東京にも劇場街を作ろう(4)

 劇場街を作るにしても、何処に作るか、誰が作るか、誰が使うか、なんて問題が山積みです。誰しも、場末の劇場で公演をやりたくありません。メジャー化の登竜門ともいうべき、劇場街ができることを願う劇団関係者は多いはずです。

何処に作るか?

東京に劇場を作るなら、JR山手線の沿線は必須です。下北沢も悪くありませんが・・多くの鉄道が通っていて、首都圏のどこからでもアクセスの便利な立地が望まれます。既存の劇場を活かすなら・・日比谷界隈(帝国・日生・東京宝塚)、汐留界隈(四季劇場[春・秋・海])、新宿東部エリア(コマ・シアターアプル・サンモール・厚生年金会館など)、池袋西口エリア(東京芸術劇場など)が有力でしょうか。秋葉原の神田青果市場跡地(現在の交通広場)も有望ですが・・。浅草の再開発という選択肢もありますか。TBSは赤坂劇場をリプレースするそうです。

汐留や日比谷ならマンモス劇場がすでにあるため、1000席未満の劇場を作りやすいです。既存のミュージカル客を取り込みやすい利点もあります。新宿や池袋は用地取得が大変そうですから、秋葉原や浅草がねらい目かも知れませんね。とりあえずキャッツシアターのようなテント村でスタートする方法もありますね。お台場はエンターテイメントの集積地ですが、立地的な問題から考えると不利は免れません。

誰が作るか?

大企業が単独で劇場街を作ることは、あまりに冒険が過ぎます。TV局や新聞社にもそこまでの底力が無いでしょうし、何よりもメリットがありません。とりあえず行政が参加しないことには、どうにもなりませんか。行政が民間の協力を仰ぎながら、劇場街を作ってくれるのが、最良の選択です。しかし、東京都には潤沢な資産が無いので、既存の再開発計画に乗っかるのが関の山です。新たな用地買収は無理というものです。

日本でも導入がはじまったPFIという手法もあります。規模にもよりますが、費用対効果が見えない中で、手を出す企業があるかどうかは疑問です。ともかく演劇業界で設立委員会でも作って、著名人やスポンサー企業の署名などを集めて、具体像を描くことが欠かせないでしょう。業界抜きに劇場街を作っても、典型的なハコモノ行政に終わるだけでしょうから。

用地を東京都が提供し、設備を民間が整備し、業界がコンテンツを提供する・・ということで、簡単には行かないかも。

誰が使うか?

劇場街ができれば、使いたい劇団はいっぱいあるでしょう。小劇場を借り切って細々と運営している劇団、地方巡業が中心で東京での定点公演が難しい劇団、もちろん東宝や四季が進出することも考えられます。海外のメジャー作品を誘致するプロモーターも参加してくるでしょう。あるいは、ディズニーも・・?

劇場街の趣旨からすると、特定の劇団に独占される劇場は少な目にするべきです。そうでなければ、大手独占で、中小は閑古鳥です。また、海外から誘致しすぎると、観客の目が肥えすぎてしまうのも心配です。だからこそ、1000座席未満でつつましく、数多くの作品が常時上演されるのが望ましいです。徐々に規模が拡大するのは、全く問題ないのですけれど。

しかし、無名の小劇場系ばかりでも困ります。観劇人口を増やすのが目的ですから、身内中心で活動している劇団の参入は、レベルを下げることに成りかねません。演劇祭などを定期的に開催し、優秀賞に輝いた劇団または作品に劇場使用権を与えるとか、他の中規模以上の劇場で実績を上げた劇団に優先権を与えるとか、面倒な交通整理が必要でしょう。

 あとは大資本に支配されない評論家が増えて、新聞や雑誌に本音のコメントが寄せられるようになり、東京で有力なエンターテイメントに成長し、エンタメ投資などで資金を呼び込んで、実力主義の俳優養成所を誘致して、有力なミュージカルの賞を作って・・・英米に負けない劇場街を作りましょう!!!