシュ 　作　　詞：エドワード・クレバン 　装　　置：ロビン・ワグナー ■演出・日本語台本　浅利　慶太 ■翻　　訳　新庄　哲夫　　　　　■振　　付　古澤　勇 ■美　　術　金森　馨　　　　　　■照　　明　沢田　祐二 ■舞台監督　土屋　朋巨
キ　ャ　ス　ト
キャシー　　　（林下　友美）　　　ディアナ　　　（坂本　里咲） コニー　　　　（松永さち代）　　　ジュディー　　（渓　なつき） マギー　　　　（井田　安寿）　　　シーラ　　　　（森　以鶴美） クリスティン　（藤井　しほ）　　　ビビ　　　　　（磯津ひろみ） ザック　　　　（飯野おさみ）　　　ポール　　　　（味方　隆司） アル　　　　　（高桑　　満）　　　マイク　　　　（田邊　真也） ダン　　　　　（松澤　潤一）　　　グレッグ　　　（海　　将人） ラリー　　　　（大谷　　健）　　　ボビー　　　　（栗原　英雄） リチー　　　　（羽根渕章洋）　　　　　　　　　　　　　ほか多数
ス ト ー リ ー
ザックの新作ミュージカルのオーディションが始まった。24人の男女が集まったが、１次選考で17人に絞られた。ザックは個々人の本当の姿を知りたいと言い、写真や履歴書では分からない本物の話を聞き始める。誰しも持つ知られたくない過去に、鋭く切り込んでくるザック。17人の男女は思い思いに生い立ちや、志望動機を語っていくのだった。メンバーにはザックの昔の恋人キャシーも混じっており、彼自身の能力も試されるのだった。無事にコーラスメンバーに選ばれるには・・・誰なのだろう。
コ　メ　ン　ト
シナリオ	◎	トニー賞を受賞し、キャッツに抜かれるまで最長ロングラン記録を誇った名作です。様々な人種と、様々な境遇を語りつつナンバーを絡めていくのですが、単一民族の日本人には少し掴みにくい内容でした。もう少しフォローがあると良いですね。
キャスト	◎	全体としてダンスのレベルは高いです。演技力も長々とセリフを語るという意味では上手いと言えます。歌唱力はソロに耐えるキャストが少ないと感じました。
ナンバー	☆	看板の「ＯＮＥ」はダンスと歌で映えます。ディアナのリードする「愛した日々に悔いはない」も見事なナンバーです。「モンタージュ」と総称されるセリフ調が長く続きますが、二重奏など見せ場が沢山あります。個人的にはディアナのパートが好きです。
ステージ	☆	板張りの舞台の手前３分の１に引かれた白線（コーラスライン）だけの超シンプルですが、それだけに白線の位置づけが強調されます。バックには回転式ミラーが、サイドにはスタジオ風のスタンド・ライトがあります。 衣裳は地味な統一感のない稽古着のままですから、派手さは感じられません。その分だけエンディングのキンキラが目立ちます。
演 技 力	◎	坂本の真摯な姿勢に心打たれます。井田と森がまずまずでしたが、林下は力みすぎの感じです。男性陣ではたどたどしい独白の味方が☆、飯野もまずまずですが、あとはパッとしません（シナリオの問題でもあります）。
歌 唱 力	◎	坂本は張りのある良い声ですが、やや息切れの感じで、セリフ部分が噛んでいました。井田は滑らかで透明感のある声でした。林下は声量不足でせっかくの名ナンバーを殺しました。「ＯＮＥ」でのコーラス、とくにフィナーレの方が綺麗に揃いました。
ダ ン ス	◎	林下のしなやかで伸びやかなダンスが目立ちました。白線上をスルスルと踊る感じは良かったのですが、技能的にはどうなのでしょうか。全体でシンメトリカルに見せるダンスもまずまずで、シルクハットを使うフィナーレのユニゾンは綺麗です。しかしダンスの見せ場は少ないです。
総合評価	◎	地方巡業を間もなく終えて東京へ帰ってきます。少しはキャストが入れ替わるのかも知れませんね。男性キャストの強化と、歌唱力もあるキャシー役の登用に期待します。 派手なブロードウェイ作品がお好きな方には勧めにくいのですが、演劇を志す方にはぜひ観ていただきたい一作です。四季版ＣＤを聞いてから観劇するとキャストとの距離がグッと縮まりますよ。
上記コメントはポン太の主観＆独断に基づいています なお、評価ランクはポン太の五つ星を参照ください
ア　ク　セ　ス
劇団四季 　事務所／横浜市青葉区あざみ野１−２４−７　　Ｔel：